ー 導き出したポジションを生き残れる形にする|第1回目(全6回) ー
いいポジションなのに、なぜか苦しい…その理由
前シリーズ(価格競争から抜け出すためのポジショニング再構築)では、
「価格競争に巻き込まれないポジション仮説」を言葉にしてきました。
ここまで来ると、多くの人がこう感じます。
「方向性は見えた」
「前よりブレなくなった」
「安売りしなくてもよさそうな気がする」
──それなのに、なぜか手元にお金が残らない。
忙しいのに、将来の不安が消えない。
もしそんな違和感があるなら、
原因はほぼひとつです。
そのポジションで、
『誰が』『何に』お金を払っているのかが、
まだ曖昧なのです。
本シリーズは、ここからが本番です。
ポジショニングを
「思想」から「生存戦略」へ変えていきます。
ポジション=売れる、ではない
最初に、少し耳の痛い話をします。
どれだけ共感されるポジションでも、
どれだけ「それ、いいですね」と言われても、
お金を払う人がいなければ、ビジネスとしては成立しません。
ここで多くの人が混同しがちなものがあります。
- 共感してくれる人
- 褒めてくれる人
- 応援してくれる人
と、
- 実際にお金を払う人
は、まったくの別物だということです。
STEP7では、
あえて夢から一段降りて、
現実的なお金の話をします。
「お客さん」は一人じゃない、という話
まず押さえておきたい大前提があります。
それは、
「価値を感じる人」と「お金を払う人」は、必ずしも同じではない
ということ。
例えば、こんなケース。
- 現場で使う人は現場スタッフ
- 判断するのは上司
- お金を出すのは会社
このとき、
- 誰が困っているのか
- 誰が決裁するのか
- 誰が財布を握っているのか
これを分けて考えないと、
話は一気にズレ始めます。
STEP7では、
ポジションを次の2軸で分解します。
- 誰が、お金を払うのか
- 何に対して、お金を払っているのか
STEP7-①|「誰が払うのか」を曖昧にしない
まずは、「誰が」です。
ここでよくある失敗は、
ターゲットをこう言ってしまうこと。
「中小企業の経営者」
「個人事業主」
「お店をやっている人」
──これ、実はほとんど何も言っていません。
大事なのは、
その人が、どんな立場で、どんな責任を負っているか。
もう一段、踏み込みます
例えば「経営者」でも、
- 自分で現場に出ている人
- 現場を任せている人
- 数字に強い人
- 数字を見るのが怖い人
では、
お金の使い方がまったく違います。
「誰が払うのか」は、
肩書きではなく、意思決定の背景で捉える。
これが、STEP7の最初のポイントです。
ケース①|「いい人」ばかり集まるが、売れない理由
あるコンサル系サービスの話です。
ポジションはとても共感されていました。
- 寄り添います
- 一緒に考えます
- 優しく支援します
SNSでは反応もよく、
「いい考えですね」と言われることも多い。
しかし、
実際にお金を払ってくれる人は少ない。
なぜか。
お金を払える人──
つまり、
本気で困っていて、決断の責任を負っている人
に届いていなかったのです。
結果として集まったのは、
- まだ悩みが浅い人
- そのうち何とかなると思っている人
- 情報収集段階の人
STEP7では、
こうした「優しいけど払わない層」を
意図的に外す勇気が必要になります。
STEP7-②|人は「商品」ではなく「問題」にお金を払う
次に考えるのが、「何に払うのか」。
ここでも、多くの人がズレます。
「うちは、このサービスを売っています」
「このメニューが商品です」
でも、顧客の頭の中はこうです。
「この問題、どうにかならないかな」
「この不安を解消したい」
「この面倒から解放されたい」
人は、モノやサービスにお金を払っているのではありません。
“解決したい問題”にお金を払っています。
ケース②|同じ内容なのに、売れる人・売れない人
同じ内容の支援をしている2人がいました。
Aさんの説明:
「経営戦略の整理と数値の可視化を行います」
Bさんの説明:
「このまま続けて、3年後に会社が残るかどうかを
一緒に判断できる材料を作ります」
やっていることは、ほぼ同じ。
でも、
お金を払う人が集まったのはBさんでした。
理由はシンプル。
Bさんは「商品」ではなく、
「払う理由」を言語化していたから。
「払う理由」が弱いポジションは、生き残れない
STEP7で見直したいのは、
あなたのポジションが、
- どんな問題を前提にしているのか
- その問題は、本当にお金を払うほど深刻か
- 先送りできない性質のものか
という点です。
特に重要なのが、これ。
「今すぐ決めないと困る人」かどうか。
- 不安だけど、まだ様子見できる
- 困ってはいるが、致命的ではない
このレベルだと、
「いい話ですね」で終わります。
ポジション × お金 が噛み合った瞬間
ポジションが「生き残れる形」になるのは、
次の2つが重なったときです。
- その人は、本気で困っている
- その問題に、お金を払う権限がある
この2つがズレている限り、
どれだけ言葉を磨いても、
どれだけ発信しても、
ビジネスは苦しいままです。
STEP7は、
あえて夢を削り、
「払われる現実」に向き合うステップ。
ですが、ここを越えると、
ポジションは一気に地に足がつきます。
本シリーズは、ここから“厳しく、でも面白くなる”
今回のSTEP7は、
正直、あまり気持ちのいい話ではありません。
でも、
ここを通らずに生き残れるポジションは存在しない
というのも事実です。
次回以降は、
- じゃあ、その人は「いくらまで払えるのか」
- その価格を支える構造はどう作るのか
と、さらに踏み込んでいきます。
今日の一言
ポジションは、
「共感されるか」ではなく、
「誰が、何に、お金を払うか」で完成する。
ここを言葉にできたとき、
あなたのポジションは
「選ばれる」から「生き残る」へ進みます。
