
――売上・利益・お金は、まったくの別物・第3回――
なぜか「お金の話」だけ、空気が重くなる
売上の話は盛り上がる。
利益の話も、まだ耐えられる。
でも――
お金の話になった瞬間、場の空気が変わる。
・通帳残高
・借入返済
・支払い予定
・資金繰り
このあたりの話題になると、
急に口数が減る社長は少なくありません。
「まあ、何とか回ってるから」
「細かいところは見てないけど」
「資金繰りの話は、ちょっと苦手で…」
その“ちょっと避けたい感じ”
実は、とても多くの社長に共通しています。
お金の話を避ける社長は、怠けているわけじゃない
最初に、はっきり言っておきます。
お金の話を避ける社長は、
決して無責任でも、怠け者でもありません。
むしろ逆です。
・現場を回している
・売上を作っている
・社員や取引先に気を遣っている
やることが多すぎる中で、
「一番しんどい話題」を
無意識に後回しにしているだけなのです。
社長がお金の話を避けてしまう3つの理由
① 正解が分からないから
売上なら「多い方がいい」。
利益なら「黒字がいい」。
でも、お金は違います。
いくらあれば安心なのか
いくら足りないと危険なのか
この基準を、
誰も教えてくれません。
分からないものは、
人は自然と避けます。
② 向き合うと「怖い」から
通帳を見る。
返済予定を見る。
支払一覧を見る。
それは、
「最悪の未来」を
先に想像する行為
でもあります。
忙しい社長ほど、
「今は考えたくない」
「後でちゃんと見よう」
と、心にフタをします。
③ 誰にも相談しづらいから
売上の相談はできる。
採用の相談もできる。
でも、
「実は、今月ギリギリで…」
この一言は、
とても重たい。
・社員には言えない
・取引先にも言えない
・家族にも言いづらい
結果、
社長は一人で抱え込むことになります。
ケース①:数字は見ていたが「お金」だけ見ていなかった社長
あるサービス業の社長。
・売上推移は毎月チェック
・利益率も把握
・税理士との打ち合わせも定期的
一見、数字に強そうです。
でも実際は、
「通帳は、あまり見ない」
理由はシンプル。
「見ても、どう判断していいか分からないから」
結果どうなったか。
・売上が一時的に落ちた
・支払いが重なった
・慌てて銀行に相談
気づいたときには、選択肢がほとんど残っていませんでした。
お金は「静かに減る」
ここが、お金の一番怖いところです。
売上は、減るとすぐ気づく。
利益も、赤字になれば分かる。
でもお金は違います。
・少しずつ減る
・毎月ちょっとずつ足りない
・「今月だけ」が続く
だから、
「まだ大丈夫」
「来月で調整すればいい」
が積み重なります。
最後に苦しむのは、いつも社長
資金が詰まり始めると、
・社員を守る
・取引先を守る
・銀行と交渉する
すべて、社長の役目です。
しかもその頃には、
・余裕がない
・冷静さもない
・時間もない
一番苦しいタイミングで、
一番重い判断を迫られる。
これが、
お金の話を避け続けた末に待っている現実です。
ケース②:「もっと早く見ておけば…」と悔やんだ社長
製造業の社長の言葉です。
「数字は見てたつもりでした」
「でも、お金の話だけは避けてました」
・借入の返済スケジュール
・設備投資の影響
・資金繰り表
これらを、
「忙しいから」と後回しに。
結果、
「本当は、半年前に打てる手があった」
と、後から分かりました。
お金の話は、怖い。でも一番「守ってくれる」
皮肉な話ですが、
一番向き合うのが怖い数字が、
一番会社を守ってくれます。
・早めに気づける
・選択肢が多い
・交渉もできる
逆に、
見ない
知らない
避ける
この3つが揃うと、
状況は一気に悪化します。
管理会計は「お金と向き合うための翻訳機」
ここで、管理会計の役割が出てきます。
管理会計は、
・専門用語で責めない
・完璧さを求めない
・社長の判断に直結させる
お金の話を“使える形”に翻訳する仕組みです。
だから、
「お金が怖い社長」ほど
管理会計が必要
なのです。
向き合うべきは「現実」だけ
お金の話は、
ポジティブでもネガティブでもありません。
ただの現実です。
・ある
・ない
・足りる
・足りない
それだけ。
評価でも、人格でもありません。
早く見た社長ほど、楽になる
これまで多くの社長を見てきて、
はっきり言えることがあります。
お金と早く向き合った社長ほど、
後で楽になります。
・眠れる
・判断が早い
・経営が安定する
逆に、
「もう少し後で…」
と言い続けた社長ほど、
最後に一気に苦しみます。
今日の一言
お金の話を避けた時間だけ、
社長は後で一人で苦しむ。
向き合うのは、早いほどいい。
