
「値上げしたいけど怖い」は、実はお金の問題ではない
収益の話になると、
社長の口調が少し変わる瞬間があります。
- 「値上げしたら、お客さんが離れそうで…」
- 「今はまだ、その段階じゃない気がします」
- 「お金の話は、どうも苦手で」
もし、これに心当たりがあるなら、
安心してください。あなただけではありません。
ただし、ここで一つだけ、はっきりさせておきます。
収益が安定しない原因は、
数字が分からないからではありません。
“感情”と“設計”がごちゃ混ぜになっているからです。
STEP3は、その状態を切り分ける工程です。
STEP3は「儲け方」を考えるステップではない
まず誤解を解きましょう。
STEP3 収益設計は、
- 売上を伸ばす方法
- 値上げテクニック
- 利益率を上げる裏技
を考えるステップではありません。
このステップの本質は、
「この事業構造で、ちゃんとお金が残るか?」
を、感情抜きで検証すること。
つまり、
「好き」「怖い」「申し訳ない」
といった感情を一度脇に置き、
数字だけで会話する時間を作る、ということです。
社長がお金の話を避ける、よくある3つの理由
ここで少し、社長心理を整理しておきましょう。
お金の話を避けたくなる理由は、だいたい次の3つです。
① お客さんにどう思われるかが気になる
- 高いと思われたらどうしよう
- 強欲だと思われないか
- 関係が壊れないか
これは、とても人間的な感情です。
② 自分の価値を値段で測られる気がする
価格を決めることが、
自分自身の評価を突きつけられるようで、
無意識に避けてしまう。
③ 正解が分からない
- この価格で合っているのか
- 高すぎないか
- 安すぎないか
基準がないため、
感覚に頼らざるを得なくなります。
STEP3は、
この3つをすべて「設計」の話に変える工程です。
収益は「結果」ではなく「構造」で決まる
多くの社長は、こう考えがちです。
「売上が上がれば、利益も残るはず」
ですが、実際は逆です。
利益が残る構造になっていなければ、
売上が増えるほど苦しくなります。
- 忙しいのにお金が残らない
- 売上は過去最高なのに余裕がない
- 社長だけが疲れていく
これは、努力不足ではありません。
収益設計がされていない構造の問題です。
ワーク①|まず「理想の利益」から決める
STEP3で最初にやるワークは、
売上計算ではありません。
利益を先に決めます。
質問は、これだけです
この事業で、
年間いくら残っていれば、
社長として“やっていける”と感じますか?
ポイントは、
- 欲しい売上
- 目標売上
ではなく、
残したい金額を考えること。
よくあるNG例
- 「売上1億円は欲しい」
- 「前年より20%アップ」
- 「なんとなく、このくらい」
これでは、
構造設計ができません。
大切なのは、
- 社長の生活
- 精神的余裕
- 次の投資
これらを支えるための、
現実的な利益額です。
ワーク②|「1件あたりの儲け」を分解する
次にやるのが、
1件あたりの収益構造を分解する作業です。
ここで初めて、
売上とコストを扱います。
書き出すのは、次の4つ
- 顧客からもらっている金額
- 直接かかっている原価
- その仕事に使っている時間
- 社長が関与している時間
この4点を並べるだけで、
驚くほど多くのことが見えてきます。
ケーススタディ:制作会社の例
ある制作会社では、
- 受注金額:50万円
- 原価(外注費):20万円
- 作業時間:80時間
- 社長関与:30時間
という案件が主力でした。
数字を整理すると、
- 利益:30万円
- しかし、社長の関与時間が多すぎる
結果として、
- 件数を増やすほど社長が忙しくなる
- 利益は出ているのに余裕がない
という構造だと分かりました。
問題は価格ではなく、
関わり方と設計だったのです。
ワーク③|「感情が入っている数字」を見つける
ここがSTEP3の核心です。
数字を書き出していると、
必ず、こんな数字が出てきます。
- 「本当は、もう少し取りたいけど…」
- 「ここはサービスだから」
- 「昔からこの価格でやっている」
これらはすべて、
感情が入り込んだ数字です。
感情が悪いわけではありません。
ただし、設計の場に持ち込むと、
判断を誤ります。
感情と設計を分ける質問
ここで、社長にこう問いかけてください。
この価格は、
この構造を続ける前提で、
本当に持続可能ですか?
YESと言えないなら、
それは“設計ミス”です。
収益設計は「守り」ではなく「攻め」の準備
収益設計というと、
コスト削減や我慢の話に聞こえがちです。
ですが、実際は逆です。
収益が設計されているからこそ、
攻めの判断ができる。
- 新しい市場に挑戦する
- 人を採用する
- 値下げではなく、選別ができる
これらはすべて、
「この構造なら大丈夫」という
数字の裏付けがあってこそ可能になります。
STEP3のゴールは「腹落ちする数字」を持つこと
STEP3で目指すゴールは、
完璧な計算表を作ることではありません。
社長自身が、
この数字なら続けられる、
この構造なら判断できる、
と腹落ちしている状態。
- 高いか安いか
- 多いか少ないか
ではなく、
- 持続可能かどうか
この軸で、
お金を見られるようになること。
今日の一言
収益は、気合や我慢で生まれるものではない。
感情を切り離し、
「残る前提」で設計した構造の中で、
自然に生まれる結果だ。
お金の話を避けなくなったとき、
社長の意思決定は、
一段、静かで強いものに変わります。
