⑤財務三表をつなぐと、経営は“物語”になる


― 数字はストーリーで読む ―

会計が一気につまらなくなる瞬間

決算書を見て、
こんな気持ちになったことはありませんか。

「結局、去年と何が違うんだっけ?」
「数字はあるけど、判断に使えない」

P/L、B/S、CF。
それぞれは説明を聞いた。
でも、全体像が見えない

その原因は、とてもシンプルです。

数字を“点”で見ているから

今回は、
この点を「線」に変える回です。


なぜ「単月」ではなく「1年」で見るのか

スモールビジネスの現場では、
どうしても単月の数字に目が行きがちです。

  • 今月の売上
  • 今月の利益
  • 今月の残高

もちろん大事です。

しかし、経営の本質は、

「どう積み上がったか」

にあります。

1か月の数字は、
物語で言えば「1ページ」。

1年分を見て、初めてストーリーになる

これが、
三表をつなぐ最大の意味です。


三表は、同じ物語を別の角度から語っている

ここで整理しましょう。

P/L(損益計算書)

この1年で、どんな成果を出したか

CF(キャッシュフロー)

その成果の裏で、お金はどう動いたか

B/S(貸借対照表)

その結果、今どんな状態になっているか

順番が重要です。

P/L → CF → B/S

この流れで見ると、
三表は完全につながります。


ケース|売上が伸びた会社の「数字の物語」

例として、
こんな会社を想像してください。

① P/Lの物語

  • 売上:前年比120%
  • 利益:微増

社長は言います。
「頑張った割に、利益が薄いな…」

② CFの物語

  • 売掛金が大きく増加
  • 広告・設備への投資あり

ここで分かります。

成長のために、先にお金を使っている

③ B/Sの物語

  • 資産:売掛金・設備が増加
  • 負債:借入も増加
  • 純資産:少しずつ厚くなっている

この会社の物語は、こうです。

「攻めの1年だった」

単月で見ると不安。
でも、1年でつなぐと、
ちゃんと意味のある成長に見えます。


成長期の会社に起きている「典型ストーリー」

成長期の会社の数字は、
だいたい似た話になります。

  • P/L:利益率は一時的に下がる
  • CF:キャッシュは苦しい
  • B/S:資産も負債も膨らむ

これを見て、

「危ないのでは?」
と感じる社長も多い。

でも、ここで問うべきは一つ。

この動きは、狙ってやっているか?


踏ん張っている会社/無理している会社の違い

三表をつなぐと、
「良い苦しさ」と「危ない苦しさ」が見えてきます。

踏ん張っている会社

  • 投資の理由を説明できる
  • 売上増と連動して資産が増えている
  • 純資産も少しずつ増えている

物語に一貫性がある

無理している会社

  • 借入で赤字を埋めている
  • 売上が伸びていないのに負債だけ増える
  • 純資産が削られている

物語が破綻している

ここまで見えるようになると、
数字は一気に“怖くなく”なります。


数字を見て「来期」を語れる会社とは

三表をつなげて読める会社は、
会話が変わります。

❌ 「今年はこんな数字でした」
⭕ 「来期は、こういう展開にしたい」

  • 来期は守りに入るのか
  • もう一段攻めるのか
  • どこで踏ん張るのか

数字が、未来の話につながる

これが、
会計が「経営の言葉」になる瞬間です。


会計が面白くなると、経営は孤独じゃなくなる

数字をストーリーで語れると、

  • 税理士と話が噛み合う
  • 銀行との会話が楽になる
  • 社内で説明できる

つまり、

社長一人で抱え込まなくてよくなる

これが、
管理会計の隠れた効用です。


ゴール|決算書を「流れ」で捉える

この回のゴールは明確です。

  • P/Lだけ
  • B/Sだけ
  • CFだけ

ではなく、

1年の経営を、一本の物語として語れること

うまい話でなくていい。
成功譚でなくていい。

「今年は、こういう1年だった」
と説明できれば、それで十分です。


今日の「虎の巻」→ 数字は、社長の1年日記である

決算書は、会社の通知表ではない
社長がどう悩み、どう決断したかが書かれた“1年日記”である


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