⑤確認の先に何があるのか、社長の仕事はどう変わるのか


―「全部決める社長」から「会社を前に進める社長」へ―

「確認ばかりで、前に進んでいる気がしない」

ここまでの回で、

  • 判断基準が揃っていない会社の危うさ
  • 確認しない仕組みは必ず壊れること

を見てきました。

そこで、こんな疑問が浮かぶかもしれません。

「結局、確認ばかり増えるんじゃないの?」
「社長の仕事が楽になるどころか、増えるのでは?」

これは、とても自然な疑問です。

結論から言うと、
正しく設計された確認の先には、社長の仕事が“激減する世界”があります。

今回は、

  • 確認の“本当のゴール”
  • その先で、社長の仕事がどう変わるのか

を、具体的に描いていきます。

多くの社長が誤解している「確認の目的」

まず大前提として。

確認の目的は、
ミスを見つけることではありません。

  • ダメ出し
  • 粗探し
  • 管理強化

これらを目的にした瞬間、
確認は地獄になります。

本当の目的は、これです。

判断を減らすための準備

ケース①:確認しているのに忙しい社長

ある社長は、毎日こう言っていました。

「確認ばっかりで、何も進まない」

話を聞くと、

  • 見積もりを全部チェック
  • 承認を全部自分でやる
  • 細かい数字も全部見る

一見、しっかりしています。

しかしこれは、

判断を減らす確認ではなく、判断を増やす確認

でした。

確認には「2種類」ある

ここで整理しましょう。

確認には、大きく2種類あります。

① 都度確認

  • 毎回見る
  • 毎回判断する
  • 毎回決める

これは、社長の仕事を減らしません。

② 仕組み確認

  • 基準どおり動いているかを見る
  • 例外だけを拾う
  • 普段は何もしない

これが、
社長の仕事を減らす確認
です。

確認の先にあるのは「判断しない状態」

うまく回っている会社では、
社長はこう言います。

「正直、ほとんど決めてないですよ」

これは怠慢ではありません。

  • 決めることが減っている
  • 決めなくていい状態が作られている

という意味です。

ケース②:社長が“暇そう”に見える会社

ある会社を訪問した時の話です。

  • 社長は現場に口出ししない
  • 会議も短い
  • それでも会社は回っている

最初は、こう思いました。

「社長、あまり仕事していないのでは?」

実際に聞いてみると、答えは真逆でした。

決めることが、ほとんど起きないんです

なぜ、決めることが起きないのか

理由はシンプルです。

  • 判断基準が決まっている
  • 確認の仕組みがある
  • 例外だけが上がってくる

つまり、

通常業務では、社長の出番がない

状態です。

社長の仕事は「確認 → 例外 → 次の一手」へ

確認がうまく機能し始めると、
社長の仕事はこう変わります。

Before

  • 日々の判断
  • 細かい承認
  • 火消し

After

  • 数字を見る
  • ズレを把握する
  • 次の一手を考える

ここで初めて、

社長にしかできない仕事

が前に出てきます。

例外対応こそ、社長の価値が出る場面

社長が対応すべきなのは、

  • 想定外
  • 基準を超えた事象
  • 未来に影響する判断

です。

逆に言えば、

例外以外に社長が関わっている会社は、構造に問題がある

と言えます。

ケース③:例外対応だけになった社長の一日

ある社長の1日を聞きました。

  • 朝:数字ダッシュボードを確認
  • 異常なし → 何もしない
  • 1件だけ基準外 → 30分対応
  • あとは次の戦略を考える

本人はこう言います。

「楽になった、というより“まともな仕事”ができるようになった

確認の先で、社長の視点が変わる

確認が仕組み化されると、
社長の視点が変わります。

  • 目の前 → 全体
  • 今日 → 数ヶ月先
  • 対処 → 設計

この瞬間から、

社長は“現場の人”ではなくなる

のです。

「何もしない時間」が生まれる意味

ここで、少し怖い話をします。

多くの社長は、

  • 予定が詰まっていない
  • 何もしていない時間

に、不安を感じます。

でも実は、

この時間こそ、会社に一番必要な時間

です。

  • 考える
  • 選ぶ
  • 捨てる

これは、
確認と判断を手放した社長にしかできません。

確認はゴールではなく、入口

誤解してほしくないのは、

確認=最終形
ではない
、ということです。

確認は、

社長の仕事を本来あるべき場所に戻すための入口

です。

判断が壊れない会社の社長像

シリーズを通して描いてきた、
「うまく回る会社」の社長は、こんな存在です。

  • 何でも決めない
  • でも、何が起きているかは知っている
  • 例外には必ず出てくる
  • 未来の話をしている

忙しそうには見えません。

しかし、

会社は、確実に前に進んでいる

このシリーズのまとめ

  • 判断を集めすぎると、会社は止まる
  • 基準がないと、確認は意味を持たない
  • 確認が設計されると、社長の仕事は激変する

そして最後に残るのは、

決めるべきことだけを、決める社長

です。

今日の一言

確認の先にあるのは、楽な社長ではない。
“本来の仕事だけをしている社長”である。

決めないために、
確認する。

それができた時、
社長の時間は、ようやく未来に使われ始めます。


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