
――その判断、数字で言えますか?・第4回――
「感覚が悪い」わけでは、決してない
最初に、
誤解を解いておきたいことがあります。
感覚経営=ダメ
という話ではありません。
むしろ、
- 現場を知っている
- お客さんの反応を感じ取れる
- 空気を読む力がある
これらは、
経営者にとって非常に重要な能力です。
問題は、
ここです。
感覚“だけ”で、判断していること
感覚経営が成立する条件は、実はかなり狭い
感覚経営がうまく回るのは、
- 規模が小さい
- 商品がシンプル
- 社長が全部見えている
この3つが揃っているときです。
しかし、
- 人が増えた
- 仕事が増えた
- 取引先が増えた
この瞬間から、
感覚はズレ始める
のです。
「なんとなく儲かっている気がする」の正体
感覚経営の社長が、
よく口にする言葉があります。
- 「今月、悪くないと思うんだよね」
- 「忙しかったから、そこそこ出てるはず」
この“感覚”、
何を根拠にしているかというと、
- 口座残高
- 忙しさ
- 気分
だったりします。
でも、
それ、全部“結果”であって“原因”ではない
のです。
数字経営の第一歩は「未来の話ができるか」
感覚経営と数字経営の
最も大きな違い。
それは、
未来の話ができるかどうか
です。
感覚経営では、
- 終わってみないと分からない
- 蓋を開けてみないと不安
数字経営では、
- これだけ売れば
- これくらい残る
- だから今こう動く
と、
先に道筋が描けます。
ケーススタディ①:同じ売上、違う安心感
A社とB社。
どちらも月商500万円。
A社(感覚経営)
- 忙しい
- でも月末まで不安
- 賞与や投資は様子見
B社(数字経営)
- 固定費・限界利益を把握
- 損益分岐点を理解
- 月初の時点で着地予測が立つ
結果、
売上は同じでも、精神的な余裕が全く違う
のです。
分かれ目①:数字を「記録」として見るか、「道具」として見るか
感覚経営の数字は、
- 過去の記録
- 税金のため
- 決算のため
数字経営の数字は、
意思決定の道具
です。
- 値上げするか
- 仕事をやめるか
- 人を増やすか
その判断を、
感情ではなく、構造で考える。
これが大きな分かれ目です。
分かれ目②:「全部大事」をやめられるか
感覚経営の社長ほど、
- お客さん全部大事
- 仕事全部大事
と言います。
気持ちは分かります。
でも、
会社のリソースは有限
です。
数字経営では、
- どれが利益を生むか
- どれが足を引っ張るか
を冷静に見ます。
ケーススタディ②:やめたら、会社が楽になった話
ある会社では、
- 売上はある
- でも利益が薄い仕事
を、数字で整理しました。
結果、
- 売上の2割
- でも工数は5割
この仕事をやめた途端、
- 忙しさが減り
- 利益率が改善
- 社員の不満も減少
しました。
分かれ目③:「不安」を感じるタイミング
感覚経営の不安は、
- 月末
- 決算前
- 資金が減ったとき
数字経営の不安は、
数字が崩れ始めた“兆し”の時点
です。
- 限界利益率が下がっている
- 固定費が膨らんでいる
この段階で気づけるかどうか。
ここが、
生き残れる会社かどうかの分かれ目です。
数字経営は、冷たい経営ではない
よく言われます。
- 「数字で見ると、冷たくなりそう」
でも、
実際は逆です。
数字があるから、守れる
- 無理な仕事を断れる
- 社員を守れる
- 会社を続けられる
感覚だけでは、
守りきれません。
「全部分からなくていい」という事実
最後に、
安心してほしいことがあります。
数字経営とは、
- 難しい計算
- 会計の専門知識
ではありません。
最低限、
- 限界利益
- 固定費
- 損益分岐点
この3つが分かれば、
判断の質は、劇的に変わる
のです。
今日の一言
感覚は“きっかけ”にはなるが、
決断の根拠にはならない。
感覚を数字で裏打ちできたとき、
経営は初めて安定する。
