
――未来は、数字で設計できる・第4回――
立派な計画が、なぜ一行も実行されないのか
「事業計画はあります」
「数字も、それなりに考えています」
そう言う社長は多いです。
しかし現実には、
- 計画通りに動いている感覚がない
- 日々の判断は相変わらず感覚頼り
- 計画は“あるけど使っていない”
そんな状態になっている会社が、圧倒的多数です。
問題は、数字の精度でも、努力不足でもありません。
計画を“実行される数字”に変える思考が、抜け落ちているだけなのです。
計画は「数字」なのに、なぜ行動に変わらないのか
そもそも、なぜ事業計画は実行されないのでしょうか。
理由はシンプルです。
計画が
「未来の結果」だけで終わっているから
多くの計画は、
- 年商いくら
- 利益いくら
- 成長イメージ
までは書かれています。
でも、
- 誰が
- どの判断を
- どのタイミングで変えるのか
ここが数字で表現されていない。
だから、計画は「眺めるもの」になり、
現場の判断に入り込めないのです。
実行される計画を持つ社長は、数字の見方が違う
計画を実行できている社長には、共通点があります。
それは、
数字を
「結果」ではなく
「行動のスイッチ」として見ている
という点です。
たとえば、
- 売上が未達 → 「頑張ろう」では終わらない
- 利益がズレた → 「どの判断を変えるか」を考える
- 資金が減った → 「次の一手」を数字から決める
数字を見た瞬間に、
次のアクションが自然に浮かぶ。
これが、計画が実行される状態です。
ケース①:計画はあるのに、現場が変わらなかった会社
あるサービス業の社長の話です。
この会社には、立派な事業計画がありました。
- 売上目標
- 利益目標
- 成長戦略
しかし半年後、社長はこう言いました。
「正直、何も変わっていない気がするんです」
原因は明確でした。
- 月次で見ている数字と
- 事業計画の数字が
完全に別物だったのです。
計画は年に一度。
判断は毎日。
この断絶がある限り、
計画は“絵”で終わります。
思考法①:計画を「月次サイズ」にまで分解せよ
実行される計画に変える、最初の思考法。
それは、
計画を
「月次で違和感が出るサイズ」まで落とす
ことです。
年商1億円という計画も、
- 月商にするといくらか
- 今月は、その水準にいるか
- ズレた理由は何か
ここまで落とした瞬間、
計画は“現場の数字”になります。
大きすぎる数字は、人を動かしません。
月次サイズになった瞬間、数字は命令になります。
思考法②:「ズレ」を失敗ではなく、情報として扱う
計画通りにいかない。
これは、当たり前です。
重要なのは、ズレたときの捉え方です。
実行できない会社ほど、
- 計画との差を見ない
- 見ても気分が悪くなる
- そのまま放置
一方、実行できる会社は違います。
「ズレた。じゃあ、何が起きてる?」
と、淡々と数字を見ます。
ズレは失敗ではありません。
判断材料が増えただけです。
この発想に切り替わった瞬間、
計画は“責める数字”から“助ける数字”に変わります。
ケース②:計画との差を見るようになって、判断が早くなった社長
ある製造業の社長は、こう言っていました。
「前は、計画との差を見るのが怖かった」
しかし、毎月、
- 計画
- 実績
- 差額
を並べることを習慣にした結果、
- 「今月は広告費を止めよう」
- 「この商品、利益率が低いな」
- 「来月は受注の取り方を変えよう」
判断が、驚くほど早くなりました。
計画があるから、
考える基準がブレなくなったのです。
思考法③:計画は「守るもの」ではなく「使い倒すもの」
計画を神聖視した瞬間、
それは実行されなくなります。
実行される計画を持つ社長は、
- 計画を直すことを恐れない
- 数字を更新することを恥だと思わない
- 現実に合わせて書き換える
計画は、
× 守るべき約束
○ 使い倒すための仮説
この認識があるかどうかで、
結果は大きく変わります。
思考法④:「社長が見る数字」を決め切る
最後に、最も重要なポイントです。
計画が実行されるかどうかは、
社長が
どの数字を
どの頻度で見るか
で決まります。
- 全部見る必要はありません
- 細かい数字もいりません
必要なのは、
- 判断が変わる数字
- 行動が変わる数字
を、社長自身が見ることです。
人は、見ている数字に引っ張られます。
だからこそ、社長が見る数字を決めることは、
経営そのものなのです。
計画が「実行される数字」に変わる瞬間
ここまでの話をまとめると、
計画が実行されるようになるのは、
- 月次で見られ
- ズレが言語化され
- 判断に使われ
- 必要なら直される
このサイクルに入った瞬間です。
特別な才能も、
高度な分析力もいりません。
数字との付き合い方を変えるだけです。
今日の一言
計画は、当てるための数字ではない。毎月の判断に使われた瞬間から、実行される数字になる。
