
「数字が分かった」だけでは、まだ半分
前回までで、
- 利益構造を整理し
- 見る数字を絞り
- 自社用の利益管理シートを作る
ところまで来ました。
ここで多くの社長が、
こう感じます。
「なるほど、うちの会社は
こういう構造だったのか」
これは、とても大きな一歩です。
ただし、
本当に重要なのはその先。
利益構造が“見えた”会社に、
その後、何が起きるのか
今回はそこを、
実例ベースでお話しします。
変化①|社長の「迷い」が減る
最初に起きる変化は、
とても地味ですが、
圧倒的に効きます。
それは、
社長が迷う時間が減る
という変化です。
以前の状態|判断は毎回「感覚勝負」
利益構造が見えていない頃は、
- 売上が上がった/下がった
- 忙しい/暇
- 周りの会社の動き
こうした情報に、
判断が引っ張られがちです。
結果、
- 今やるべきか
- もう少し待つべきか
を、
毎回悩むことになります。
利益構造が見えると、判断軸が固定される
一方、利益構造が見えると、
社長の頭の中に
一本の軸が通ります。
それは、
「この判断は、
利益構造を壊さないか?」
という問いです。
- 売上が増えても
- 周りが動いていても
この軸に照らして考えるだけ。
迷いが消える理由は、
ここにあります。
ケース①|「忙しいのに苦しい」から抜けた会社
ある会社は、
- 仕事は増えている
- 社員も忙しい
それでも、
利益が残らない状態でした。
利益構造を整理すると、
粗利率の低い仕事ほど
忙しさを生んでいる
ことが一目で分かりました。
それ以降、
- 受ける仕事
- 断る仕事
の判断が、
驚くほど早くなりました。
変化②|「売上至上主義」から卒業できる
次に起きるのが、
社長の意識の変化です。
売上を追っていた頃の思考
利益構造が見えていないと、
どうしても、
売上を増やせば何とかなる
という思考に寄ります。
その結果、
- 値引き
- 無理な受注
- 人を増やす
といった判断を、
勢いでしてしまいます。
利益構造が見えると、見る数字が変わる
利益構造が見えると、
社長が最初に見る数字は、
- 売上
ではなく - 粗利と固定費
になります。
すると自然に、
「その売上は、
本当に意味があるか?」
と考えるようになります。
これは、
売上を軽視するという話ではありません。
売上を
“利益の材料”として
見られるようになる
という変化です。
ケース②|売上が下がったのに、楽になった社長
ある社長は、
- あえて売上を減らす
- 粗利率の低い仕事をやめる
という決断をしました。
結果、
- 売上は一時的に減少
- しかし、利益率は改善
それ以上に大きかったのは、
社長の精神的な余裕
でした。
「売上が下がったのに、
前より安心して眠れる」
これは、
利益構造が見えた会社で
よく聞く言葉です。
変化③|人に「任せられる」ようになる
利益構造が見えると、
次に起きるのが
組織面の変化です。
任せられなかった理由は「不安」
社長が現場を手放せない理由は、
能力不足ではありません。
多くの場合、
「判断基準を
自分しか持っていない」
ことが原因です。
利益構造は、共通言語になる
利益構造が整理されると、
- どこで儲かっているか
- 何をすると危ないか
を、
言葉と数字で説明できます。
すると、
- 現場判断
- 見積判断
- 優先順位
を、
任せられるようになります。
ケース③|「全部自分」から抜け出した社長
ある社長は、
「結局、最後は自分が見ないと不安」
という状態でした。
利益構造を共有したことで、
- 判断基準を数値で共有
- OK/NGのラインを明確化
結果、
「報告の質」が
劇的に変わった
と言います。
変化④|投資判断が冷静になる
利益構造が見えると、
投資に対する姿勢も変わります。
以前は「期待」で決めていた
- うまくいきそう
- 流行っている
- 勧められた
こうした理由で、
投資を決めていませんでしたか?
これからは「構造」で見る
利益構造が見えると、
この投資は、
どこに影響するか?
を、
分解して考えられます。
- 粗利が上がるのか
- 固定費が増えるのか
- 分岐点はどう動くのか
感情ではなく、
構造で判断できるようになります。
変化⑤|銀行・外部との会話が変わる
最後に触れておきたいのが、
対外的な変化です。
説明できる社長は、信頼される
利益構造が見えると、
- なぜ今こうなのか
- これからどうするのか
を、
1枚の構造図で説明できます。
銀行や取引先が
評価するのは、
完璧な数字
ではなく
理解しているかどうか
です。
利益構造が見えた会社の共通点
ここまでの変化をまとめると、
利益構造が見えた会社には
共通点があります。
- 判断が早い
- 一貫性がある
- ブレにくい
これは特別な才能ではありません。
見る数字と
並べ方が変わっただけ
です。
利益管理は「仕組み」ではなく「姿勢」
最後に、
とても大事なことをお伝えします。
利益構造設計は、
- テクニック
- 管理手法
ではありません。
社長が、
会社とどう向き合うか
という姿勢そのものです。
シリーズを通して伝えたかったこと
このシリーズで
一貫してお伝えしてきたのは、
利益は、
頑張った結果ではなく
設計の結果
という考え方です。
そして、
管理できる社長とは、
数字に強い社長ではなく
数字と対話できる社長
です。
今日の一言
利益構造が見えると、
社長の判断は驚くほど静かで、
強くなる。
