
― 数字はストーリーで読む ―
会計が一気につまらなくなる瞬間
決算書を見て、
こんな気持ちになったことはありませんか。
「結局、去年と何が違うんだっけ?」
「数字はあるけど、判断に使えない」
P/L、B/S、CF。
それぞれは説明を聞いた。
でも、全体像が見えない。
その原因は、とてもシンプルです。
数字を“点”で見ているから
今回は、
この点を「線」に変える回です。
なぜ「単月」ではなく「1年」で見るのか
スモールビジネスの現場では、
どうしても単月の数字に目が行きがちです。
- 今月の売上
- 今月の利益
- 今月の残高
もちろん大事です。
しかし、経営の本質は、
「どう積み上がったか」
にあります。
1か月の数字は、
物語で言えば「1ページ」。
1年分を見て、初めてストーリーになる
これが、
三表をつなぐ最大の意味です。
三表は、同じ物語を別の角度から語っている
ここで整理しましょう。
P/L(損益計算書)
→ この1年で、どんな成果を出したか
CF(キャッシュフロー)
→ その成果の裏で、お金はどう動いたか
B/S(貸借対照表)
→ その結果、今どんな状態になっているか
順番が重要です。
P/L → CF → B/S
この流れで見ると、
三表は完全につながります。
ケース|売上が伸びた会社の「数字の物語」
例として、
こんな会社を想像してください。
① P/Lの物語
- 売上:前年比120%
- 利益:微増
社長は言います。
「頑張った割に、利益が薄いな…」
② CFの物語
- 売掛金が大きく増加
- 広告・設備への投資あり
ここで分かります。
成長のために、先にお金を使っている
③ B/Sの物語
- 資産:売掛金・設備が増加
- 負債:借入も増加
- 純資産:少しずつ厚くなっている
この会社の物語は、こうです。
「攻めの1年だった」
単月で見ると不安。
でも、1年でつなぐと、
ちゃんと意味のある成長に見えます。
成長期の会社に起きている「典型ストーリー」
成長期の会社の数字は、
だいたい似た話になります。
- P/L:利益率は一時的に下がる
- CF:キャッシュは苦しい
- B/S:資産も負債も膨らむ
これを見て、
「危ないのでは?」
と感じる社長も多い。
でも、ここで問うべきは一つ。
この動きは、狙ってやっているか?
踏ん張っている会社/無理している会社の違い
三表をつなぐと、
「良い苦しさ」と「危ない苦しさ」が見えてきます。
踏ん張っている会社
- 投資の理由を説明できる
- 売上増と連動して資産が増えている
- 純資産も少しずつ増えている
→ 物語に一貫性がある
無理している会社
- 借入で赤字を埋めている
- 売上が伸びていないのに負債だけ増える
- 純資産が削られている
→ 物語が破綻している
ここまで見えるようになると、
数字は一気に“怖くなく”なります。
数字を見て「来期」を語れる会社とは
三表をつなげて読める会社は、
会話が変わります。
❌ 「今年はこんな数字でした」
⭕ 「来期は、こういう展開にしたい」
- 来期は守りに入るのか
- もう一段攻めるのか
- どこで踏ん張るのか
数字が、未来の話につながる
これが、
会計が「経営の言葉」になる瞬間です。
会計が面白くなると、経営は孤独じゃなくなる
数字をストーリーで語れると、
- 税理士と話が噛み合う
- 銀行との会話が楽になる
- 社内で説明できる
つまり、
社長一人で抱え込まなくてよくなる
これが、
管理会計の隠れた効用です。
ゴール|決算書を「流れ」で捉える
この回のゴールは明確です。
- P/Lだけ
- B/Sだけ
- CFだけ
ではなく、
1年の経営を、一本の物語として語れること
うまい話でなくていい。
成功譚でなくていい。
「今年は、こういう1年だった」
と説明できれば、それで十分です。
今日の「虎の巻」→ 数字は、社長の1年日記である
決算書は、会社の通知表ではない
社長がどう悩み、どう決断したかが書かれた“1年日記”である
