
― 努力が報われない本当の理由 ―
「こんなに頑張っているのに、なぜ楽にならないのか?」
売上はそこそこある。
仕事の依頼も途切れていない。
社員も(自分も)毎日よく動いている。
それなのに、
・利益は思ったほど残らない
・社長はずっと忙しい
・将来の見通しが立たない
こうした状態に、心当たりはないでしょうか。
実はこの悩みを抱えている会社ほど、共通して口にする言葉があります。
それが、
「うちはまだまだ努力が足りない」
という言葉です。
ですが、最初にお伝えしておきます。
この状態の原因は、努力不足ではありません。
むしろ逆です。
「頑張っている会社」だからこそ、構造転換が必要になる
――今日は、その理由をじっくりお話しします。
頑張りが成果につながらない会社の“あるある構造”
まずは、よくあるケースを見てみましょう。
ケース:忙しいのに儲からない会社
あるサービス業の社長の話です。
- 売上は年々少しずつ伸びている
- 仕事の幅も広がっている
- 「何でもやります」が売り
- クレームも少なく、お客さんの評判も悪くない
それでも、
・月末の資金繰りがいつも気になる
・値上げの話は怖くてできない
・社長が現場を離れると回らない
社長本人はこう言っていました。
「もう少し売上が伸びれば、きっと楽になると思うんです」
しかし、数字を整理してみると分かってきたのは、
売上が伸びても、楽にはならない構造
になっていた、という事実でした。
問題は「やり方」ではなく「構造」にある
ここで一度、立ち止まって考えてみてください。
- 営業が下手だから儲からない?
- スキルが足りないから単価が低い?
- 社員が育っていないから忙しい?
もちろん、それらが全く関係ないとは言いません。
ですが、多くの場合、それらは表面的な理由に過ぎません。
本当の問題は、もっと根っこにあります。
それが、
「事業の構造そのもの」です。
どんなお客さんに
どんな価値を
どんな形で提供し
どんなお金の取り方をして
どんな仕事の流れで回しているのか
この組み合わせ全体を、ここでは事業構造と呼びます。
そして恐ろしいのは、
構造がズレていると、どれだけ頑張っても苦しくなる
という点です。
「努力すれば何とかなる構造」には限界がある
創業期や事業立ち上げ期は、
正直、気合と根性で何とかなる場面も多いです。
- 社長が現場に出る
- 無理な依頼も引き受ける
- 採算が合わなくても経験としてやる
このフェーズでは、
「とにかく動くこと」
「断らないこと」
が正解になることもあります。
ですが、あるラインを超えると、状況は一変します。
仕事量が増え、
お客さんのタイプが広がり、
社員も増え、
固定費も重くなる。
この段階で、創業期と同じ構造のまま走り続けるとどうなるか。
頑張れば頑張るほど、苦しくなる。
これが、多くの中小企業がぶつかる“見えない壁”です。
なぜ「真面目な社長」ほどハマりやすいのか
ここで重要なポイントがあります。
この状態に陥りやすいのは、
怠けている社長ではありません。
むしろ、
- お客さん思い
- 責任感が強い
- 約束を守る
- 頼まれると断れない
こうした「真面目で良い社長」ほど、ハマりやすいのです。
なぜなら、
構造の問題を、努力でカバーし続けてしまうから。
本来なら、
「この仕事は割に合わない」
「このお客さん層は厳しい」
と構造を見直すべき場面でも、
「自分がもっと頑張れば…」
「工夫すれば何とかなるはず…」
と、自分に負荷をかけてしまう。
結果として、
会社も社長も、疲弊していきます。
事業構造転換とは「全部変えること」ではない
ここで誤解してほしくないことがあります。
事業構造転換=大胆な方向転換
ではありません。
- 今の事業を全部捨てる
- まったく別業種に行く
- 大きな投資をする
こうした話ではないのです。
事業構造転換とは、もっと現実的で地に足のついたものです。
- 戦う市場を決め直す
- やること・やらないことを分ける
- お金の取り方を整理する
- 忙しさの原因を構造で解消する
「頑張り方」を変えるのではなく、
「頑張らなくても回る形」を設計し直す。
これが、構造転換の本質です。
構造が変わると、同じ努力でも結果が変わる
もう一度、先ほどの会社の話に戻ります。
その会社が行ったのは、
- お客さんの層を3つに分ける
- 利益が出にくい層の仕事は減らす
- 一番価値を出せるサービスに集中する
- 単価ではなく「役割」で価格を決め直す
結果として、
- 売上はほぼ横ばい
- しかし、利益は大きく改善
- 社長の現場稼働は減少
「頑張る量」は減ったのに、
残るものは増えたのです。
これは才能の話ではありません。
構造の話です。
このシリーズで扱う「事業構造転換」の全体像
ここから始まるこのシリーズでは、
事業構造転換を、以下のステップで疑似体験してもらいます。
- 戦える市場を決める
- 提供価値を言語化し直す
- 収益の仕組みを組み替える
- 業務の流れを整理する
- 数字で構造を検証する
- 実行に落とし込む
どれも、
「特別な会社」だけの話ではありません。
今まさに、
「忙しいのに楽にならない」
「このままで良いのか不安」
そう感じている社長にこそ、読んでほしい内容です。
まずは「自分を責める」のをやめよう
最後に、今日いちばん伝えたいことをお話しします。
もしあなたが今、
「もっと頑張らなきゃ」
「自分のやり方が悪いんだ」
と思っているとしたら。
まずは、その考えを一度脇に置いてください。
苦しいのは、
あなたの努力が足りないからではありません。
構造が、今のフェーズに合っていないだけ
かもしれないのです。
今日の一言
努力が報われないとき、
見直すべきは自分ではなく“構造”である。
次回は、
「戦える市場をどうやって決め直すのか」
を、具体的な視点とワークを交えながら掘り下げていきます。
