⑤社長がいなくても回る会社は、何を確認しているのか


― 「管理しない社長」が、実は一番会社を見ている ―

「社長がいないと回らない会社」との決定的な違い

こんな話を聞いたことはありませんか?

  • 「あの会社、社長が不在でもちゃんと回ってるらしい」
  • 「社長が現場に口を出さないのに、業績が安定している」
  • 「トップが忙しそうにしていない」

一方で、現実にはこういう会社も多い。

  • 社長が出張すると、判断が止まる
  • 社長が休むと、現場がざわつく
  • 社長がいないと、誰も決められない

この差は、能力でも、やる気でもありません。
決定的な違いは、社長の“仕事の中身”です。

社長がいなくても回る会社では、
社長は「管理」していません。

代わりに、
👉 “確認”だけをしている
のです。

「管理」と「確認」は、まったく別の仕事

まず、言葉を整理しましょう。

多くの社長がやっているのは、実は「管理」です。

  • 細かい数字を全部見る
  • 現場の動きを逐一チェック
  • 気になるところに口を出す

一見、真面目で責任感があるように見えます。
でも、このやり方には限界があります。

なぜなら、
管理とは「自分が動く前提」の仕事
だからです。

一方、社長がいなくても回る会社で行われているのは、

「決めた通りに回っているか」を確かめるだけの仕事

これが「確認」です。

確認とは「探すこと」ではない

ここで、よくある誤解があります。

確認というと、

  • 問題がないか探す
  • ミスを見つける
  • 粗探しをする

こんなイメージを持たれがちです。

でも、本来の確認とは違います。

「想定通りか、想定外か」を見分ける作業

ただ、それだけです。

想定通りなら、何もしない。
想定外なら、初めて社長が出てくる。

この切り分けができているかどうかで、
社長の仕事量は劇的に変わります。

なぜ多くの社長は「確認」だけにできないのか

理由はシンプルです。

  • 何が想定通りなのか決まっていない
  • 何が想定外なのか定義されていない

つまり、

「確認する基準」が存在しない

からです。

これまでの回を振り返ってみてください。

  • 第2回:決めることを決めた
  • 第3回:見る数字を絞った
  • 第4回:判断基準を数字で固定した

ここまでやって、
初めて「確認」が成立します。

順番を飛ばすと、
確認は「管理」に逆戻りします。

ケーススタディ|E社長の仕事が激減した理由

従業員25名のE社。
以前は、社長が毎日現場の数字を追いかけていました。

  • 売上の細かい内訳
  • 各スタッフの動き
  • 日々のトラブル

本人は言います。

「見ていないと、不安で…」

そこで変えたのは、
社長が見るポイントを3つに絞ったことでした。

  • 月次の利益
  • 最重要KPI
  • キャッシュに関わる指標

さらに、こう決めました。

  • これが基準内なら、何もしない
  • 基準を外れたら、理由を聞く

たったこれだけです。

結果どうなったか。

  • 社長の口出しが激減
  • 現場は自分たちで考えるようになった
  • 社長は「考える仕事」に時間を使えるようになった

管理していたときより、
むしろ会社は安定しました。

社長が確認すべきは「異常値」だけ

ここで、とても大事なポイントがあります。

社長が毎回見る必要があるのは、

「正常かどうか」ではなく、「異常かどうか」

です。

  • 基準内 → 放置
  • 基準外 → 介入

これが徹底できると、

  • 社長の仕事は激減
  • 判断の質は向上
  • 現場の自走力は上がる

という好循環が生まれます。

逆に、

  • 毎回細かく見てしまう
  • つい口を出してしまう

と、
「基準がある意味」が消えてしまいます。

「社長が何もしない」ことへの恐怖

ここで、多くの社長が不安になります。

「本当に、それで大丈夫なんですか?」

正直に言います。
最初は、不安です。

なぜなら、

  • 社長が動かない
  • 社長が考えない
  • 社長が決めない

時間が増えるから。

でも、この“空白の時間”こそが、
社長の仕事を変えます。

  • 中長期の戦略を考える
  • 次の一手を考える
  • 自分自身の役割を再設計する

社長が現場から一歩引いて、
「確認」に専念できるようになった瞬間
会社は次のステージに進みます。

確認とは「信じる仕組み」である

最後に、少しだけ本質的な話をします。

確認とは、
現場を疑う行為ではありません。

「この仕組みなら大丈夫だ」と信じるための作業

です。

  • 基準が決まっている
  • 数字が見えている
  • 想定外は拾える

この状態を作った上で、
あとは信じて任せる。

社長がいなくても回る会社とは、

  • 社長が不要な会社
    ではなく
  • 社長が“常駐”しなくていい会社

なのです。

このシリーズのまとめ

ここまで5回にわたって、

  1. なぜ社長は疲れるのか
  2. 決めることを決める
  3. 見る数字を絞る
  4. 判断基準を数字で固定する
  5. 決めた通りかを確認する

という流れを見てきました。

どれか一つ欠けても、
「社長が楽になる構造」は完成しません。

でも、すべて揃ったとき、
社長の仕事はこう変わります。

決める → 確認する → 例外だけ対応する

これが、
社長業の完成形の一つです。

今日の一言

社長の仕事は、管理することではない。
「決めた通りに回っているか」を確認することだ。


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