
――成長は、設計しないと壊れる・第7回――
その成長計画、「作っただけ」になっていませんか?
事業計画を一生懸命つくったのに、
半年後には、誰も見ていない。
そんな話をすると、多くの社長が苦笑いをします。
- 計画はある
- 数字も入っている
- それっぽい資料もある
それでも、日々の経営判断には使われていない。
これは、計画が悪いのではありません。
管理会計とつながっていない
ただ、それだけの話です。
成長計画が機能しない会社の、ある共通点
これまで多くの会社を見てきて、
成長計画が形骸化する会社には、
驚くほど共通した特徴があります。
それは、
「計画」と「数字を見る習慣」が分断されている
ということです。
- 計画は年に1回
- 管理会計は月次(もしくは見ていない)
- 両者が会話をしていない
これでは、
計画が現場に降りてくるはずがありません。
成長計画は「未来」、管理会計は「現在」
よく聞く誤解があります。
「事業計画は未来の話、
管理会計は過去の数字」
半分は合っています。
でも、半分は間違いです。
正しくはこうです。
- 事業計画:未来をどう進むかの設計図
- 管理会計:今どこにいるかの計測器
この2つがセットになって、
はじめて経営は前に進みます。
設計図だけあっても、
現在地が分からなければ迷子になります。
計画が機能しない本当の理由
成長計画が機能しない理由を、
もう少し踏み込みます。
多くの会社では、
- 計画の数字
- 管理会計の数字
が、別の言語になっています。
たとえば、
- 計画では「新規顧客を増やす」
- 管理会計では「売上と利益」しか見ていない
これでは、
計画の進捗を確認することができません。
ケーススタディ①:進んでいるのか、止まっているのか分からない会社
ある小売業の会社。
事業計画では、
- 新規顧客の獲得
- リピート率向上
を成長戦略の柱にしていました。
しかし、毎月見ている数字は、
- 売上
- 粗利
- 経費
だけ。
結果、社長はこう言いました。
「今、計画通り進んでいるのかどうか、
正直よく分からないんですよね」
これは社長の能力の問題ではありません。
見る数字が、計画とつながっていない
ただそれだけです。
管理会計がないと、成長は「感覚管理」になる
管理会計がない、もしくは弱い状態で成長を目指すと、
経営判断はこうなります。
- なんとなく忙しい
- たぶん売れている
- でも利益が残らない
つまり、
感覚でアクセルを踏み続ける経営
です。
これは短期的には走れますが、
必ずどこかで事故が起きます。
- 人が疲弊する
- キャッシュが詰まる
- 社長が不安になる
これが「成長が壊れる」瞬間です。
成長計画を“運転”するのが、管理会計
成長計画を車に例えるなら、
- 計画:目的地とルート
- 管理会計:スピードメーターと燃料計
です。
どんなに立派な目的地を設定しても、
- スピードが出過ぎていないか
- 燃料は足りているか
を見ずに走れば、
事故か立ち往生は時間の問題です。
管理会計は「結果」ではなく「兆し」を見るもの
ここで、管理会計に対する見方を変えましょう。
管理会計は、
結果を評価するためのもの
ではありません。
本来の役割は、
これから起きる問題の兆しを、
早めに見つけること
です。
- 利益が落ちる前の粗利
- 売上が落ちる前の件数
- キャッシュが詰まる前の固定費
これらは、
管理会計でしか見えません。
ケーススタディ②:管理会計が計画を“生き返らせた会社
あるサービス業の会社。
以前は、事業計画を作っても
「参考資料」扱いでした。
そこで、
- 計画で使った数字
- 管理会計で毎月見る数字
を、意図的に揃えました。
- 客数
- 単価
- 稼働率
すると、社長の口から
こんな言葉が出てきました。
「あ、今この数字がズレてるってことは、
計画のこの部分が狂ってきてるんですね」
計画が、
“使える道具”に変わった瞬間です。
管理会計があると、計画は修正できる
計画が機能しない最大の理由は、
修正されないこと
です。
- 一度立てた計画を
- 当初の前提が崩れても
- そのままにしてしまう
管理会計があると、
- どこがズレたのか
- なぜズレたのか
- どう直すか
を、冷静に考えられます。
これが、
成長を「壊さない」ための仕組みです。
管理会計は、社長の不安を減らす装置
成長期の社長が抱える一番の悩み。
それは、
この判断、合ってるんだろうか?
という不安です。
管理会計がないと、
この不安は消えません。
逆に、管理会計があると、
- 数字で確認できる
- 早めに手を打てる
- 説明できる
結果として、
社長の意思決定は速く、強くなります。
成長計画 × 管理会計=経営のOS
成長計画と管理会計は、
- 別々の資料
- 別々の作業
ではありません。
経営を動かすOS(基本構造)
です。
- 計画で方向を決め
- 管理会計で現在地を確認し
- また計画を微調整する
この循環が回り始めたとき、
成長は「再現可能」になります。
成長は、数字で縛るものではない
最後に、よくある誤解をひとつ。
「管理会計を入れると、
経営が窮屈になりそう」
真逆です。
管理会計があるからこそ、
- 攻められる
- 任せられる
- 迷わなくなる
成長を自由にするために、
管理会計は必要なのです。
このシリーズのまとめとして
『成長は、設計しないと壊れる』
このシリーズで伝えたかったのは、
たったひとつです。
成長とは、
勢いではなく、設計と計測の積み重ねである
そして、
管理会計は、
成長計画を動かすための“エンジン”である
ということです。
今日の一言
成長計画に管理会計がない会社は、
地図を持たずにスピードだけ上げて走っている。
