
― 売り方ではなく「誰」の問題だった ―
「ホームページを作り直したのに反応がない」
「SNSを頑張っているのに問い合わせが来ない」
「広告費をかけても、全然手応えがない」
こうした相談は、業種・地域を問わず、本当によく耳にします。
そして多くの場合、社長はこう考えています。
売り方が悪いのではないか
見せ方が古いのではないか
もっと今っぽい集客手法があるのではないか
ですが、結論から言います。
集客がうまくいかない原因の大半は、「売り方」ではありません。
問題の正体は、もっと手前にあります。
それが今回のテーマである、「誰」の問題です。
集客が詰まる社長ほど「テクニック」を探しに行く
集客に悩み始めたとき、多くの社長が最初にやる行動があります。
- SNS運用のノウハウを探す
- 集客セミナーに参加する
- マーケティング本を何冊も読む
どれも間違いではありません。
ただ、ある共通点があります。
「誰に向けてやるのか」を、ほぼ考えないまま始めている
という点です。
その結果、こんな状態に陥ります。
- 投稿内容が日によってバラバラ
- 自分では良いことを書いているつもりだが反応が薄い
- フォロワーやアクセス数は増えたが、問い合わせは増えない
これは努力不足ではありません。
設計の順番を間違えているだけです。
「うちはこういう会社です」から始めると、ほぼ失敗する
集客の相談を受けると、最初にこう説明されることがよくあります。
うちは〇〇業をやっていて、
創業は◯年で、
強みは△△で、
他社との差別化は□□です。
一見、ちゃんと説明できているように聞こえます。
ですが、ここに大きな落とし穴があります。
それはすべて「自分視点」だということです。
お客さんは、あなたの会社を探しているわけではありません。
探しているのは、
「今、自分が困っているこの状況を、何とかしてくれる存在」
です。
会社紹介から始まる集客は、
ほぼ例外なく「誰にも刺さらない集客」になります。
人は「サービス」ではなく「困った瞬間」に反応する
ここで、一つ想像してみてください。
あなたが急にこんな状況になったとします。
- 月末なのに、口座残高が思ったより少ない
- 利益が出ているはずなのに、なぜかお金が残らない
- 銀行から「今後の見通しを教えてください」と言われた
このとき、あなたが探すのは何でしょうか。
- 「管理会計サービス」でしょうか?
- 「経営支援会社」でしょうか?
おそらく違います。
「この状況、どう説明すればいいんだろう」
「誰かに整理してもらえないかな」
こういう感情が、先に立つはずです。
集客とは、「困りごとが発生した瞬間」をつかまえる作業です。
売りたいサービスから考えるのではありません。
「誰」を間違えると、全部がズレ始める
ここで、よくあるケースを一つ紹介します。
ケース:集客が空回りしていた工事業の社長
ある工事業の社長は、こんな集客をしていました。
- ホームページで「高品質・迅速対応」をアピール
- SNSでは施工事例を毎週投稿
- 広告では「地域最安値」を打ち出す
それでも問い合わせは月に1件あるかどうか。
ヒアリングして分かったのは、
「誰」をこう設定していたことでした。
工事を検討している、すべての人
これでは、誰にも刺さりません。
そこで視点を変えました。
- 工事を「検討している人」ではなく
- 「急なトラブルで、判断を迫られている人」
に絞ったのです。
すると、発信内容が変わりました。
- 「この状態なら、今すぐ工事が必要か?」
- 「業者に聞く前に確認してほしい3つのポイント」
結果、問い合わせ数は大きく増えました。
売り方は、ほとんど変えていません。
変えたのは、「誰の、どの瞬間を見るか」だけです。
「顧客像」よりも先に考えるべきもの
ここで多くの社長が、こう思います。
ペルソナを作ればいいんですよね?
半分正解で、半分不正解です。
年齢、性別、職業、年収…。
それらは「後」で構いません。
先に考えるべきなのは、こちらです。
- どんな出来事が起きた瞬間か
- そのとき、どんな不安や焦りがあるか
- なぜ、今すぐ誰かに相談したくなるのか
これを、「困りごと発生シーン」と呼びます。
このシーンが曖昧なまま集客をすると、
- メッセージがぼやける
- コンテンツが散らかる
- 何を改善すればいいか分からなくなる
という状態に陥ります。
集客がうまくいっている会社は、ここが異様に具体的
集客が安定している会社には、ある共通点があります。
それは、
「うちのお客さんは、〇〇な状況で、△△に困っていて、
そのときに、□□という言葉に反応する」
という説明が、驚くほど具体的だという点です。
逆に言えば、
この説明ができないうちは、集客施策を増やしてはいけません。
SNSを増やす前に、広告を出す前に、
まずやるべきことがあります。
それが、
「集客がうまくいかない原因は、
売り方ではなく『誰』かもしれない」
と、一度立ち止まって考えることです。
今日の一言
集客は、サービスを売る活動ではない。
「困った瞬間の誰か」に気づいてもらう活動である。
次回は、
「人はいつ『相談しよう』と思うのか?」
というテーマで、もう一段深く掘り下げていきます。
