
―「全部決める社長」から「会社を前に進める社長」へ―
「確認ばかりで、前に進んでいる気がしない」
ここまでの回で、
- 判断基準が揃っていない会社の危うさ
- 確認しない仕組みは必ず壊れること
を見てきました。
そこで、こんな疑問が浮かぶかもしれません。
「結局、確認ばかり増えるんじゃないの?」
「社長の仕事が楽になるどころか、増えるのでは?」
これは、とても自然な疑問です。
結論から言うと、
正しく設計された確認の先には、社長の仕事が“激減する世界”があります。
今回は、
- 確認の“本当のゴール”
- その先で、社長の仕事がどう変わるのか
を、具体的に描いていきます。
多くの社長が誤解している「確認の目的」
まず大前提として。
確認の目的は、
ミスを見つけることではありません。
- ダメ出し
- 粗探し
- 管理強化
これらを目的にした瞬間、
確認は地獄になります。
本当の目的は、これです。
判断を減らすための準備
ケース①:確認しているのに忙しい社長
ある社長は、毎日こう言っていました。
「確認ばっかりで、何も進まない」
話を聞くと、
- 見積もりを全部チェック
- 承認を全部自分でやる
- 細かい数字も全部見る
一見、しっかりしています。
しかしこれは、
判断を減らす確認ではなく、判断を増やす確認
でした。
確認には「2種類」ある
ここで整理しましょう。
確認には、大きく2種類あります。
① 都度確認
- 毎回見る
- 毎回判断する
- 毎回決める
これは、社長の仕事を減らしません。
② 仕組み確認
- 基準どおり動いているかを見る
- 例外だけを拾う
- 普段は何もしない
これが、
社長の仕事を減らす確認です。
確認の先にあるのは「判断しない状態」
うまく回っている会社では、
社長はこう言います。
「正直、ほとんど決めてないですよ」
これは怠慢ではありません。
- 決めることが減っている
- 決めなくていい状態が作られている
という意味です。
ケース②:社長が“暇そう”に見える会社
ある会社を訪問した時の話です。
- 社長は現場に口出ししない
- 会議も短い
- それでも会社は回っている
最初は、こう思いました。
「社長、あまり仕事していないのでは?」
実際に聞いてみると、答えは真逆でした。
決めることが、ほとんど起きないんです
なぜ、決めることが起きないのか
理由はシンプルです。
- 判断基準が決まっている
- 確認の仕組みがある
- 例外だけが上がってくる
つまり、
通常業務では、社長の出番がない
状態です。
社長の仕事は「確認 → 例外 → 次の一手」へ
確認がうまく機能し始めると、
社長の仕事はこう変わります。
Before
- 日々の判断
- 細かい承認
- 火消し
After
- 数字を見る
- ズレを把握する
- 次の一手を考える
ここで初めて、
社長にしかできない仕事
が前に出てきます。
例外対応こそ、社長の価値が出る場面
社長が対応すべきなのは、
- 想定外
- 基準を超えた事象
- 未来に影響する判断
です。
逆に言えば、
例外以外に社長が関わっている会社は、構造に問題がある
と言えます。
ケース③:例外対応だけになった社長の一日
ある社長の1日を聞きました。
- 朝:数字ダッシュボードを確認
- 異常なし → 何もしない
- 1件だけ基準外 → 30分対応
- あとは次の戦略を考える
本人はこう言います。
「楽になった、というより“まともな仕事”ができるようになった」
確認の先で、社長の視点が変わる
確認が仕組み化されると、
社長の視点が変わります。
- 目の前 → 全体
- 今日 → 数ヶ月先
- 対処 → 設計
この瞬間から、
社長は“現場の人”ではなくなる
のです。
「何もしない時間」が生まれる意味
ここで、少し怖い話をします。
多くの社長は、
- 予定が詰まっていない
- 何もしていない時間
に、不安を感じます。
でも実は、
この時間こそ、会社に一番必要な時間
です。
- 考える
- 選ぶ
- 捨てる
これは、
確認と判断を手放した社長にしかできません。
確認はゴールではなく、入口
誤解してほしくないのは、
確認=最終形
ではない、ということです。
確認は、
社長の仕事を本来あるべき場所に戻すための入口
です。
判断が壊れない会社の社長像
シリーズを通して描いてきた、
「うまく回る会社」の社長は、こんな存在です。
- 何でも決めない
- でも、何が起きているかは知っている
- 例外には必ず出てくる
- 未来の話をしている
忙しそうには見えません。
しかし、
会社は、確実に前に進んでいる
このシリーズのまとめ
- 判断を集めすぎると、会社は止まる
- 基準がないと、確認は意味を持たない
- 確認が設計されると、社長の仕事は激変する
そして最後に残るのは、
決めるべきことだけを、決める社長
です。
今日の一言
確認の先にあるのは、楽な社長ではない。
“本来の仕事だけをしている社長”である。
決めないために、
確認する。
それができた時、
社長の時間は、ようやく未来に使われ始めます。
