②粗利とは何かを、社長の言葉で説明できますか?


「粗利って…売上から原価を引いたやつですよね?」

社長に「粗利とは何ですか?」と聞くと、
多くの方がこう答えます。

売上から原価を引いたものですよね

正解です。
会計的には、100点の答えです。

では、次の質問です。

あなたの会社にとって、粗利とは何ですか?

この問いに、
自分の言葉で答えられる社長は、ぐっと少なくなります。

今回の記事では、

  • 粗利を“定義として知っている状態”
  • 粗利を“経営の言葉として使えている状態”

この2つの違いを明確にしながら、
「粗利で会社を見る社長」になるための
思考の土台を作っていきます。

定義を知っている社長と、使えている社長の違い

まず、少し極端な例を出します。

定義だけ知っている状態

  • 粗利=売上 − 原価
  • 粗利率が大事
  • 業界平均と比べる

これは「知識」としては十分です。

でも、この状態の社長は、
こんな場面で止まります。

  • 「じゃあ、どうすれば粗利は上がるのか?」
  • 「今の粗利は、良いのか悪いのか?」

判断に結びつかないのです。

使えている状態

一方で、粗利を使えている社長は、
こんな言葉を使います。

  • 「この商品は、忙しい割に粗利を生まない」
  • 「この仕事があるから、会社が回っている」
  • 「ここが崩れると、一気に苦しくなる」

ここでは、
粗利=会社の構造を語る言葉
になっています。

違いは、数字の知識ではありません。
言葉の置き方です。

粗利は「残ったお金」ではない

ここで、一度イメージをリセットしましょう。

粗利を、

「経費を払う前に残ったお金」

と捉えていると、
どうしても“余り物”のように感じてしまいます。

でも実際には、逆です。

粗利とは何か?

粗利とは、

会社が活動するために、最初に確保しなければならない原資

です。

  • 人を雇う
  • 場所を借りる
  • 広告を打つ

これらはすべて、
粗利があるからできること

粗利は、
「最後に残るもの」ではなく、
「最初に必要なもの」なのです。

社長の言葉で言い換えてみる

ここからが、今回の本題です。

粗利を、
会計用語ではなく、社長の言葉に翻訳する
というワークをしてみましょう。

よくある会計的な言い方

  • 粗利が低い
  • 粗利率が悪い

これを、そのまま使っても、
行動は変わりません。

社長の言葉にすると

  • 「この仕事、やってる意味あるのかな?」
  • 「忙しいけど、全然楽にならない」
  • 「これがあるから、人も会社も維持できている」

粗利とは、
社長の感覚と、数字をつなぐ翻訳語
なのです。

ケーススタディ①|「売れているのに苦しい」の正体

背景

製造業G社。
売上は毎年伸びており、
外から見ると順調そのもの。

しかし社長は、こう言います。

「正直、年々しんどくなっている」

粗利を見てみると

  • 売上:増加
  • 粗利額:横ばい
  • 粗利率:低下

原因は、

  • 価格競争
  • 原価上昇

それでも売上を追い続けた結果でした。

社長の言葉にすると

この会社にとって粗利とは、

会社を楽にしてくれるかどうかの分かれ目

だったのです。

ここに気づいたことで、

  • どの仕事を断るか
  • どこで価格交渉するか

の判断軸が、はっきりしました。

ケーススタディ②|粗利を「守るもの」と定義した会社

背景

サービス業H社。
社長は、こんな言葉を使っていました。

うちは、粗利を守る会社なんです

この一言が意味していたもの

  • 値下げ要求には理由なく応じない
  • 手間が増える仕事は、必ず見直す
  • 粗利を削る判断は、社長決裁

粗利は、
「数字」ではなく
会社の約束事になっていました。

結果として、

  • 社員の判断も揃い
  • 現場でのブレが減り

会社全体が、
同じ方向を向いて動くようになったのです。

「粗利率○%」よりも大事な問い

もちろん、粗利率は重要です。
ただし、それ以上に大事な問いがあります。

  • この粗利で、会社は回っているか?
  • この粗利で、人は疲弊していないか?
  • この粗利で、未来に投資できるか?

これらは、
教科書には載っていません。

だからこそ、
社長自身の言葉が必要になります。

ワーク|あなたの会社にとって、粗利とは何か?

ここで、ぜひ手を止めて考えてみてください。

次の文章を、埋めてみましょう。

うちの会社にとって粗利とは、_________である

例:

  • 「社員が安心して働ける余白である」
  • 「次の一手を打つための体力である」
  • 「無理な仕事を断るための根拠である」

正解はありません。
大切なのは、
あなたの言葉で言えるかどうかです。

粗利を言葉にできると、何が変わるのか

粗利を自分の言葉で説明できるようになると、
次の変化が起きます。

  • 数字を見る視点が変わる
  • 判断が早くなる
  • 経費の見方が変わる

そして何より、

利益が出ない理由が、感覚ではなく言葉になる

これが、
粗利で会社を見る社長への第一歩です。

次回は、
粗利を「率」で見ると、なぜ経営がブレ始めるのか
という、少し意外なテーマを扱っていきます。

今日の一言

粗利を説明できない会社は、守るべきものを決められない。
粗利を自分の言葉で語れた瞬間、経営は一段クリアになる。


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