④売上構造が見えると、打ち手は自然に絞られる


「何から手を付ければいいか分からない」社長へ

経営者の方と話していると、非常によく聞く言葉があります。

やることが多すぎて、どれが正解か分からない
全部大事に見えて、優先順位が付けられない

この状態、実は“やる気”や“能力”の問題ではありません。
ほとんどの場合、原因はもっとシンプルです。

売上構造が、見えていない

今回の記事では、
「売上を分解しない」シリーズの締めくくりとして、

  • なぜ売上構造が見えると、打ち手が自然に絞られるのか
  • 逆に、構造が見えないと、なぜ施策が散らかるのか

を、具体例とともに解きほぐしていきます。

打ち手が多すぎる会社に共通する“ある特徴”

まず、打ち手が散らかっている会社の典型例を見てみましょう。

よくある状態

  • SNSもやらなきゃ
  • 広告も気になる
  • 既存顧客フォローも大事
  • 新商品も考えたい
  • 値上げも検討中

……全部、正しそうに見えます。

でも、この状態のまま進むと、
どれも中途半端になりやすい。

なぜか。

理由|「売上のどこを動かしたいか」が決まっていないから

売上構造が見えていないと、

  • 何を増やせば売上が伸びるのか
  • どこが詰まっているのか

が分かりません。

結果として、
「思いついたことを全部やる」
という判断になってしまうのです。

売上構造が見えるとは、どういう状態か?

ここで、シリーズ②で扱ってきた内容を整理します。

社長が見るべき売上構造は、たった3つでした。

  • 新規
  • 既存
  • 依存

そして前回は、
これを踏まえて売上を一文で説明しました。

例:
「既存顧客のリピートが売上の中心で、新規は紹介に依存している」

この一文が書けた状態。
これが「売上構造が見えている」状態です。

ポイントは、
数字の細かさではなく、構造の輪郭が見えていること

構造が見えた瞬間、選択肢は一気に減る

では、先ほどの一文を見てみましょう。

「既存顧客のリピートが売上の中心で、新規は紹介に依存している」

この会社が抱える論点は、何でしょうか。

  • 既存顧客をさらに深掘りするのか
  • 紹介以外の新規ルートを作るのか

逆に言うと、

  • 新商品を増やす
  • とりあえず広告を打つ
  • 値下げで勝負する

といった選択肢は、優先度が下がることが分かります。

つまり、
構造が見えた瞬間に、

やらなくていいこと

自然と浮かび上がるのです。

ケーススタディ①|「広告を打つべきか?」で迷っていた会社

背景

サービス業C社。
売上が伸び悩み、広告出稿を検討していました。

しかし、社長はどこかモヤモヤしています。

売上構造を一文にすると

「既存顧客の継続利用で売上は安定しているが、新規は月数件しか入ってこない」

この一文から見えた構造は、

  • 売上の土台は既存
  • 新規は弱いが、そもそも受け入れ余力が少ない

というもの。

導き出された打ち手

この会社が最初にやるべきだったのは、
広告ではありませんでした。

  • 既存顧客の単価・利用頻度を上げる
  • 受け入れ体制を整える

広告は、そのでいい。

売上構造を見たことで、
「今じゃない」という判断ができたのです。

ケーススタディ②|「全部伸ばそう」としていた会社

背景

小売業D社。
売上を伸ばすため、あらゆる施策に手を出していました。

  • 新規客向けキャンペーン
  • 常連向けポイント施策
  • 新商品投入

どれも忙しい。でも、成果は薄い。

売上構造を一文にすると

「売上の8割が少数の常連客に依存している」

この一文が示していたのは、
極端な依存構造でした。

導き出された打ち手

この会社の最優先事項は、

  • 常連客を増やすこと

ではありません。

  • 常連“以外”の層をどう作るか

つまり、

  • 新規獲得
  • 初回から2回目への導線

に集中すべきだと分かりました。

結果として、
「やること」はむしろ減り、
成果は出始めました。

打ち手が自然に絞られる会社の思考回路

ここまでの話をまとめると、
売上構造が見えている社長は、こんな思考をします。

  1. 売上は、どこで生まれているか
  2. どこに偏っているか
  3. 一番壊れやすいのはどこか

この3点が分かると、

  • 強化すべき点
  • 補うべき点

が、ほぼ自動的に決まります。

「何をやるか」ではなく、
「どこを動かすか」が先に決まる

これが、打ち手が絞られる正体です。

「正解の施策」を探さなくていい理由

多くの社長が、

「正解の打ち手は何か?」

を探そうとします。

でも実際には、

  • 広告が正解な会社もあれば
  • 既存フォローが正解な会社もある

違いを生むのは、
売上構造の違いだけです。

構造を見ずに施策を選ぶから、
迷子になる。

構造を見てから選べば、
候補は自然に2~3個に絞られます。

売上構造は「判断を楽にするため」にある

最後に、とても大切な視点をお伝えします。

売上構造を整理する目的は、

  • 数字に強くなること
  • 管理を細かくすること

ではありません。

社長の判断を、楽にすること

  • 考える時間を減らす
  • 迷う回数を減らす
  • 覚悟を決めやすくする

そのために、
売上を分解せず、構造だけを見るのです。

今日の一言

売上構造が見えれば、打ち手は「選ぶもの」ではなく「残るもの」になる。
迷っている時ほど、施策ではなく構造を見よ。


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