ー 導き出したポジションを生き残れる形にする|第5回目(全6回) ー
売れているのに、なぜか苦しい
「仕事は増えている」
「問い合わせも来ている」
「売上も去年より上がっている」
それなのに、
・なぜかお金は残らない
・なぜか常に時間に追われている
・なぜか将来の安心感がない
こうした状態に心当たりがあるなら、それは努力不足でも、能力不足でもありません。
原因は、ほぼ例外なく
「忙しいだけで終わる構造」にハマっていることです。
今回のSTEP11は、
せっかく見つけたポジションが、
- 社長をすり減らすだけの仕事になるのか
- それとも“生き残れる商売”になるのか
その判定を行い、
「忙しいだけの構造の場合」は、その要因を排除するという工程です。
「忙しい=うまくいっている」という錯覚
まず最初に、強烈な勘違いを一つ壊しておきましょう。
忙しさは、成功の証ではありません。
むしろ中小事業者の場合、
忙しさは「構造が歪んでいるサイン」であることの方が多い。
よくあるパターン
- 受注は多い
- 断るのが怖くて全部引き受ける
- 単価は低め
- 作業は属人化
- 社長が現場に張り付き
この状態、外から見ると「繁盛店」です。
でも内側では、
「これ、いつまで続けられるんだろう…」
という不安が静かに膨らんでいきます。
忙しさは結果ではなく、
構造の副産物にすぎません。
「忙しいだけの構造」は、なぜ生まれるのか?
では、なぜこんな構造が生まれるのか。
理由はシンプルで、
ポジショニングの“次の問い”を考えていないからです。
多くの人が止まるポイント
STEP10までで、こんなことは考えています。
- 誰に向けて
- 何を提供し
- いくらで売るか
- 利益が出るか
ここまで来ると、「いけそうだ」という感触は得られます。
でも、STEP11の問いは別物です。
その利益は、
「どんな働き方」を前提に成り立っているのか?
ここを考えないと、
利益が出ても、身体と時間が削られていく構造になります。
「利益が出る」と「続けられる」は別物
ここで一度、言葉を整理しましょう。
- 利益が出る構造
- 続けられる構造
これは、似ているようで全く違います。
利益は出るけど続かない例
- 高単価だが、毎回フルオーダー
- 高利益だが、準備・対応が重い
- 一人でしか回せない
数字上は「正解」に見えても、
人間が先に限界を迎えます。
特に個人事業や小規模法人では、
社長の稼働 = 事業の稼働
になりやすい。
だからこそ、
「この利益は、どんな忙しさと引き換えか?」
を必ずセットで考える必要があるのです。
ケース:忙しさに潰れかけた専門家
ここで、よくあるケースを一つ。
Aさんは、ある分野の専門家。
ポジショニングも明確で、紹介が絶えません。
- 単価:そこそこ高い
- 依頼:毎月増加
- 評判:良好
一見、理想的です。
ところが実態は、
- 事前ヒアリングに毎回長時間
- 個別対応が多すぎる
- 替えがきかない
- 休むと売上が止まる
結果、
「仕事はあるのに、未来が見えない」状態に。
Aさんの問題は、
仕事の“質”ではなく、“構造”でした。
「忙しいだけで終わる構造」の共通点
こうした事業には、共通点があります。
代表的な特徴
- 時間売りに近い構造
- 毎回ゼロから考える仕事
- 判断・対応がすべて社長依存
- 断る基準が存在しない
- 「忙しい=必要とされている」という思い込み
これらが重なると、
どんなに良いポジションでも、
「消耗戦」になります。
STEP11の本質:「やらない」を先に決める
ここでSTEP11の核心です。
「忙しくならないために、何をやらないかを決める」
これは、後回しにすると必ず失敗します。
「やらない」を決めないと起きること
- 境界線がなくなる
- 要望が際限なく増える
- 想定外の作業が日常化
- 結果、常に時間不足
逆に言えば、
「やらない」を決めた瞬間、
事業は一気に軽くなる。
具体的に「排除すべき3つの構造」
では、何を排除すべきか。
代表的なものを3つ挙げます。
① 例外対応が前提の仕事
「今回は特別に…」
これが常態化すると、設計は崩壊します。
→ 例外は“設計ミスのサイン”
② 説明コストが毎回かかる仕事
毎回ゼロから説明が必要な仕事は、
忙しさの温床です。
→ 理解されない構造は、売り方が悪い
③ 社長しかできない工程が多すぎる
全部自分でやるほど、
事業は脆くなります。
→ 属人性は、強みではなくリスク
「忙しくならない利益」をどう作るか?
ここで重要なのは、
「楽をしたい」という話ではありません。
“持続可能な負荷”にするという話です。
考えるべき問いは、次の3つ。
- この仕事、何回繰り返せるか?
- 自分以外でも成立するか?
- 増えたとき、どう壊れるか?
この問いに答えられない仕事は、
いずれ忙しさで破綻します。
「頑張れば回る」は、設計ではない
最後に、かなり大事な話をします。
「今は大変だけど、頑張れば回る」
これは設計ではありません。
気合と根性に依存した仮置き状態です。
STEP11で求められるのは、
- 頑張らなくても壊れない
- 多少手を抜いても回る
- 想定内の忙しさで収まる
そんな構造を、
意図的に作ることです。
ポジションは「働き方」まで含めて完成する
ポジショニングというと、
- 誰に
- 何を
- どう売るか
に目が行きがちです。
でも本当は、
どんな毎日を前提に、その利益が生まれているのか
ここまで含めて、
ポジションは完成します。
忙しさに飲み込まれるか、
余白を持って続けられるか。
その分かれ目が、STEP11です。
今日の一言
忙しさは成果ではない。
設計の結果である。
ここを見誤らなければ、
あなたの事業は、ちゃんと“生き残れる形”になります。
