④P/LとB/Sは、仕訳を知らなくてもこう繋がっている


―― 「儲かっているのにお金がない」の正体を一気にほどく


「黒字なのに、なぜか不安」になる理由

ここまでの3回で、私たちはあえて、

  • 仕訳を教えず
  • 勘定科目も深掘りせず
  • 会計ソフトを“判断ツール”として使う

という話をしてきました。

すると、多くの社長から、
こんな声が出てきます。

「P/Lは、なんとなく見えるようになってきた」
「でも…B/Sがよく分からない」
「黒字なのに、なぜか安心できない」

ここで初めて出てくるのが、
P/LとB/Sの関係というテーマです。


P/LとB/Sは「役割」がまったく違う

まずは、超シンプルに整理しましょう。

P/L(損益計算書)とは?

一定期間の“頑張りの結果表”

  • 売上はいくらだったか
  • 経費はいくらかかったか
  • 結果、利益はいくらか

👉 「今月・今年、どうだったか?」を見る表


B/S(貸借対照表)とは?

ある一時点での“会社の体力表”

  • いま、何を持っているか
  • いま、何を抱えているか
  • 純粋な残りはどれくらいか

👉 「いま現在、どうなっているか?」を見る表


よくある誤解

多くの社長は、こう思っています。

「P/Lが良ければ、B/Sも良いはず」

でも、現実は違います。

P/Lが黒字でも、B/Sが弱い会社
は、いくらでもあります。


事例|黒字なのに、資金繰りが苦しい会社

ある小規模事業者の例です。

  • 毎月のP/Lは黒字
  • 税理士からも「利益出てますね」と言われる
  • でも、通帳残高はいつもギリギリ

社長はこう言いました。

「利益って、どこに消えてるんですか?」

この疑問を解くカギが、
P/LとB/Sの違いです。


「儲け」と「お金」は、そもそも別物

ここで、一番大事な話をします。

利益(儲け)=お金の増減
ではありません。

これは、感覚的にかなり裏切られます。

なぜズレが起きるのか?

理由はシンプルです。

  • P/Lは「約束ベース」
  • B/Sは「現実ベース」

だからです。


ケース①|売上は立ったが、まだ入金されていない

  • 今月、100万円の売上
  • でも、入金は来月

P/Lでは、

「今月は100万円売った」

と記録されます。

でもB/Sでは、

「まだお金はない」
「代わりに“もらう権利”がある」

という状態になります。


ケース②|パソコンを買った場合

  • 30万円のパソコンを購入
  • 現金は減った

でもP/Lでは、

「今月、30万円の損」
にはなりません。

B/Sに、

「パソコンという“モノ”を持っている」

と記録されます。


ここで初めて出てくる「仕訳」の意味

ここまでの話で、
こう感じた方もいるかもしれません。

「じゃあ、このズレをつないでいるのが仕訳?」

その通りです。

仕訳の正体

仕訳とは、
“P/LとB/Sを同時に動かすためのルール”

です。

  • 何かが起きる
  • P/LかB/S(あるいは両方)が動く
  • その動きを記録する

これが仕訳です。


仕訳は「原因」、財務諸表は「結果」

ここで、仕訳の位置づけをはっきりさせます。

  • 取引・出来事 → 原因
  • 仕訳 → 原因の翻訳
  • P/L・B/S → 結果

つまり、

社長が見るべきは「結果」
仕訳は、その裏側の翻訳機

なのです。

だから前半3回では、
あえて仕訳を扱いませんでした。


図で考えると、一気に分かる

(※ブログでは図解を入れると非常に効果的です)

イメージ

  1. 現場で何かが起きる
  2. 会計ソフトが判断を質問する
  3. 裏側で仕訳が切られる
  4. P/LとB/Sに結果が出る

社長は、
④だけを読めればいい


社長は、仕訳をどこまで分かれば十分か?

ここで、非常に重要な線引きをします。

社長が分かっていれば十分なこと

  • なぜ利益とお金がズレるのか
  • この取引は、P/LかB/Sか
  • 今月の判断に、どこが影響しているか

社長が分からなくていいこと

  • 仕訳の左右(借方・貸方)
  • 細かい勘定科目の定義
  • イレギュラーな会計処理

ここをやり始めると、
また「勉強はしたが、使えない」状態に戻ります。


事例|B/Sを“怖い表”から“安心材料”に変えた社長

ある社長は、
B/Sを見るたびにこう言っていました。

「数字が多すぎて、正直見たくない」

そこで、こう伝えました。

「B/Sは、会社の“今の写真”です」
「増えたか、減ったかだけ見てください」

  • 現金は増えた?減った?
  • 借入は減っている?
  • 未回収が増えていない?

すると、

「あ、今は無理していい時期じゃないですね」

と、自分で判断できるようになりました。


P/LとB/Sが分かれると、社長は自由になる

P/LとB/Sを分けて考えられるようになると、

  • 黒字でも浮かれなくなる
  • 赤字でも冷静になれる
  • 数字に振り回されなくなる

ようになります。

これは、
仕訳を覚えたからではありません。

構造を理解したからです。


次回予告|最低限これだけ知ればいい「社長のための仕訳」

次回は、

「社長が最低限知っておくべき5つの仕訳パターン」

を扱います。

  • 仕訳を“暗記”しません
  • 借方・貸方も、極力使いません
  • 「だからP/LとB/Sがこう動くのか」
    が分かる形で整理します

今日の一言

「仕訳は覚えるものではない。
P/LとB/Sのズレを説明する“通訳”である。」


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