⑪数字で語れる社長が信頼される理由


――社長の仕事は、決めること・第11回――

なぜ社長は「数字」を語る必要があるのか

社長の仕事は「決めること」です。ですが、決断は感覚や経験だけで行うと、社員や取引先、銀行などからの信頼を得にくくなります。
ここで重要なのが「数字で語ること」です。数字を使って状況を説明できる社長は、意見や指示の正当性を明確に示すことができ、周囲からの理解と協力を得やすくなります。

例えば、売上増のために新しい販売チャネルを開拓するとします。感覚だけで「これは行けそうだ」と決めても、社員は動きにくく、銀行からの融資も得にくいでしょう。しかし、数字で示せば、予想売上・利益率・回収期間などを具体的に提示でき、社長の判断の裏付けとなります。

ポイント:数字は「信頼の言語」なのです。


数字で語れる社長の三つのメリット

1. 社員の納得感が高まる

社長が「売上を前年比120%にする」と漠然と言うのと、「新規チャネルで月商500万円、利益率20%を見込む」と具体的な数字で語るのでは、社員の受け止め方が全く違います。
数字で語ることで、社員は目標を理解しやすく、行動に移すハードルが下がります。

事例:サービス業のF社では、社長が毎月の売上・粗利・顧客数を社員に公開。数字をもとに改善施策を議論することで、社員の自発的な改善提案が増え、前年比130%の売上成長を実現しました。

2. 取引先や銀行との信頼が厚くなる

銀行や投資家は、感覚や経験で動く経営者よりも、数字を根拠に話す経営者を信用します。
たとえば、銀行融資の場面で「この事業は今後1年で利益が200万円増える」と数字で説明できる社長は、説得力が段違いです。

事例:G社は新規事業立ち上げ時に、予想損益表を使って銀行に説明。結果、計画通りの融資を受けられ、事業開始から半年で黒字化を達成しました。

3. 意思決定のスピードと精度が上がる

数字で現状や選択肢の影響を把握できれば、意思決定は感覚よりも早く、正確になります。
感覚だけだと「やってみないとわからない」が判断の基準になりやすく、時間がかかります。数字で判断すれば、「投資回収は半年で見込める」「利益率は10%改善できる」という具合に、リスクとリターンを具体的に比較できるのです。


数字で語れる社長の共通点

数字で語れる社長には、いくつか共通した特徴があります。

  1. 日々の数字を把握している
    • 月次決算やKPIを理解し、課題や成果を即座に説明できる
  2. 仮説を数字で検証する習慣がある
    • 新しい施策や戦略を、数字を使って評価
  3. コミュニケーションの軸に数字を置く
    • 「感覚ではなく、数字で判断している」と社員に示すことで、信頼が高まる

事例:小売業H社の社長は、在庫回転率や粗利率を毎日チェック。社員との会議でも「この商品は粗利率12%で回転率が高い」と数字で説明し、改善策の納得感を高めました。


数字で語るための具体的ステップ

1. 現状を可視化する

  • 売上、粗利、固定費、変動費などの数字を整理
  • 過去3年のトレンドも把握する

2. 目標を数字で設定する

  • 「売上〇〇万円」「利益率〇%」など、誰もが理解できる数値に落とす
  • KPIに落とし込み、日々追える形にする

3. 選択肢を数字で比較する

  • 投資判断や新規施策は、損益、ROI、回収期間などで比較
  • 感覚で決めるのではなく、数字で最適解を導く

4. 結果を数字で検証する

  • 計画と実績を比較
  • ずれの原因を分析して次の意思決定に活かす

数字で語ることは文化になる

社長が数字で語ることを習慣化すると、会社全体が数字思考に変わります。

  • 社員も数字で考える
  • 施策の効果を数字で確認する
  • 無駄な作業や感覚的な判断が減る

事例:物流業I社では、社長の指示で全社員が月次KPIを追う文化に。結果、在庫回転率が20%改善し、年間コストが500万円削減できました。


数字で語れる社長が信頼される理由

結局のところ、数字で語れる社長は「裏付けのある決断者」として認識されます。

  • 社員 → 「この人の指示なら納得できる」
  • 取引先 → 「この人と取引すれば安心」
  • 銀行 → 「融資しても安全そう」

数字で説明できる社長は、迷いがなく、判断が合理的に見えるのです。


今日の一言

数字で語れる社長は、信頼を生み、意思決定の正確性を高め、会社の未来を加速させる。
感覚だけで決める時代は終わった。


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