④固定費・変動費を“管理できる言葉”に置き換える


「固定費が重いんです」と言った瞬間、思考は止まっている

社長との会話で、よく出てくるフレーズがあります。

「うちは固定費が重くて…」
「変動費をもっと抑えないとダメですよね」

この言葉、
実はかなり危険です。

なぜならこの時点で、
固定費・変動費が
“会計用語のまま”放置されているからです。

言い換えると、

  • 分かっている「つもり」
  • 触っている「気分」

にはなっているけれど、
経営判断に使える状態ではない、ということ。

今回は、
固定費・変動費を
社長が本当に管理できる言葉に変換する
というテーマで話を進めていきます。

固定費・変動費は「知識」ではなく「道具」

まず、基本の確認です。

  • 固定費:売上に関係なく発生する費用
  • 変動費:売上に応じて増減する費用

これは、ほとんどの社長が知っています。

でも、
知っている=使えている
ではありません。

問題はここです。

固定費・変動費が
「分類」で終わってしまっている

これでは、
経営は何も変わりません。

共通の勘違い|固定費は悪、変動費は善?

多くの会社では、
こんな空気があります。

  • 固定費は怖い
  • 固定費は削るべき
  • 変動費は安全

確かに、
固定費が増えると
損益分岐点は上がります。

でも、それだけで
固定費=悪
と決めつけてしまうと、
経営の視野は一気に狭くなります。

ケーススタディ①|固定費を削りすぎて、成長が止まった会社

背景

小売業L社。
売上が伸び悩み、社長は「固定費削減」に着手しました。

  • 正社員を減らす
  • 教育コストを削る
  • 広告を止める

短期的には…

  • 利益は一時的に改善
  • 数字は良く見える

しかし半年後

  • 現場が回らない
  • 新人が育たない
  • 売上がさらに低下

結果として、

固定費を削ったことで、
売上を生む力まで削ってしまった

状態になっていました。

固定費・変動費を「行動の言葉」に翻訳する

ここからが本題です。

固定費・変動費を
管理できる言葉に置き換えるとは、
どういうことか。

ポイントは、

会計用語 → 行動用語

への変換です。

固定費を“管理できる言葉”にすると?

固定費を、
こんな言葉に言い換えてみてください。

  • 毎月、社長が覚悟して払っているお金
  • 売上がゼロでも続けると決めた活動
  • 会社の「前提条件」を作っている費用

こう考えると、
固定費はこう問い直せます。

  • この固定費は、何の前提を作っているか?
  • この前提は、今も必要か?

すると、
削る・削らないの判断が
感情ではなく意思になります。

ケーススタディ②|固定費を「覚悟の一覧」にした社長

ITサービス業M社。
社長は、固定費をこう整理しました。

  • 人件費 →「専門性を社内に持つ覚悟」
  • 家賃 →「この場所で商売する覚悟」
  • システム費 →「効率で勝つ覚悟」

結果、

  • なんとなく削る
  • なんとなく不安になる

という状態から抜け出し、

「この固定費は守る」
「これは見直す」

を、はっきり言語化できるようになりました。

変動費を“管理できる言葉”にすると?

次に、変動費です。

変動費を、
ただの「売上連動コスト」として見ると、
管理は雑になります。

変動費は、
こう言い換えてみてください。

  • 売上を取るために払っている通行料
  • 仕事を1件増やすたびに必要な代償
  • 粗利を削っていく刃

こう見ると、
変動費には
限界点があることに気づきます。

ケーススタディ③|変動費を把握せず、忙しいだけだった会社

建設業N社。
仕事は増えていました。

しかし、

  • 利益が残らない
  • 社長も現場も疲弊

原因は、

仕事が増えるほど、
変動費が想定以上に増えていた

ことでした。

変動費を、

  • 「仕事を取るためのコスト」
  • 「1案件あたりの粗利削減要因」

として見直した結果、

  • 受ける仕事
  • 断る仕事

の基準が、
はっきりしました。

固定費・変動費を“粗利と結びつける”

ここで、
シリーズのテーマに戻ります。

粗利で会社を見るとは、
固定費・変動費を
粗利と結びつけて考えることです。

  • 固定費は、粗利で“回収すべきもの”
  • 変動費は、粗利を“削りながら発生するもの”

この視点を持つと、
社長の問いが変わります。

  • この粗利で、固定費は賄えるか?
  • この仕事は、変動費を払っても粗利が残るか?

数字が苦手な社長ほど、言葉を変えるべき理由

「数字が苦手なんです」

そう言う社長ほど、
固定費・変動費を
言葉で管理する必要があります

  • 会計用語は抽象度が高い
  • 行動の判断に直結しにくい

だからこそ、

自分が判断できる言葉
自分が覚悟を持てる言葉

に、翻訳するのです。

固定費・変動費を使いこなす社長の思考回路

最後に、
固定費・変動費を
使いこなしている社長の
思考をまとめます。

  • 固定費は「減らす対象」ではなく
    「構える対象」
  • 変動費は「仕方ないもの」ではなく
    「仕事を選ぶ基準」
  • 粗利は、それらをつなぐ“判断軸”

この三点がつながった瞬間、
経営は一気に整理されます。

次回予告|「損益分岐点」を社長の武器にする

次回は、

「損益分岐点を“怖い数字”から“使える基準”に変える」

というテーマでお届けします。

  • 損益分岐点が高い=悪?
  • 下げる以外に、打ち手はない?

社長の意思決定に
本当に使える損益分岐点の考え方を、
解説していきます。

今日の一言

固定費・変動費は、
削るための言葉ではない。
社長が覚悟と判断を持つための言葉である。


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