①数字が苦手な社長のための管理会計の考え方・全体像


― 虎の穴の入口として、まず知ってほしいこと ―

「数字が苦手」なのは、あなただけではない

「数字が苦手で……」
この言葉を、これまで何人の社長から聞いてきたでしょうか。

小規模事業の経営者、現場叩き上げの社長、職人出身の経営者。
業種も年齢も違うのに、驚くほど同じ言葉が返ってきます。

  • 決算書を見ると、急に思考が止まる
  • 利益が出ていると言われても、実感がない
  • 数字の話になると、税理士に任せきりになる

でも、これは決して「能力」や「頭の良さ」の問題ではありません。

実は多くの場合、
数字が苦手なのではなく、数字との付き合い方を誰からも教わっていないだけなのです。

学校では「計算」は教わりましたが、
経営のために数字をどう使うかは、誰も教えてくれませんでした。

この記事は、そんな「数字が苦手な社長」のための
管理会計の入口として書いています。

難しい数式も、専門用語も、最小限です。
まずは「全体像」をつかむことから始めましょう。

なぜ「数字が苦手な社長」はこれほど多いのか

少し厳しい言い方をすると、
多くの社長は、数字に対してこんな誤解を持っています。

  • 数字は「正解」があるもの
  • 間違えたら恥ずかしいもの
  • 専門家が扱うもの

この思い込みが、数字との距離を一気に広げます。

ある製造業の社長は、こんなことを言っていました。

「税理士さんの前で、変なことを言ったら恥ずかしいじゃないですか。
だから、分からないまま“はい”って言ってしまうんです」

でも、本来数字は
社長が一番ラフに使っていい道具のはずです。

完璧である必要も、正確無比である必要もありません。

にもかかわらず、
「正しく理解しないといけない」「分からないのはダメだ」
と思い込んでしまう。

これが、数字アレルギーの正体です。

数字の問題ではなく、「考え方」の問題である

ここで、はっきりさせておきたいことがあります。

数字が苦手な社長に足りないのは、知識ではありません。

足りないのは、
「管理会計をどう捉えるか」という考え方です。

もし管理会計を、

  • 正解を当てるテスト
  • 会計の勉強
  • 経理の延長

だと思っていると、必ずつまずきます。

虎の穴が考える管理会計は、まったく違います。

管理会計とは、社長が“決める”ための道具

これだけです。

次の章から、その理由を順番に見ていきましょう。

管理会計は「経理の仕事」ではない

会計と管理会計の決定的な違い

まず、多くの社長が混同している
「会計」と「管理会計」の違いから整理します。

項目会計(財務会計)管理会計
主な目的外部への報告社内の判断
相手税務署・銀行社長・経営陣
過去/未来過去未来
正確性非常に重要そこまで重要ではない

ポイントはここです。

管理会計は「未来の判断」のために使うもの

だから、
税務的に正しいかどうかよりも、
経営判断に使えるかどうかが重要になります。

管理会計が社長のためにある理由

例えば、こんな場面を想像してください。

  • 値上げをすべきかどうか
  • 人を一人増やすべきか
  • この取引先を続けるべきか

これらは、すべて社長が決めることです。

そして、この判断に必要なのは、

  • 「正確な決算書」ではなく
  • 「判断に足る、ざっくりした数字」

です。

管理会計は、
社長が迷わず決めるための“補助線”

経理の仕事ではなく、
社長業そのものなのです。

数字は“見るもの”ではなく“使うもの”

数字を眺めても経営は良くならない

「毎月、試算表は見ています」

こう言う社長は多いですが、
実際に中身を聞くと、こうなります。

  • 売上が増えた/減った
  • 利益が出た/出なかった

で、話が止まる。

これでは、
天気予報を見ているだけと同じです。

「今日は雨ですね」で終わってしまい、
傘を持つかどうかを決めていない。

判断と結びついた瞬間に意味が生まれる

数字が生きるのは、
行動と結びついた瞬間です。

例えば、こんな問いに変わったとき。

  • この売上水準なら、人を増やせるか?
  • この粗利構造で、値引きして大丈夫か?
  • この固定費水準は、今の事業規模に合っているか?

管理会計は、
「数字を説明するため」ではなく
**「次の一手を決めるため」**にあります。

虎の穴では、
常に「それで、何を決めますか?」と問い続けます。

なぜ細かく分解しすぎてはいけないのか

分解が目的化した管理会計の弊害

管理会計というと、
「細かく分解するもの」と思われがちです。

  • 商品別
  • 顧客別
  • 担当者別

確かに、分解すると気づきは出ます。

しかし、ある段階を超えると、
分解そのものが目的化します。

あるサービス業の社長は、
エクセルで30項目以上に分解した管理表を作っていました。

結果どうなったか。

  • 更新されない
  • 見返されない
  • 判断に使われない

本末転倒です。

「粗く捉える」ことの経営的価値

虎の穴が重視するのは、
あえて粗く捉えることです。

  • まずは3〜5項目
  • 判断に必要最低限
  • 毎月、確実に見る

粗いからこそ、
全体の歪みが見えます。

管理会計は、
顕微鏡ではなく、地図です。

細部よりも、
「今どこにいて、どこへ向かうのか」。

それが分かることの方が、
社長にとっては何倍も重要です。

虎の穴が大切にしている3つのスタンス

① 感覚を否定しない

虎の穴では、
社長の「なんとなく」を否定しません。

むしろ、

「その違和感、数字で見てみましょう」

と扱います。

感覚は、
現場を見てきた社長だけが持てる重要な資産です。

② 社長の仕事から逆算する

管理会計の設計は、
必ずこう問いから始まります。

  • 今年、何を決める必要があるか
  • どこで迷っているか

表を作る前に、
意思決定ありきです。

③ 答えを出さない管理会計

虎の穴は、
「正解」を教える場所ではありません。

管理会計は、
答えを出すものではなく、
考える材料を揃えるものだからです。

決めるのは、
いつも社長本人。

それが、管理会計の本質です。

管理会計は「社長が決めるための地図」

ここまで読んでいただき、
ありがとうございます。

管理会計を一言で言うなら、こうです。

管理会計とは、社長が迷わず決めるための地図

数字が苦手でも構いません。
完璧である必要もありません。

大切なのは、

  • 正しく理解することより
  • 使える形で持つこと

虎の穴は、
その「地図づくり」を一緒に行う場所です。

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まずは、こちらからどうぞ。

数字の見方が、
少しずつ変わり始めるはずです。

今日の一言

管理会計は、分かるためのものではない。決めるためのものである。


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