
――頑張らないと儲からない会社は、設計が間違っている・第1回――
「忙しいのに儲からない」は、経営者あるある
毎日バタバタしている。
電話も鳴る、仕事もある、社員も動いている。
それなのに――
月末に残るお金を見ると、ため息が出る。
「あれ?こんなに働いたのに、これだけ?」
これは、決して珍しい話ではありません。
むしろ、真面目な社長ほどハマりやすい状態です。
忙しさと利益は、まったく別物
まず最初に、
はっきりさせておきたいことがあります。
忙しさ ≠ 利益
- 忙しい=仕事量が多い
- 利益が出る=価値が積み上がっている
この2つは、似ているようでまったく別の軸です。
「仕事がある=儲かる」と思ってしまう罠
多くの社長が、心のどこかでこう思っています。
- 仕事が増えれば売上も増える
- 売上が増えれば利益も増える
- だから、まずは仕事を取ろう
一見、正しそうです。
でも実際には、
仕事が増えるほど、
利益率が下がる会社
が、驚くほど多い。
ケーススタディ①:忙しさが限界を超えた会社
あるサービス業の会社。
- 月商:500万円
- 社員:5名
- 社長も現場フル稼働
売上は安定している。
仕事も途切れない。
でも、決算を見ると利益はほぼゼロ。
社長の言葉が、すべてを物語っていた
その社長は、こう言いました。
「断ると売上が落ちそうで怖いんです」
つまり、
- 利益よりも
- 仕組みよりも
**「今ある仕事を回すこと」**が最優先。
これが、忙しいのに儲からない会社の典型パターンです。
問題は「頑張り」ではない
ここで強調したいのは、
社長や社員が、
怠けているわけではない
ということ。
むしろ逆です。
- 一生懸命
- 真面目
- お客さん想い
だからこそ、
設計ミスに気づきにくい。
忙しい会社に共通する3つの特徴
忙しいのに利益が残らない会社には、
共通点があります。
① 売上の取り方がバラバラ
② 仕事ごとに負荷が違いすぎる
③ 社長の時間が切り売りされている
これらはすべて、
ビジネスモデルの問題です。
ビジネスモデルとは「儲け方の設計図」
ここで言うビジネスモデルとは、
- 何を売るか
- 誰に売るか
だけではありません。
どうやって利益が残るかの構造
そのものです。
「頑張れば何とかなる」は、設計放棄
忙しい会社ほど、
こんな言葉が増えます。
- 今は踏ん張りどころ
- もう少し我慢すれば
- 落ち着いたら考えよう
これは裏を返すと、
設計を後回しにしている状態
です。
ケーススタディ②:同じ売上、全然違う利益
同業で、
売上規模がほぼ同じ2社。
- A社:忙しい・利益ほぼなし
- B社:落ち着いている・利益あり
違いは、
社員の能力でも、努力でもありません。
ビジネスモデルの設計
だけです。
B社が最初にやったこと
B社の社長は、
こう言っていました。
「頑張らなくても回る形を作りたかった」
そのために、
- 仕事の種類を絞る
- 単価の決め方を変える
- 受注条件を明確にする
つまり、
忙しさを減らす方向に、
あえて舵を切った
のです。
忙しさは、成長の証ではない
社長の中には、
- 忙しい=会社が成長している
- 暇=危ない
と感じる方も多いでしょう。
しかし、
忙しさは、
成長の副作用であって、
目的ではない
のです。
管理会計で見ると、答えはシンプル
管理会計で見ると、
忙しい会社の問題はとても明快です。
- 利益を生む仕事が見えていない
- 時間あたりの粗利を見ていない
- 社長の稼働がコスト化されていない
つまり、
「儲かる動き」と
「忙しい動き」が混ざっている
ビジネスモデルは、感覚ではなく構造
「うちはこのやり方しかできない」
「業界的に仕方ない」
そう思った瞬間、
設計は止まります。
でも実際には、
どんな業種にも、
複数の儲け方が存在する
のです。
頑張らないと儲からない会社は、危険信号
ここで、
あえて厳しいことを言います。
頑張らないと儲からない状態は、
長く続かない
- 社長が倒れる
- 社員が疲弊する
- 品質が落ちる
これは精神論ではなく、
構造の話です。
このシリーズで扱うテーマ
このビジネスモデル編では、
- なぜ頑張るほど苦しくなるのか
- 儲かる会社は、どこが違うのか
- 管理会計で、どう見抜くのか
を、順番に解いていきます。
まずは「疑う」ことから始めよう
今日、持ち帰ってほしい問いはこれです。
「この忙しさは、
本当に利益につながっているか?」
もし即答できないなら、
それは設計を見直すサインです。
今日の一言
忙しさは努力の証ではない。
利益が残らないなら、
それは頑張り不足ではなく、
ビジネスモデルの設計ミスである。
