
―「やっていない」のではなく、「見えていない」だけかもしれない ―
前回の記事では、
人は「分からない」からではなく、「決められない」と気づいたときに相談する
という話をしました。
今回は、そこから一歩進みます。
「相談したくなる瞬間」を想定できた社長が、
次にほぼ必ず考えるのが、こんなことです。
- SNSを強化したほうがいいのでは
- 広告も検討すべきかもしれない
- そもそも、どこで発信するのが正解なんだろう
ここで多くの人が、
“集客チャネルを増やす”方向に舵を切ります。
ですが、ここで一度、立ち止まってほしいのです。
新しい集客チャネルを考える前に、
必ずやるべきことがあります。
それが、今回のテーマである
「集客接点の棚卸し」です。
集客が伸びない会社ほど、チャネルを足そうとする
集客がうまくいっていないとき、
社長の頭の中はだいたいこんな状態になります。
何か足りないはず
もっと露出しないと
今どきのやり方をやっていないからだ
この感覚自体は、自然です。
問題は、そのまま行動してしまうことにあります。
- SNSを増やした
- ブログも始めた
- 動画も手を出した
結果どうなるか。
- どれも中途半端
- 管理できない
- 何が効いているか分からない
これは努力不足ではありません。
全体が見えていない状態で、部品だけを足しているのです。
集客は「点」ではなく、「接点の集合体」
ここで、一つ考え方を変えてみましょう。
集客というと、多くの人は
「SNS」「ホームページ」「広告」といった
個別の施策(点)を思い浮かべます。
ですが、実際の集客はこうです。
- どこで知り
- どこで触れ
- どこで判断し
- どこで相談するか
この一連の流れの中にある“接点”の集合体です。
つまり、
集客が弱い
ではなく
接点の全体像を把握していない
というケースが、非常に多いのです。
棚卸しで見るべきは「やっている/いない」ではない
ここで「棚卸し」と聞くと、
こんなリストを思い浮かべるかもしれません。
- ホームページ:あり
- ブログ:あり
- SNS:X、Instagram
- チラシ:たまに
これは、半分正解で、半分不足です。
本当に見るべきなのは、こちらです。
- それは、誰に向けた接点か
- どのタイミングの人が触れるものか
- その接点で、何を伝えているか
「ある/ない」ではなく、
「どういう役割を担っているか」を見るのが棚卸しです。
3つに分けると、集客接点は一気に見える
集客接点は、次の3つに分けると整理しやすくなります。
① 自分でコントロールできる接点
- ホームページ
- ブログ
- メール
- 自社資料
これは、情報量をしっかり載せられる接点です。
相談前の「考える材料」を提供する役割を持ちます。
② 日常的に触れる接点
- SNS投稿
- 日々の発信
- 雑談レベルの情報
ここは、
思い出してもらうための接点です。
深く説明する場ではありません。
③ 他人の力を借りる接点
- 紹介
- 口コミ
- 取引先からの一言
- 第三者の評価
実は、多くの会社で
一番効いているのがここだったりします。
にもかかわらず、
ほとんど意識されていません。
ケース:集客を増やしたのに、成果が出なかった理由
あるサービス業の社長のケースです。
この方は、集客に力を入れようと決め、
- SNSを2つ追加
- ブログも週1更新
- 広告も少額でスタート
かなり頑張っていました。
ですが、問い合わせは増えません。
棚卸しをして分かったのは、
すべての接点が「同じ役割」になっていたことです。
- どこを見ても、会社紹介
- どこを見ても、サービス説明
- どこを見ても、「お問い合わせはこちら」
これでは、
接点が増えても、前に進めないのです。
「強い接点」は、意外とすでに持っている
棚卸しをしていると、
よく起こる発見があります。
それは、
実は、もう強い接点を持っていた
という事実です。
例えば、
- 既存顧客からの紹介が多い
- 過去のブログ記事がよく読まれている
- セミナー後の雑談で相談される
これらはすべて、立派な集客接点です。
ですが、
- 当たり前すぎて価値だと思っていない
- 意識していないから、再現できない
という理由で、放置されています。
棚卸しの目的は、
新しいことを増やすことではありません。
「すでにあるものを、ちゃんと見ること」です。
棚卸しをすると、やらなくていいことが見えてくる
もう一つ、大きなメリットがあります。
それは、
やらなくていいことが分かるという点です。
- 反応がないSNS
- 管理できていない媒体
- 役割が重複している接点
これらを整理せずに増やしていくと、
社長の負担だけが増えていきます。
集客は、
頑張る量を増やすゲームではありません。
構造を整えるゲームです。
集客構造設計の第一歩は「全体を並べる」こと
ここまでの話をまとめると、
この段階でやるべきことは、非常にシンプルです。
- 今ある集客接点をすべて書き出す
- 3つの分類に分ける
- それぞれの役割を言葉にする
改善も、追加も、
そのあとで十分です。
今日の一言
集客が弱いのではない。
「今ある接点の全体像」を、まだ見ていないだけだ。
次回は、
「なぜ集客は“点”で終わるのか?」
― 導線を一本に束ねるという発想 ―
について掘り下げていきます。
