
―「なんとなく儲かっている経営」から卒業するための話―
「利益は、出たらラッキー」になっていませんか?
「今月は、たぶん大丈夫だと思います」
「感覚的には、悪くないんですよね」
「忙しいから、きっと利益も出てるはずです」
社長と話していると、
利益の話になると、急に言葉が“ふわっと”する
そんな場面に何度も出会います。
これは不思議なことではありません。
多くの社長は、これまでこうやって経営してきたからです。
- 忙しさで判断する
- 通帳残高で一喜一憂する
- 決算で結果を知る
でも、ここまでの回で見てきた通り、
このやり方には限界があります。
今回は、
「利益は感覚で追うものではなく、設計するもの」
という話を、できるだけ分かりやすくお伝えします。
感覚経営が悪いわけではない。でも、限界がある
最初に誤解を解いておきます。
感覚経営=ダメ
という話ではありません。
むしろ、創業期や少人数の会社では、
社長の感覚は強力な武器です。
- 現場を知っている
- お客さんを知っている
- 勘が鋭い
だからこそ、
「ここまでは感覚で何とかなった」
という社長が多いのです。
ただし、ある段階で壁にぶつかる
その壁とは、こういう状態です。
- 売上は増えている
- 忙しさも増している
- でも、利益の手応えがない
ここで感覚だけに頼り続けると、
社長の頭の中は、だんだんこうなります。
よく分からないけど、
とにかく回している状態
この状態が続くと、
経営は運任せになっていきます。
利益を「結果」だと思った瞬間、コントロールできなくなる
多くの社長は、無意識のうちにこう考えています。
利益は、
「頑張った結果、あとから分かるもの」
この考え方のままでは、
利益はコントロール不能です。
なぜなら、
- 利益が出た理由が説明できない
- 出なかった理由も説明できない
- 次にどうすればいいかも、感覚頼り
になってしまうからです。
ケーススタディ|飲食業D社の話
D社は、地域で人気の飲食店。
お客さんも多く、週末は満席です。
それでも社長は、こう言いました。
「忙しい割に、手元に残らないんですよね…」
詳しく話を聞くと、
- 原価率はなんとなく把握
- 人件費は「仕方ない」と思っている
- いくら残したいかは、決めていない
つまり、
利益は“出たらいいな”という存在でした。
この状態では、
どれだけ頑張っても、
利益は安定しません。
利益が出る会社は、最初に「ゴール」を決めている
ここで、視点をガラッと変えてみましょう。
利益が安定している会社は、
こんな考え方をしています。
「いくら利益を残したいか」を
先に決める
- 月にいくら残したいのか
- 年間でどれくらい必要なのか
- そのために、どんな形が必要か
つまり、
利益を“ゴール”として先に置くのです。
利益を先に決めると、何が変わるのか
不思議なもので、
ゴールが決まると、判断基準が変わります。
- その仕事は、ゴールに近づくか?
- その値段で、達成できるか?
- その忙しさは、必要か?
これまで
「断れなかった仕事」
「何となく受けていた条件」
に、疑問が生まれます。
利益は「偶然」ではなく「設計の結果」
ここで、今日一番大事な話をします。
利益は、偶然生まれるものではない。
設計された構造の中からしか、生まれない。
設計と言っても、
難しい図面を書くわけではありません。
考える順番を変えるだけです。
多くの会社の考える順番
- 仕事が来る
- 売上が立つ
- 忙しくなる
- 残ったら利益
利益が残る会社の考える順番
- 残したい利益を決める
- そのための売り方を考える
- 取る仕事を選ぶ
- 結果として売上が立つ
同じ「売上」でも、
中身がまったく違います。
「設計する」とは、数字を細かく追うことではない
ここで、安心してほしいことがあります。
利益を設計する=
毎日数字とにらめっこする
ではありません。
むしろ逆です。
設計とは「判断を減らす」こと
あらかじめ設計されていれば、
- 迷う場面が減る
- 判断がブレにくくなる
- 感覚が“確認”として使える
状態になります。
感覚を捨てるのではなく、
感覚を活かす土台をつくる
それが設計です。
社長が設計すべきは、たった一つ
ここまで読んで、
「じゃあ、何から設計すればいいの?」
と思ったかもしれません。
答えはシンプルです。
利益を、
“管理できるもの”として扱うこと
- いくら残したいのか
- そのために、どんな売上が必要か
- どんな忙しさなら許容できるか
これを、
言葉で説明できる状態にする。
それだけで、
経営は大きく変わります。
次回予告|言葉で、利益をつかまえる
次回は、
「利益の話を、数字ではなく“言葉”で整理する」
というテーマで進めます。
いきなり計算はしません。
まずは、
- 自分の会社は、どこで利益を出しているのか
- 何をやめたら、楽になるのか
を、言葉でつかまえるところから始めます。
今日の一言
利益は、感じ取るものではない。
社長が“先に決めて、後から確認するもの”である。
ここに気づいた瞬間、
経営は「運」から「設計」へと切り替わります。
