
――頑張らないと儲からない会社は、設計が間違っている・第7回――
「数字は悪くないはずなんですが…」
コンサルや壁打ちの場で、社長からよく聞く言葉があります。
「売上も伸びてますし、
決算も黒字なんです。
でも、正直しんどくて…」
この違和感。
実は、とても重要なサインです。
本当に怖いのは「赤字」ではない
赤字は、分かりやすいです。
- お金が足りない
- 早く手を打たないといけない
問題は、
**「一見うまくいっているように見える状態」**です。
なぜなら、こう思ってしまうから
- まだ大丈夫
- もう少し頑張れば
- 成長途中だから仕方ない
この「楽観」が、
経営判断を遅らせます。
「儲かっているように見える」モデルとは何か
ここで言う「儲かっているように見える」とは、
- 売上が増えている
- 利益が出ている(ように見える)
- 忙しい
でも実態は、
構造的に、
どこかに無理が溜まっている
ビジネスモデルです。
落とし穴①:売上が増えるほど、社長が忙しくなる
典型的なケースです。
- 売上が増える
- 問い合わせが増える
- 社長の仕事が増える
これは一見、良いことのようですが…
管理会計で見ると、こうなっている
- 利益率は低い
- 固定費は増えている
- 社長の労働が前提
つまり、
社長の時間が、
最大のコスト
になっているモデルです。
ケーススタディ①:忙しさで回っていたコンサル会社
ある個人+数名のコンサル会社。
- 売上は年々増加
- 依頼も多い
- 評判も良い
でも社長は、
「ずっと現場から抜けられない」
管理会計で分解してみると
- 案件数が増えるほど
- 社長の稼働が増える
- 利益率は横ばい
結論は明確でした。
成長=社長の消耗
このモデルは、
長くは続きません。
落とし穴②:利益が出ている「ように見える」だけ
損益計算書を見ると、
- 売上:OK
- 利益:黒字
でも、よく見ると…
見落とされがちなポイント
- 社長の人件費を入れていない
- 将来の投資をしていない
- 一時的な要因で利益が出ている
つまり、
本来かかるべきコストを、
先送りしている
だけ、という状態です。
ケーススタディ②:社長がタダ働きしていた会社
あるサービス業。
- 利益は出ている
- 社長は毎日フル稼働
管理会計で、
- 社長を「人件費」として計上
してみたところ…
→ 実質赤字
落とし穴③:一部の商品が全体を支えている
これは、とても多いです。
- 売上は好調
- でも、よく見ると
実態はこう
- 上位1〜2商品が利益の大半
- その他はトントンか赤字
- 現場は全部忙しい
これも、
「儲かっているように見える」罠
です。
管理会計がないと、罠に気づけない理由
なぜ、こうした落とし穴にハマるのか。
理由はシンプルです。
全体の数字しか見ていないから
見ているのは「合計」
- 合計売上
- 合計利益
でも、経営判断に必要なのは、
- 内訳
- 構造
- 偏り
です。
管理会計で初めて見える「歪み」
管理会計を入れると、
- 儲けているところ
- 無理しているところ
- 隠れているリスク
が、はっきりします。
例えば、こんな歪み
- 利益は出ているが、キャッシュが残らない
- 成長しているのに、人が疲弊
- 売上が増えるほど、判断が遅くなる
これらはすべて、
ビジネスモデルの歪み
です。
「今は大丈夫」が一番危ない
社長がよく言う言葉に、
「今は大丈夫なんです」
があります。
でも、
- 今は大丈夫
- でも来年は?
- 社長が倒れたら?
ここまで考えないと、
経営判断としては不十分です。
儲かるモデルは「無理がない」
本当に良いビジネスモデルは、
- 社長が現場を離れても回る
- 売上が増えても、疲弊しない
- 利益の出どころが明確
つまり、
頑張らなくても、
回る構造
を持っています。
「儲かっているか?」の問いを変える
ここで、問いを変えてみてください。
× 今、儲かっているか?
○ この形で、5年続けられるか?
管理会計は、未来の耐久テスト
管理会計は、
- 過去を振り返るため
- 税務のため
だけではありません。
このビジネスモデルは、
持続可能か?
を確認するための道具です。
もし今、
- 忙しさに違和感がある
- 数字は合っているのに楽にならない
そう感じているなら、
それはあなたの感覚が正しい可能性が高いです。
数字で、構造を見直すタイミング
が、来ているだけなのです。
今日の一言
「儲かっているように見える」
という状態が、
一番の経営リスクになることがある。
