⑥数字を“判断の道具”に変える瞬間


― 管理会計の入口に立つ ―

決算書を読めても、迷いは消えない

ここまでで、
P/L・B/S・CFを俯瞰し、
数字を「物語」として読めるようになりました。

それでも、
こんな感覚が残っていないでしょうか。

  • 読めるけど、決めきれない
  • 理屈は分かるが、判断が怖い
  • 「で、結局どうする?」が残る

それは、あなたの理解が浅いからではありません。

決算書は、そもそも「判断のため」に作られていない

ここが、
財務会計と管理会計の分かれ道です。


なぜ決算書だけでは判断できないのか

決算書は、
過去を正しく報告するための資料です。

  • 法律で決まったルール
  • 外部向け(税務・銀行)
  • 正確さが最優先

一方、経営判断は、

  • 未来について
  • 仮説ベースで
  • スピード重視

この2つは、
目的が違うのです。

財務会計=報告
管理会計=決断

ここを混同すると、
いつまでも数字に縛られます。


管理会計は「数字の切り口」を変えること

管理会計で最初にやることは、
実はとても地味です。

数字を“分けて考える”

代表的なのが、
固定費・変動費という考え方です。


固定費・変動費という“考え方”

固定費・変動費は、
勘定科目の話ではありません。

「売上との関係性」で分ける視点

  • 売上が増えても変わらない → 固定費
  • 売上に比例して増える → 変動費

これで何が分かるか。

売上が減ったとき、何が残るか

この視点を持った瞬間、
数字が「判断材料」に変わります。


ケース|値下げしていいか迷う社長

よくある相談です。

「この商品、値下げしたら売れそうなんですが…」

管理会計的な問いは、これです。

  • その値下げで、粗利はいくら減るか
  • 固定費はカバーできるか
  • 数量で取り戻せる現実性はあるか

感覚論ではなく、
構造で考える

これが、管理会計です。


損益分岐点は「安全ライン」

管理会計の代表選手、
損益分岐点

難しそうに聞こえますが、
意味はシンプルです。

ここを下回ると赤字、超えると黒字

もっと経営者向けに言うなら、

最低限、死なない売上ライン

これが分かっているかどうかで、
意思決定の重さが変わります。


損益分岐点を知らない会社の特徴

  • 売上目標が感覚的
  • 値下げ判断が怖い
  • 売上減少に過剰反応する

逆に、

損益分岐点を知っている社長は、落ち着いている

なぜなら、
「どこまでなら耐えられるか」を
知っているからです。


数字が意思決定に変わる瞬間

管理会計が
「道具」になる瞬間があります。

それは、
こんな問いが自然に出てきたときです。

  • この判断で、固定費はどうなる?
  • 粗利は足りる?
  • 分岐点は上がる?下がる?

この時、数字はもう、

  • 過去を責めるもの
  • 自分を評価するもの

ではありません。

未来を選ぶための地図

になっています。


管理会計は、特別な人のものではない

よくある誤解があります。

  • 管理会計=大企業
  • 管理会計=専門家向け
  • 管理会計=難しい

全部、違います。

スモールビジネスに必要なのは、

  • 完璧な数字
  • 複雑な分析

ではなく、

判断に足りる“荒い地図”

むしろ、
小さい会社ほど、
管理会計は効きます。


管理会計とは「数字で会話する習慣」

最後に、
管理会計を一言で言うなら、これです。

管理会計とは、数字で迷いを減らす習慣

特別な資料を作ることではありません。

  • 数字を分けて考える
  • 安全ラインを知る
  • 判断の前に一度数字に聞く

それだけで、
経営は驚くほど静かになります。


ゴール|「使ってみよう」と思えたら成功

この回のゴールは、
とても控えめです。

「管理会計、ちょっと使ってみようかな」

この気持ちが生まれたら、
それで十分。

管理会計は、
一気にやるものではありません。


今日の「虎の巻」→ 管理会計は、社長のためにある

管理会計は、会社を縛るための数字ではない
社長が決断しやすくなるための道具である


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