
― 問題は「値上げ」ではない。「設計」ができていないだけ ―
「値上げしないと、もう厳しいんです」
事業構造の話をしていて、
STEP3の「収益構造」に入った瞬間、空気が変わることがあります。
社長の口から出てくるのは、こんな言葉です。
- 「本当は値上げしたいんですけど…」
- 「でも、お客さんが離れそうで怖くて」
- 「うちは価格競争の業界なので…」
この瞬間、多くの社長の頭の中では、
「収益=値上げするか、しないか」
という二択になっています。
ですが、最初にハッキリ言っておきます。
STEP3でやることは、値上げではありません。
収益の“設計”です。
値上げの話になると、なぜこんなに苦しくなるのか
そもそも、なぜ収益の話はこんなに重たくなるのでしょうか。
理由はシンプルです。
多くの会社で、収益が後付けになっているからです。
- 仕事が決まる
- 内容が固まる
- さて、いくらにしようか…
この順番で価格を決めていませんか?
このやり方だと、どうしてもこうなります。
- 「これで高すぎないかな…」
- 「今回は安めにしておこう」
- 「次こそは、ちゃんと取ろう」
つまり、
価格が“お願い”になるのです。
価格がブレる会社の共通点
収益に悩んでいる会社には、
驚くほど共通点があります。
それは、
「誰から、何に対して、お金をもらっているのか」
が整理されていないという点です。
例えば、
- 作業量に対してなのか
- 成果に対してなのか
- 判断や責任に対してなのか
ここが曖昧なままだと、
価格は必ずブレます。
なぜなら、
自分たちが何を売っているのか、分からないまま
金額を付けているからです。
ケーススタディ|作業量でしか価格を決められなかった会社
ある支援系の会社の話です。
この会社の見積は、
- 工数
- 回数
- 人数
これらを積み上げて作られていました。
一見、合理的です。
ですが、問題がありました。
- 効率化すると売上が下がる
- 社長が関わるほど利益が減る
- 「高い」と言われると反論できない
なぜか。
お客さんが払っているのは、
作業ではなく「判断と安心」だったからです。
そこで、この会社は
「何に対してお金をもらうのか」
を整理し直しました。
- 単なる作業 → 課題解決の設計
- 時間 → 経営判断の質
- 回数 → 伴走する責任
すると、
価格の説明が圧倒的に楽になり、
値下げ交渉がほぼなくなったのです。
収益構造とは「価格表」ではない
ここで、重要な定義を置いておきます。
収益構造とは、価格表のことではありません。
収益構造とは、
- 誰から
- どんな価値に対して
- どんな形で
- 継続的に
お金が入ってくるか
この一連の流れのことです。
つまり、
お金の入り方の設計図
と言ってもいい。
価格は、その一部に過ぎません。
「高く売る」よりも、「取り方を変える」
STEP3で考えるべきなのは、
「高く売れるかどうか」ではありません。
考えるべきは、
「今の取り方が、提供価値と合っているか」
です。
例えば、
- 一回ごとの単発課金
- 月額・定額
- 成果連動
- フェーズごとの区切り
同じ価値でも、
取り方が変われば、
お互いの負担感はまったく違います。
多くの場合、
「値上げが怖い」のではなく、
今の取り方が無理を生んでいるだけなのです。
収益構造を組み替える3つの視点
ここで、実際に考えてほしい視点を
3つ紹介します。
① 誰が一番、価値を感じているか
すべてのお客さんが、
同じ価値を感じているわけではありません。
- 一番助かっているのは誰か
- 一番感謝されているのはどの層か
ここを基準に考えます。
② 何が一番、再現性のある価値か
頑張りすぎないと出せない価値は、
構造として弱い。
- 仕組みで提供できるか
- 他の人でも再現できるか
がポイントです。
③ 続けられる形になっているか
利益だけでなく、
- 社長の時間
- 社員の負荷
- 精神的な消耗
も含めて、
続くかどうかで判断します。
「儲からない仕事」をやめるのは、勇気ではない
収益構造を見直すと、
必ず出てくるのがこの問題です。
「この仕事、正直あまり儲からないな…」
ここで多くの社長は悩みます。
- 長年の付き合いがある
- お世話になっている
- 断ったら悪い気がする
ですが、冷静に考えてみてください。
儲からない仕事を続けることで、
本当に守りたいお客さんに
十分な価値を提供できていますか?
収益構造を組み替えるとは、
大切にする相手を選び直すこと
でもあるのです。
市場 × 提供価値 × 収益構造 が揃った瞬間
STEP1で市場を決め、
STEP2で提供価値を定義し、
STEP3で収益構造を組み替える。
この3つが揃うと、
会社の中でこんな変化が起きます。
- 価格に迷わなくなる
- 断る理由が明確になる
- 社長のストレスが減る
そして何より、
「この仕事なら、続けられる」
という感覚が生まれます。
次回予告|忙しさの正体は「仕事の設計ミス」
次回は、
STEP4:業務構造を組み替える
を扱います。
- なぜ忙しさが減らないのか
- なぜ社長が手放せないのか
その原因を、
根性論ではなく
構造の視点で解き明かします。
今日の一言
利益は、お願いしても残らない。
設計した会社にだけ、自然と集まる。
収益構造を整えた瞬間から、
お金の話は“苦しいもの”ではなく、
経営の武器に変わります。
