③貸借対照表は“経営の体力表”である


― 何に賭け、どう回収しようとしているか ―

なぜB/Sは、こんなにも嫌われるのか

正直に聞きます。

  • P/Lはまだ何となく見ている
  • でもB/Sは、できれば開きたくない

そんな社長、多いのではないでしょうか。

「よく分からない」
「数字が合っているかしか見ていない」
「税理士が作るもの」

こうした理由で、
B/Sは“見なくていい表”に追いやられがちです。

ですが、はっきり言います。

B/Sを見ない経営は、体力測定をせずに走り続けるのと同じ

今回は、
この“拒否反応”そのものを消す回です。


B/Sは「過去の結果」ではない

まず、よくある誤解を壊しましょう。

P/Lは、
「一定期間の結果」を表す表でした。

一方、B/Sは違います。

B/Sは、ある時点での経営の状態

つまり、

  • これまで何にお金を使ってきたか
  • 何を手元に残しているか
  • どれだけの責任を背負っているか

これらを一枚で見せる表です。

言い換えるなら、

B/Sは、これまでの経営判断の“蓄積”

逃げようがありません。


資産=「稼ぐための道具」

B/Sの左側、「資産」。

これを見た瞬間、
思考停止する方が多いですが、
意味はとてもシンプルです。

資産とは、将来お金を生むための道具

  • 現金・預金
  • 売掛金
  • 在庫
  • 設備
  • ソフトウェア

すべて共通点があります。

「稼ぐために存在している」
という点です。


ケース|資産が増えているのに苦しい会社

よくあるのが、このパターン。

  • 売上は順調
  • 売掛金が増えている
  • 在庫も積み上がっている

B/S上、資産は増えています。

でも、社長は言います。

「お金がない」

なぜか。

稼ぐ前の形で、お金が止まっているから

資産は“良い・悪い”ではありません。
使い方と回転がすべてです。


負債=「他人の力」

次に、右側の「負債」。

これも怖がられがちですが、
意味はとても現実的です。

負債とは、他人の力を借りている状態

  • 借入金
  • 買掛金
  • 未払金

要は、

「自分のお金じゃないけど、使っているお金」

です。

負債=悪
ではありません。

負債は、レバレッジ(てこ)

上手に使えば、
成長を一気に加速させます。

問題は、

  • 何のために借りたか
  • どう返すつもりか

ここが曖昧なことです。


純資産=「自分の覚悟」

B/Sで、
一番大事なのに一番見られていないのが
純資産です。

純資産とは何か。

社長がこれまで賭けてきた覚悟の総量

  • 出資したお金
  • これまで積み上げた利益
  • 逆に言えば、失敗の結果

すべてがここに残ります。

純資産が薄い会社は、
一言で言うと、

耐久力が低い

ちょっとした売上減少や、
資金トラブルで、一気に苦しくなります。


運転資金が足りなくなる会社の共通点

ここで、
多くのスモールビジネスがハマる落とし穴を見ましょう。

運転資金が足りなくなる会社には、
共通点があります。

① 売掛金が増え続けている

→ 入金より先に仕事が進んでいる
→ 成長しているのに苦しい

② 在庫を「安心材料」と思っている

→ 売れなければ、ただの重り
→ 現金化できない資産

③ 短期の借入で、長期の投資をしている

→ 返済タイミングが合わない
→ 常に資金繰りが不安定

これらはすべて、
B/Sを見ていれば気づけるサインです。


B/Sは「戦略が丸見えになる表」

ここまでをまとめると、
B/Sはこう読めます。

  • 資産:何に賭けているか
  • 負債:誰の力を借りているか
  • 純資産:どれだけ腹をくくっているか

つまり、

B/Sを見ると、その会社の戦い方が分かる

  • 守り重視なのか
  • 攻めに出ているのか
  • 無理をしているのか

社長自身の“クセ”まで見えます。


B/Sを見ないのは、地図を見ずに航海すること

P/Lだけ見ている経営は、
スピード計だけ見て走る車と同じです。

速いかどうかは分かる。
でも、

  • ガソリンはどれくらい残っているのか
  • エンジンは無理していないか

これは、B/Sを見ないと分かりません。


ゴール|B/Sを「怖い表」から「戦略が見える表」へ

この回のゴールは明確です。

  • B/Sを見ると気分が悪くなる
  • よく分からないから避ける

この状態から、

「あ、これは自分の戦略表だな」

と思える状態へ。

細かい勘定科目は、
正直どうでもいい。

まずは、

  • 何にお金を使っているか
  • どれだけ借りているか
  • 自分の体力はどれくらいか

これが見えれば十分です。


今日の「虎の穴」→ B/Sは、社長の覚悟が数字になったもの

貸借対照表は、会社の成績ではない
社長が何に賭け、どこまで耐える覚悟かを示す表である


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