
――なぜあなたの会社は、数字が揃わないのか・第5回――
「数字は多ければ多いほど安心」は幻想
社長の皆さん、つい「会社の数字は多ければ多いほど安心」と考えてしまうことはありませんか?
- 売上は商品別・顧客別・曜日別・時間帯別で把握
- 原価は材料費・外注費・人件費に分けて集計
- スタッフの稼働や業務進捗も細かく記録
一見すると完璧に管理しているように見えます。しかし、管理会計で本当に必要なのは、その半分以下の数字だけです。
むしろ、多すぎる数字は意思決定を遅くし、現場の負担を増やすだけ。
管理会計の目的は「意思決定を支えること」
管理会計とは、単なる「数字を記録する作業」ではありません。目的は明確です。
- 経営判断に直結する数字を整理すること
- 利益改善や効率化、戦略立案に活かすこと
つまり、「全ての数字を揃える」のではなく、「意思決定に必要な数字だけ」を揃えることが重要です。
ケーススタディ:小規模製造業
ある小規模製造工場では、全ての原材料や工程の細かいデータを集計していました。しかし、社長が必要としていたのは以下の数字だけでした。
- 商品別粗利
- 月次利益
- 主要顧客別売上
その他の細かいデータは、現場や経理のためには役立ちますが、社長の意思決定には不要でした。
結果、数字を絞ったことで意思決定が早くなり、業務効率も改善しました。
管理会計で最低限見るべき数字
管理会計で本当に必要な数字は、意外と少ないです。
社長がまず押さえるべきは以下の3つです。
- 売上
- 顧客別、商品別、サービス別で把握
- 重要なのは「どこで利益が出ているか」を知ること
- 原価・コスト
- 直接原価(材料費・外注費)と間接原価(人件費・経費)の概算
- 重要なのは「どのコストが利益を圧迫しているか」を把握
- 利益・キャッシュ
- 月次利益だけでなく、現金の動きも把握
- 重要なのは「資金不足に陥らないか」「黒字なのに現金が足りない状態ではないか」を確認
ケーススタディ:飲食店の改善
以前は売上、原価、在庫、顧客情報、スタッフ稼働…など膨大なデータを記録していた飲食店。
改善後は、以下の3つに絞りました。
- 商品別売上
- 原価率(材料費÷売上)
- 月次利益
結果、社長は毎日スマホで売上と原価を確認し、利益改善策を即座に打てるようになりました。
数字を絞ることで得られるメリット
管理会計の数字を絞ることで、次のようなメリットがあります。
- 意思決定が速くなる
- 見るべき数字が明確になるため、判断が迷わない
- 現場の負担が減る
- 不要なデータ入力や集計作業が減る
- 分析の精度が上がる
- 重要な数字に注力できるので、誤解や見落としが減る
ケーススタディ:サービス業の例
あるサービス会社では、膨大なデータを集計していたため、社長も社員も分析に時間がかかっていました。しかし、管理会計に必要な数字だけに絞った結果、
- 月次レポート作成時間:3日 → 1日
- 意思決定スピード:月次 → 週次
- 利益改善策の実行:即日可能
という劇的な効果が出ました。
現場のデータと会計データを組み合わせる
管理会計で数字を絞る際に重要なのは、会計データと現場データを組み合わせることです。
- 会計データ:過去の損益、キャッシュの動き
- 現場データ:売上状況、在庫、顧客対応、作業進捗
ケーススタディ:製造業の改善例
製造業の社長は、会計データだけで「どの商品が利益を生んでいるか」を判断していました。しかし、現場データ(受注状況・納期・在庫)を組み合わせることで、利益改善のために何を優先すべきかが一目で分かるようになりました。
数字を絞るためのチェックリスト
- この数字は経営判断に必要か?
- この数字は現場の改善に直結するか?
- 見る人が多すぎて混乱しないか?
これらの質問をもとに、管理会計に必要な数字だけを選びます。
今日からできる実践アクション
- 現状のデータを棚卸し
- 全ての数字を書き出し、用途を明確にする
- 意思決定に直結する数字だけに絞る
- 売上、原価、利益、主要顧客・商品など
- 数字を見える化する
- Excelやクラウドで簡単にグラフ化し、社長が即判断できる形にする
ケーススタディ:飲食店の改善例
- 以前は売上・原価・在庫・顧客情報・スタッフ稼働…など膨大なデータ
- 改善後:売上、原価、月次利益に絞り可視化
- 社長は毎日スマホで確認、即判断可能
今日の一言
管理会計に必要な数字は少ない。
重要なのは、意思決定に直結する数字だけを揃え、社長が即判断できる形にすること。
