
「うちの分岐点、いくらですか?」と聞かれて答えられますか?
前回の記事でお伝えした通り、
損益分岐点は「数字の話」ではなく、
社長の意思決定の話です。
にもかかわらず、
いざこう聞かれるとどうでしょう。
うちの分岐点って、
だいたいいくらなんですか?
多くの社長が、
- 正確な数字は分からない
- 税理士なら知っているかも
- 今はそこまで考えていない
という反応になります。
でも、今日のゴールは
数字を即答することではありません。
今日のゴールはこれです
今回のワークのゴールは、
とてもシンプルです。
自社の損益分岐点を
「言葉」で説明できるようになること
数字は、あとからついてきます。
まずは、
- どこからが耐えるゾーンなのか
- どこからが報われるゾーンなのか
を、
社長の言葉で語れるか
ここに集中します。
なぜ「言葉」で説明する必要があるのか
理由は一つです。
社長は、
いつも数字を見て
判断しているわけではない
からです。
現実の経営判断は、
- 現場で
- 移動中に
- 雑談の中で
行われます。
そのとき頼りになるのは、
- 難しい計算式
- 細かい表
ではなく、
頭の中にある
“分岐点のイメージ”
です。
ケーススタディ①|数字は知っているが、説明できなかった社長
卸売業A社の社長。
損益分岐点の数字は
一応、把握していました。
たしか、月商で○千万円くらいです
しかし、
- なぜその金額なのか
- 何をすると上下するのか
を聞くと、
言葉に詰まってしまいました。
この状態は、
分岐点を“知っている”が
使えていない状態
です。
分岐点を「使える」社長の共通点
分岐点を使いこなしている社長は、
必ずこんな言い方をします。
- 「この固定費を抱えている限り、ここまでは耐える」
- 「この粗利率なら、これを超えないと意味がない」
- 「このラインを超えたら、一気に楽になる」
数字よりも先に、
構造の言葉が出てくるのです。
ワーク①|分岐点を「感覚ゾーン」で分ける
ここから、実際のワークに入ります。
まずは数字を使いません。
問い①
売上を3つのゾーンに分けるとしたら?
- しんどいゾーン
- ギリギリ耐えるゾーン
- 明らかに楽になるゾーン
この3つを、
自分の感覚で書き出してください。
ポイントは、
過去の経験を思い出すこと
です。
- 一番苦しかった時期
- 少し余裕が出た時期
- 気持ちが前向きだった時期
それぞれ、
どんな状態でしたか?
ケーススタディ②|感覚を言葉にした瞬間、整理が進んだ社長
サービス業B社。
最初は、
全部、忙しかったですね…
という反応でした。
しかし丁寧に振り返ると、
- 赤字だけど回っていた時期
- 黒字だが余裕がなかった時期
- 利益が残り始めた時期
が、
はっきり分かれていました。
この整理だけで、
ああ、
ここが分岐点だったんですね
と、社長自身が納得されました。
ワーク②|「何が変わると」分岐点を超えるのか
次のステップです。
問い②
分岐点を超えると、何が変わりますか?
考える切り口は、
- お金の面
- 気持ちの面
- 判断の面
です。
例えば、
- 値引きに応じなくなる
- 無理な仕事を断れる
- 投資を考えられる
これらはすべて、
分岐点を超えた後の変化です。
分岐点は「売上の話」だけではない
ここで、
重要な勘違いを一つ正します。
損益分岐点は、
売上だけで決まるものではありません。
- 粗利率
- 固定費
- 仕事のやり方
が変われば、
分岐点は簡単に動きます。
つまり、
分岐点は、
会社の構造そのもの
なのです。
ワーク③|自社の分岐点を一文で表現する
いよいよ、
今日のメインワークです。
以下の型を使ってみてください。
うちは、
【どんな固定費構造】なので、
【どんな粗利】を前提にすると、
【このライン】を超えない限り、
利益が残らない会社である
完璧でなくて構いません。
重要なのは、
- 自分の言葉で
- 構造として
説明できているかどうかです。
ケーススタディ③|一文が、経営会話を変えた
製造業C社。
完成した一文は、こうでした。
うちは、
人件費が固定的にかかる構造なので、
一定量の受注を超えないと、
いくら忙しくても利益が出ない会社です
この一文ができたことで、
- 採算の合わない短納期案件
- 人を疲弊させる仕事
を、
はっきり断れるようになりました。
分岐点を言葉にすると、何が起きるか
分岐点を言葉で説明できるようになると、
- 会話が噛み合う
- 判断がブレにくい
- 社内説明が楽になる
という変化が起きます。
なぜなら、
なぜ今は我慢なのか
なぜ今は攻めるのか
を、
感覚ではなく構造で説明できる
ようになるからです。
数字が苦手な社長ほど、このワークが効く理由
このワークでは、
- 難しい計算
- 会計用語
- 複雑な表
を使っていません。
それでも、
経営の見通しが
一段クリアになる
はずです。
なぜなら、
社長に必要なのは
正確な数字より、
判断できる言葉
だからです。
次回予告|分岐点を動かす3つのレバー
次回は、
- 分岐点を下げる
- 分岐点を越えやすくする
ための、
社長が触れる3つのレバー
について解説します。
今日書いた一文があると、
次回の内容が一気に立体的になります。
ぜひ、
自分の言葉で
分岐点を書き切ってみてください。
今日の一言
損益分岐点は、
計算するものではなく、
語れるようになるもの。
