
――黒字なのに、なぜ苦しい?・第1回――
「黒字なのに、なぜこんなに苦しいんだろう?」
これは、私がこれまでに
何度も何度も聞いてきた社長の言葉です。
- 決算は黒字
- 税金も払っている
- 売上もそれなりに伸びている
それなのに、
- 通帳の残高を見ると不安になる
- 支払い前になると胃が痛い
- 「いつ楽になるんだろう」と思ってしまう
もし、あなたが少しでも
「分かる気がする」と思ったなら、
今日の話はきっと役に立ちます。
黒字倒産という言葉が、なぜ怖いのか
「黒字倒産」
この言葉を聞くと、多くの社長はこう思います。
- 無理な拡大をした会社
- 特殊な業界の話
- 経営が下手だった会社
でも、これは大きな誤解です。
黒字倒産は、
ごく普通の会社が、
ごく普通の判断を積み重ねた結果
として起こります。
【ケース①】決算書は黒字、通帳はスカスカ
ある小さな建設会社の話です。
- 年商:1億2,000万円
- 決算利益:300万円(黒字)
税理士からは、
「ちゃんと黒字ですよ。問題ないですね」
と言われていました。
しかし実際には、
- 支払いが重なる月は借入でしのぐ
- 社長の給料は後回し
- 気持ちは常に落ち着かない
社長はこう言いました。
「黒字って、こんなに苦しいものでしたっけ?」
黒字=安心、ではない
まず、ここをしっかり押さえましょう。
黒字は「利益が出た」という結果であって、
「お金がある」という意味ではありません。
このズレが、
すべての混乱の始まりです。
黒字倒産が起きる、シンプルすぎる理由
黒字倒産の原因は、
実はとてもシンプルです。
利益とお金は、動き方が違う
これだけです。
- 利益 → 会計上の結果
- お金 → 現実の資金の動き
この2つは、
同じようで、まったく別物です。
【ケース②】売上が伸びるほど、苦しくなった会社
別の会社では、こんなことが起きていました。
- 大口案件を獲得
- 売上は前年比120%
- 利益も一応黒字
社内は忙しく、
一見すると「順調」です。
ところが、
- 外注費の支払いが先
- 入金は3か月後
- 手元資金がどんどん減る
社長は、こう振り返ります。
「売上が伸びた瞬間から、
資金繰りのことしか考えられなくなりました」
黒字倒産は「失敗」ではなく「構造の問題」
ここで大事なことを言います。
黒字倒産は、
- 怠慢
- 無知
- 能力不足
ではありません。
構造を知らないまま、
経営していただけ
なのです。
そして、この構造は、
誰からもきちんと教わることがありません。
会計は教えてくれるが、資金繰りは教えてくれない
多くの社長が、
こんな経験をしています。
- 会計は「黒字」と言う
- 税理士も「問題ない」と言う
- でも、お金は足りない
なぜか。
会計は、
過去を正しく整理する仕組み
だからです。
一方で、
- 来月払えるか
- 3か月後はどうか
- 今、何を止めるべきか
こうした問いには、
会計は答えてくれません。
「黒字だから大丈夫」が一番危ない
黒字倒産が怖い理由は、
ここにあります。
- 赤字 → 危機に気づきやすい
- 黒字 → 危機に気づきにくい
黒字だと、
- 判断が遅れる
- 対策が後手に回る
- 「まだ大丈夫」と思ってしまう
これが、
取り返しのつかない差になります。
【ケース③】あと一歩で止まれた社長
ある社長は、
こう言っていました。
「黒字だから、
もう少し頑張れば回ると思ってました」
でも実際は、
- 頑張るほど資金が減る
- 仕事を取るほど苦しくなる
ギリギリで相談に来て、
こう言いました。
「もっと早く知っていれば…」
管理会計は、「黒字なのに苦しい理由」を言語化する
ここで登場するのが、
管理会計です。
管理会計は、
- なぜ黒字なのに苦しいのか
- どこでお金が詰まっているのか
- 何をすれば楽になるのか
を、
社長の言葉で理解できる形
にしてくれます。
黒字倒産を防ぐ第一歩は「疑うこと」
今日、持ち帰ってほしいのは、
たった一つです。
「黒字=安心」と思わないこと
- 黒字でも苦しければ、理由がある
- 苦しさには、必ず構造がある
- 構造は、把握すれば変えられる
これは、恐怖ではなく希望です。
黒字でも、不安なら。
それはあなたの感覚が、
正しく警告を出している証拠です。
ここから一緒に、
その正体を解き明かしていきましょう。
今日の一言
黒字はゴールではない。
黒字なのに苦しい理由を、
説明できないことが本当のリスクである。
