
――なぜあなたの会社は、数字が揃わないのか・第1回――
なぜ社長は「数字が見えない」と感じるのか?
「ウチの会社、毎月の売上や利益がすぐに分からない」
「社員からもらう報告が曖昧で、意思決定に使えない」
こう感じたことはありませんか?
実は、数字が見えない会社には必ず共通する原因があります。そして多くの社長は、原因をシステムや人材不足のせいだと思い込んでしまいがちです。しかし、問題の本質は「データの扱い方や意識のズレ」にあります。
今回は、数字が揃わない会社の共通原因を整理し、具体的な改善イメージまで解説します。
原因① データが分散している
多くの中小企業で見られる最も典型的なパターンは「データが分散していること」です。
ケーススタディ:製造業のデータ迷子
ある中小製造工場では、売上は営業担当がExcelで管理、在庫は倉庫担当が手書きの台帳、仕入れは経理が会計ソフトで入力していました。
- 営業担当は「最新の売上状況」を把握できる
- 倉庫担当は「在庫の実態」を把握できる
- 経理は「支払・入金状況」を把握できる
しかし、社長が1つの画面で「今の利益はどうなっているのか」を把握することは不可能でした。データがバラバラで連携されていないため、意思決定に必要な数字が揃わなかったのです。
ポイント
数字が見えない会社は、まず「どこにどの数字があるのか」を整理することが第一歩です。
原因② データの入力が遅い・不正確
データは揃っても、入力のタイミングや正確性が守られていないと意味がありません。
ケーススタディ:飲食店の売上データ
ある小規模飲食店では、日報を毎晩手書きで作成していました。しかし、スタッフの帰宅時間が遅くなると翌日入力されることもありました。さらに、手書きのため金額の誤記や伝票の紛失も発生。
結果、社長が月次報告を受けても、数字の信頼性が低く、判断に活かせませんでした。
ポイント
数字が揃わない原因は「データの存在」ではなく、「データの質」にあることが多いのです。
原因③ 「何を測るか」が曖昧
データが揃っていても、社長や現場が「何を知りたいのか」を明確にしていないと、数字は意味を持ちません。
ケーススタディ:小売業の売上報告
ある地方の小売店では、社員が毎日売上報告をメールで送っていました。しかし、報告内容は「売上合計」「商品数のみ」。
- どの商品が利益を生んでいるか
- どの時間帯が繁忙か
といった情報は報告されず、社長は毎回「結局何を改善すればいいのか」が分かりませんでした。
ポイント
数字は揃っていても、意思決定に直結する情報でなければ意味がない。社長が知りたい数字を明確にすることが重要です。
原因④ 社長と現場で数字の認識が違う
数字が揃わない会社では、社長と現場で「同じ数字を違う解釈で見ている」こともよくあります。
ケーススタディ:建設業の原価管理
ある建設会社では、現場は「原価=材料費」と考え、経理は「原価=材料費+人件費+外注費」と計算していました。そのため、社長が見る数字と現場の感覚が一致せず、意思決定にズレが生じていました。
ポイント
数字は揃っていても、「誰がどの定義で見ているか」を統一しなければ、判断に使えません。
原因⑤ データの活用方法が分からない
数字が揃っていても、分析や判断に活かせなければ意味がありません。
ケーススタディ:サービス業のレポート
ある小規模サービス業では、毎月の売上や利益のレポートを作成していました。しかし、社長は「数字を眺めるだけ」で、改善施策にはつなげられませんでした。
そこで次のように改善しました。
- 売上データを商品別・顧客別に分解
- 利益率の低いサービスを特定
- 顧客ごとの受注単価を分析
結果、社長は数字をもとに「どのサービスを強化すべきか」「どの顧客にアプローチすべきか」を判断できるようになりました。
ポイント
数字は「見るだけ」ではなく、意思決定の材料として活用することがDXの本質です。
数字が揃わない会社の共通パターンまとめ
これまでのケースを整理すると、数字が揃わない会社には以下の共通パターンがあります。
- データが分散している
- 入力が遅い・不正確
- 測るべき数字が曖昧
- 社長と現場で数字の定義が違う
- データを活用できていない
どれも、小さな改善で解決可能です。大事なのは「原因を明確にして、順番に改善すること」です。
今日からできる改善アクション
社長がすぐに始められる改善策を整理します。
- 数字の棚卸し
- どこにどの数字があるかを洗い出す
- 重要な数字を明確にする
- 売上、利益、原価、在庫など、意思決定に直結するものから
- 入力ルールを統一する
- フォーマット、締め時間、定義を決める
- データを一元管理
- Excel、クラウド、簡単なDBなどで可視化
- 数字を活用する習慣を作る
- 毎週、毎月、数字をもとに施策を決める
今日の一言
数字が揃わない会社には必ず原因がある。
分散・不正確・曖昧・解釈違い・活用不足。
まずは「何が問題か」を整理し、順番に改善することがDXの第一歩。
