①固定費と変動費を分けられない会社は、必ず苦しくなる


――利益は、勝手には生まれない・第1回――

「売上はあるのに、なぜか楽にならない」

これは、多くの社長が口にする言葉です。

・そこそこ売れている
・仕事も途切れていない
・社員も忙しそう

なのに――
なぜか、ずっとしんどい。

お金の不安が消えない。
利益が出ている実感がない。
少し売上が落ちただけで、胃が痛くなる。

もし、この感覚に覚えがあるなら。
原因は、かなりの確率でここにあります。

固定費と変動費が、頭の中で混ざっている


利益は「結果」ではなく「構造」

多くの社長は、
利益をこう捉えています。

「頑張った結果、最後に残るもの」

でも実際は違います。

利益は、構造からしか生まれません。

・どんな売上で
・どんな費用がかかり
・どこまで耐えられるか

この構造が決まった瞬間、
「利益が出やすい会社」か
「苦しくなりやすい会社」かは、
ほぼ決まってしまいます。


その分かれ道が「固定費」と「変動費」

そして、その構造の一丁目一番地が、

固定費と変動費を分けて考えているかどうか

です。

これを分けられない会社は、
ほぼ例外なく、
どこかのタイミングで苦しくなります。


固定費とは「止められない出費」

まず、固定費。

固定費とは、
売上があっても、なくても発生する費用です。

たとえば、

・家賃
・人件費(固定給部分)
・リース料
・通信費
・システム利用料

仕事が増えても減っても、
基本的に毎月出ていくお金

これが固定費です。


変動費とは「動いた分だけ増える出費」

一方、変動費。

変動費とは、
売上や仕事量に応じて増減する費用です。

たとえば、

・仕入原価
・外注費
・材料費
・配送費

仕事がなければ、ほぼ発生しない。
仕事が増えれば、その分増える。

これが変動費です。


「それ、当たり前じゃない?」と思った方へ

ここまで読むと、
こう思うかもしれません。

「そんなの、当たり前じゃないですか?」

はい。
言葉としては、当たり前です。

でも問題は、
経営判断の場面で、ちゃんと分けて使えているか

ここが、ほとんどの会社でできていません。


ケース①:売上が落ちた瞬間、詰む会社

ある小規模サービス業の話です。

・社員5名
・売上は毎月ほぼ横ばい
・社長は「うちは安定している」と思っていた

しかし、ある月。
売上が2割落ちました。

たった2割です。

結果はどうなったか。

✔ 利益が一気に赤字
✔ 資金繰りが急悪化
✔ 社長が眠れなくなる

なぜか?

固定費が高すぎたのです。


固定費が高い会社は「崖の上」に立っている

固定費が高い会社は、
毎月こう考えています。

「今月も、この売上は絶対に必要だ」

売上が一定ラインを下回った瞬間、
一気に赤字に転落する。

つまり、

・好調なときは気づかない
・悪くなった瞬間に、手遅れ

これが、固定費を把握していない会社の特徴です。


ケース②:頑張っても報われない社長

別の例。

・売上を増やそうと必死
・値引きも対応
・仕事量は1.5倍

でも、こう言います。

「忙しくなっただけで、全然残らない」

理由は単純です。

変動費がどれだけ増えているかを見ていなかった。

売上は増えた。
でも、

・外注費
・材料費
・手間

が想像以上に増えていた。

結果、
利益はほぼ増えない。


固定費と変動費が混ざると、判断が狂う

固定費と変動費を分けていないと、
社長の判断は、こうなります。

・売上が増えれば安心
・忙しければ良し
・赤字になってから慌てる

これは、
後手に回る経営です。


本当は、こう考えたい

本来、社長はこう考えます。

・固定費はいくらか
・最低限必要な売上はいくらか
・売上が1円増えたとき、どれだけ利益が残るか

この視点があると、

「今、攻めていいのか」
「守るべきタイミングか」

が、数字で分かります。


固定費は「覚悟」、変動費は「調整」

ここで、大事な捉え方を一つ。

固定費は、社長の覚悟です。

・人を雇う
・拠点を構える
・設備を入れる

これは、「この水準の売上を取りに行く」という宣言。

一方で、

変動費は、調整弁です。

仕事量に応じて、
ある程度コントロールできる。


利益が出る会社は、固定費を恐れていない

誤解してほしくないのは、

固定費は、悪ではない

ということ。

固定費を使うから、

・スピードが出る
・品質が安定する
・拡大できる

問題は、

固定費を“把握せずに”増やすこと

です。


社長が最初にやるべき、たった一つのこと

基礎編の最初として、
今日やってほしいことは一つだけ。

自社の費用を、固定費と変動費に分けてみる

正確でなくていい。
会計的に完璧でなくていい。

「これは、止められるか?止められないか」

この基準で、
一度、紙に書き出してみてください。

それだけで、
会社の見え方が変わります。


利益は、勝手には生まれない

この基礎編のタイトル、

『利益は、勝手には生まれない』

これは、厳しい現実ですが、
同時に希望でもあります。

構造を整えれば、
利益は“再現可能”になる。

その最初の一歩が、

固定費と変動費を分けて考えること

です。


今日の一言

固定費と変動費を分けられない限り、
利益は「運」に支配され続ける。


PAGE TOP