ー 導き出したポジションを生き残れる形にする|第4回目(全6回) ー
「頑張れば何とかなる」は、もう卒業しよう
本シリーズのここまでで、あなたはすでに、
- 誰が・何にお金を払うのかを定め(STEP7)
- 価格を正当化できる構造をつくり(STEP8)
- 売上を分解して成立条件を洗い出しました(STEP9)
この時点で、
多くの人がこんな気分になります。
「やることは分かった」
「あとは、頑張るだけだ」
でも、STEP10で一度、
その気持ちにブレーキをかけます。
なぜなら、
“頑張らないと成立しない設計”は、
長く生き残れないからです。
STEP10は、
夢や意欲を否定するステップではありません。
むしろ逆で、
自分をすり減らさずに続けるための、
最後の安全装置です。
なぜ「やらない前提」で考えるのか
タイトルを見て、
少し違和感を覚えたかもしれません。
「やらない前提って、どういうこと?」
ここで言う「やらない」とは、
- 毎日フル稼働しない
- 常に全力投球しない
- 限界まで時間を使わない
という意味です。
多くのビジネスが破綻するのは、
戦略が間違っているからではありません。
“常に頑張り続けること”が、
前提条件になっているからです。
STEP10では、
あえてこう考えます。
「もし、これ以上は頑張れないとしたら?」
「これ以上、仕事量を増やさないとしたら?」
その条件でも成立するかどうかを、
冷静にシミュレーションします。
利益は「気合」ではなく「余白」から生まれる
ここで、
利益についての考え方を整理しましょう。
利益とは、
- 売上が多いこと
- 忙しいこと
ではありません。
利益とは、
“余白がある状態”でしか生まれないものです。
- 判断する余白
- 休む余白
- 改善する余白
これらがないビジネスは、
一時的に回っても、
必ずどこかで崩れます。
STEP10は、
その余白が本当に確保できるかを
数字で確かめる工程です。
STEP10-①|「最大」ではなく「最低」でシミュレーションする
まず最初にやるのは、
数字を控えめに置くことです。
多くの人は、
こういう前提で計算します。
- 月20日稼働
- 毎日フルで稼働
- すべて想定どおり進む
でも、現実はどうでしょう。
- 体調が悪い日
- 気が乗らない日
- 予期せぬトラブル
必ず起きます。
STEP10では、
こう前提を置き直します。
- 稼働日数は少なめ
- 客数は最低ライン
- 回数も控えめ
それでも、
利益が残るかどうかを見るのです。
ケース①|「理想通りなら黒字」だった人
ある人は、
シミュレーション上では黒字でした。
でも条件をよく見ると、
- 毎日予定が埋まっている
- 休みはほぼゼロ
- すべてが想定どおり進む前提
つまり、
「理想状態でしか成立しない」設計
だったのです。
STEP10で前提を下げてみたところ、
あっさり赤字になりました。
ここで初めて、
「この設計、無理があるな」
と気づけたのです。
これは失敗ではありません。
事前に壊れ方が分かった
という、大きな前進です。
STEP10-②|「やらない仕事」を先に決める
利益を残すために、
売上を増やす必要はありません。
むしろ重要なのは、
やらない仕事を決めることです。
- 単価の合わない仕事
- 手間ばかり増える仕事
- 気力を削られる仕事
STEP10では、
これらを一度すべて棚卸しします。
そして、
シミュレーションではこう考えます。
「これらを、全部やらなかったら?」
その状態でも成立するなら、
そのビジネスは強い。
逆に、
それらに頼らないと成立しないなら、
どこかに歪みがあります。
STEP10-③|「利益が残る最低ライン」を言葉にする
ここで重要なのは、
利益額そのものではありません。
STEP10のゴールは、
「これ以下なら、やらない」
と言えるラインを決めることです。
例えば、
- 月〇〇万円以下なら、仕事を減らす
- この単価以下は受けない
- この条件が揃わない案件は断る
こうした判断基準が、
数字として裏付けられているかどうか。
これがないと、
人は必ず「まあいいか」で動きます。
そして気づいたときには、
- 忙しい
- でも残らない
- 断れない
という状態に戻ってしまいます。
ケース②|「断れるようになった」結果
ある事業者は、
STEP10をやったあと、
仕事の受け方が変わりました。
- 条件に合わない案件を断れる
- 無理な依頼に流されなくなった
- 気持ちに余裕が生まれた
売上は、
一時的に少し下がりました。
でも、
- 利益は残る
- 疲れにくい
- 判断が速い
結果的に、
ビジネスとしては安定したのです。
STEP10は、
強気になるための数字ではなく、
冷静になるための数字なのです。
「やらない前提」は、弱さではない
ここで、
勘違いしてほしくないことがあります。
「やらない前提」とは、
- サボる
- 手を抜く
- 成長を諦める
という意味ではありません。
むしろ逆です。
続けるために、
無理を前提にしない
という、戦略的な選択です。
一度壊れてしまったら、
ビジネスは簡単には戻りません。
だからこそ、
壊れない設計を先につくる。
それがSTEP10です。
STEP10の終わりに
本シリーズのここまででは、
- ポジションを見つけ
- お金と結びつけ
- 数字で成立させ
- 無理なく続けられるかを確認しました
ここまで来て、
ようやくポジションは
ほぼ「生き残れる形」になります。
派手ではありません。
でも、静かに強い。
残すは、総仕上げの工程です。
今日の一言
「頑張らないと成立しないビジネス」は、
いつか必ず頑張れなくなる。
だからこそ“やらない前提”で、
先に成立させておく。
それが、
長く残るポジションの最後の条件です。
