
――管理会計が、社長を自由にする・第2回――
「管理会計」と聞いた瞬間、社長の心が重くなる理由
「管理会計をやりましょう」
そう言われたとき、多くの社長の頭に浮かぶのは、こんなイメージです。
- 毎月、細かい数字をチェックされる
- できていないことを指摘される
- ルールに縛られる
- 自由に動けなくなる
つまり、
管理会計=管理されるためのもの
という誤解です。
ですが、はっきり言います。
管理会計は、
社長を縛るための道具ではありません。
むしろ逆です。
社長を“数字に振り回される状態”から解放するための道具です。
管理会計が「怖いもの」に見えてしまう正体
なぜ管理会計は、こんなにも誤解されるのでしょうか。
理由はシンプルです。
多くの社長がこれまで触れてきた「数字」は、
- 税務のため
- 報告のため
- 説明責任のため
の数字だったからです。
そこにあったのは、
- 正しいか
- 間違っているか
- 説明できるか
という「評価の目線」。
この経験がある限り、
管理会計も同じものに見えてしまいます。
会計と管理会計を混同した瞬間、自由は失われる
ここで一度、立ち止まって整理しましょう。
会計の数字とは何か
- 過去の結果をまとめる
- 税務・法務・対外説明のため
- 正確性が最優先
管理会計の数字とは何か
- 未来の判断に使う
- 社長が意思決定するため
- 使えることが最優先
この違いを混同した瞬間、
管理会計は「縛る道具」に見え始めます。
しかし、管理会計は
正解を出すためのものではありません。
管理会計に「正解」はない
ここは、とても大事なポイントです。
管理会計には、
- 正しい数字
- 間違った数字
という概念が、ほとんどありません。
あるのは、
その判断に使えたか
使えなかったか
だけです。
だから本来、管理会計は
社長を評価するものではないのです。
ケース①:管理会計を「監視ツール」だと思っていた社長
あるサービス業の社長は、最初こう言っていました。
「管理会計って、毎月怒られるやつですよね?」
実際、その社長は過去に、
- 数字が悪い
- 予算とズレている
と指摘され続けた経験がありました。
しかし、管理会計の目的を整理し、
- 「判断のためだけに数字を見る」
- 「できていない理由を責めない」
という運用に変えた途端、
「あれ? 管理会計って、むしろ気が楽ですね」
と表情が変わりました。
管理会計が社長を縛るのは、設計を間違えたときだけ
誤解を恐れずに言えば、
管理会計が社長を縛るのは、
管理会計そのものが悪いのではなく、
設計が悪いだけです。
よくある失敗が、こちらです。
- 数字を増やしすぎる
- 現場管理と混ぜる
- 評価制度と直結させる
こうなると、管理会計は一気に
**「管理のための管理」**になります。
社長が息苦しくなるのも、当然です。
本来の管理会計は「社長の逃げ場」を作る
少し視点を変えてみましょう。
管理会計がきちんと機能すると、
社長はこう言えるようになります。
- 「今月は攻めた」
- 「今は耐える時期」
- 「この判断は、数字的にOK」
つまり、
判断の“言い訳”を
数字がしてくれる
状態です。
これは、社長にとって大きな自由です。
ケース②:感覚経営から抜けられなかった製造業社長
ある製造業の社長は、ずっとこう悩んでいました。
「全部、勘で決めている気がして怖い」
管理会計を導入し、
- 最低限の指標だけ
- 判断の基準として
使うようにした結果、
「数字があると、決断しても後悔が減りますね」
と言うようになりました。
管理会計は、
社長の決断を縛るどころか、後押ししたのです。
管理会計は「社長のためだけ」に存在する
ここで、はっきりさせておきましょう。
管理会計は、
- 銀行のため
- 税理士のため
- 社員管理のため
のものではありません。
管理会計は、
社長が
自分の判断に責任を持つための道具
です。
だからこそ、
- 見る数字は社長が決めていい
- 精度は判断に足りればいい
- 他社と比べる必要はない
のです。
「縛られる経営」から「選べる経営」へ
管理会計がない状態の社長は、
- 売上が下がったら不安
- お金が減ったら焦る
- 判断の根拠が感覚だけ
という状態に陥りがちです。
一方、管理会計がある社長は、
- 選択肢を並べ
- 数字で比較し
- 自分で決める
ことができます。
これは、
縛られる経営から、選べる経営への転換です。
管理会計は、社長の自由時間を増やす
意外かもしれませんが、
管理会計が回り始めると、
- 無駄な悩み
- 迷い
- 火消し
が減ります。
理由は単純です。
「見るべき数字」が
あらかじめ決まっているから
判断が速くなり、
結果として、社長の時間が空きます。
これもまた、自由です。
管理会計を「軽く」扱っていい理由
最後に、安心していただきたいことがあります。
管理会計は、
- 完璧でなくていい
- きれいでなくていい
- 他人に見せなくていい
社長が使えれば、それで十分です。
むしろ、
重く扱いすぎた瞬間に、
管理会計は社長を縛り始めます。
今日の一言
管理会計は、社長を管理するための数字ではない。
社長が“自由に決断するため”の、味方である。
