①なぜ社長は、こんなにも「決断疲れ」するのか


― 社長の仕事は、本当に“決めすぎている” ―

「最近、決めることが多すぎて頭が回らない」

もしあなたが社長なら、一度はこんな感覚を持ったことがあるはずです。

  • 朝から晩まで判断の連続
  • 小さなことも現場から確認が飛んでくる
  • 夜になっても「今日の判断、正しかったのか?」が頭から離れない

そしてふと、こんな疑問が浮かびます。
「社長って、こんなに毎日考え続ける仕事だったっけ?」

結論から言うと、
あなたが疲れているのは、能力不足でも気合不足でもありません。
単純に、“決めすぎている”のです。

社長は「判断する仕事」だからこそ、疲れる

よく言われますよね。
「社長の仕事は、決断だ」と。

これは間違いではありません。
むしろ、正しい。

ただし、多くの社長が勘違いしているポイントがあります。
それは、

社長は、すべてを決める仕事ではない

ということです。

ところが現実はどうでしょう。

  • 値引きしていいかどうか
  • この案件を受けるかどうか
  • スタッフのシフトをどうするか
  • クレーム対応の方針
  • ちょっとした備品の購入判断

気づけば、大小さまざまな「決め事」が、すべて社長のもとに集まってきます

しかも厄介なのは、
「どれも放っておくと問題になりそう」
「自分が決めた方が早い」
という、もっともらしい理由がついていることです。

決断疲れの正体は「判断の量」ではない

ここで一つ、重要な視点をお伝えします。

社長を疲れさせている本当の原因は、
判断の数そのものではありません。

疲労の正体は、
👉 “毎回、ゼロから考えていること”

にあります。

たとえば、こんな状態です。

  • 「今回はどうしようか…」と毎回悩む
  • 昨日と今日で、判断基準が微妙に違う
  • 過去の決定を振り返ると「なんであの時OK出したんだろう」と思う

これ、かなり脳を消耗します。

なぜなら、
判断に“基準”がないからです。

ケーススタディ|A社長の「終わらない判断地獄」

ここで、よくあるケースを一つご紹介します。

従業員10名ほどのサービス業を営むA社長。
売上は安定しているものの、本人はいつも疲れ切っていました。

話を聞くと、こんな状態でした。

  • 現場判断のほぼすべてを社長が承認
  • 数字は見ているが、判断にどう使っているかは感覚頼り
  • 「まあ、今回はいいか」が積み重なっている

本人は言います。
「自分が見ていないと不安なんですよね」

ところが実際には、
“見ている”のではなく、“考え続けている”状態でした。

  • 何を自分が決めるべきか決まっていない
  • 何を見て判断すればいいか決まっていない
  • どこまで行けばOKなのか決まっていない

これでは、疲れない方がおかしいのです。

社長を疲れさせる「3つの思い込み」

多くの社長が、無意識に次の思い込みを持っています。

思い込み①「社長が決めた方が正しい」

確かに、経験もあります。
全体も見えています。

ただし、
正しいかどうか
自分が毎回決めるべきかどうかは別問題です。

思い込み②「任せる=責任放棄」

これもよく聞きます。

でも実際は、
基準を決めずに任せることこそが放置です。

任せるとは、
「考えなくていい状態を作ること」
ではありません。
「同じ判断が再現される状態を作ること」です。

思い込み③「今は仕組みを作る余裕がない」

忙しい時ほど、そう思います。

ですが皮肉なことに、
仕組みがないから忙しいのです。

決断疲れしている社長ほど、優秀で真面目

ここで強調しておきたいことがあります。

決断疲れしている社長ほど、

  • 責任感が強い
  • 真面目
  • 会社を何とかしたいと思っている

だからこそ、
「自分がやらなきゃ」
「ここは自分が決めないと」
と、判断を抱え込んでしまいます。

でも、その姿勢が結果的に、

  • 社長しか判断できない会社
  • 社長がいないと止まる組織
  • 社長が一番疲れている状態

を作ってしまうのです。

「決めない社長」になる準備をしよう

ここまで読んで、
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
と思った方も多いでしょう。

安心してください。
答えは、“もっと頑張る”ことではありません。

必要なのは、
👉 決め方を変えること
👉 決める範囲を決めること

つまり、

「何を決めるか」を決める

という、一段上の意思決定です。

このシリーズでは、
社長が毎日消耗する判断から解放され、
“決めることだけに集中できる状態”
どう作っていくのか
を、順を追って解説していきます。

次回は、その第一歩。

次回予告

「決めることを決める」だけで、仕事は半分になる
― 社長が手放していい判断・いけない判断の境界線 ―

今日の一言

社長が疲れている理由は、決断が多いからではない。
「何を、どこまで決めるか」が決まっていないからだ。


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