
― 何に賭け、どう回収しようとしているか ―
なぜB/Sは、こんなにも嫌われるのか
正直に聞きます。
- P/Lはまだ何となく見ている
- でもB/Sは、できれば開きたくない
そんな社長、多いのではないでしょうか。
「よく分からない」
「数字が合っているかしか見ていない」
「税理士が作るもの」
こうした理由で、
B/Sは“見なくていい表”に追いやられがちです。
ですが、はっきり言います。
B/Sを見ない経営は、体力測定をせずに走り続けるのと同じ
今回は、
この“拒否反応”そのものを消す回です。
B/Sは「過去の結果」ではない
まず、よくある誤解を壊しましょう。
P/Lは、
「一定期間の結果」を表す表でした。
一方、B/Sは違います。
B/Sは、ある時点での経営の状態
つまり、
- これまで何にお金を使ってきたか
- 何を手元に残しているか
- どれだけの責任を背負っているか
これらを一枚で見せる表です。
言い換えるなら、
B/Sは、これまでの経営判断の“蓄積”
逃げようがありません。
資産=「稼ぐための道具」
B/Sの左側、「資産」。
これを見た瞬間、
思考停止する方が多いですが、
意味はとてもシンプルです。
資産とは、将来お金を生むための道具
- 現金・預金
- 売掛金
- 在庫
- 設備
- ソフトウェア
すべて共通点があります。
「稼ぐために存在している」
という点です。
ケース|資産が増えているのに苦しい会社
よくあるのが、このパターン。
- 売上は順調
- 売掛金が増えている
- 在庫も積み上がっている
B/S上、資産は増えています。
でも、社長は言います。
「お金がない」
なぜか。
稼ぐ前の形で、お金が止まっているから
資産は“良い・悪い”ではありません。
使い方と回転がすべてです。
負債=「他人の力」
次に、右側の「負債」。
これも怖がられがちですが、
意味はとても現実的です。
負債とは、他人の力を借りている状態
- 借入金
- 買掛金
- 未払金
要は、
「自分のお金じゃないけど、使っているお金」
です。
負債=悪
ではありません。
負債は、レバレッジ(てこ)
上手に使えば、
成長を一気に加速させます。
問題は、
- 何のために借りたか
- どう返すつもりか
ここが曖昧なことです。
純資産=「自分の覚悟」
B/Sで、
一番大事なのに一番見られていないのが
純資産です。
純資産とは何か。
社長がこれまで賭けてきた覚悟の総量
- 出資したお金
- これまで積み上げた利益
- 逆に言えば、失敗の結果
すべてがここに残ります。
純資産が薄い会社は、
一言で言うと、
耐久力が低い
ちょっとした売上減少や、
資金トラブルで、一気に苦しくなります。
運転資金が足りなくなる会社の共通点
ここで、
多くのスモールビジネスがハマる落とし穴を見ましょう。
運転資金が足りなくなる会社には、
共通点があります。
① 売掛金が増え続けている
→ 入金より先に仕事が進んでいる
→ 成長しているのに苦しい
② 在庫を「安心材料」と思っている
→ 売れなければ、ただの重り
→ 現金化できない資産
③ 短期の借入で、長期の投資をしている
→ 返済タイミングが合わない
→ 常に資金繰りが不安定
これらはすべて、
B/Sを見ていれば気づけるサインです。
B/Sは「戦略が丸見えになる表」
ここまでをまとめると、
B/Sはこう読めます。
- 資産:何に賭けているか
- 負債:誰の力を借りているか
- 純資産:どれだけ腹をくくっているか
つまり、
B/Sを見ると、その会社の戦い方が分かる
- 守り重視なのか
- 攻めに出ているのか
- 無理をしているのか
社長自身の“クセ”まで見えます。
B/Sを見ないのは、地図を見ずに航海すること
P/Lだけ見ている経営は、
スピード計だけ見て走る車と同じです。
速いかどうかは分かる。
でも、
- ガソリンはどれくらい残っているのか
- エンジンは無理していないか
これは、B/Sを見ないと分かりません。
ゴール|B/Sを「怖い表」から「戦略が見える表」へ
この回のゴールは明確です。
- B/Sを見ると気分が悪くなる
- よく分からないから避ける
この状態から、
「あ、これは自分の戦略表だな」
と思える状態へ。
細かい勘定科目は、
正直どうでもいい。
まずは、
- 何にお金を使っているか
- どれだけ借りているか
- 自分の体力はどれくらいか
これが見えれば十分です。
今日の「虎の穴」→ B/Sは、社長の覚悟が数字になったもの
貸借対照表は、会社の成績ではない
社長が何に賭け、どこまで耐える覚悟かを示す表である
