
――頑張らないと儲からない会社は、設計が間違っている・第10回――
「同じ会社なのに、急に楽になった」
社長から、こんな言葉を聞くことがあります。
「売上は急に伸びたわけじゃないんです」
「人も増えていません」
「でも、経営のしんどさが全然違うんです」
魔法のように聞こえるかもしれませんが、
これは珍しい話ではありません。
経営が変わる瞬間は、意外と静か
多くの人は、
経営が変わる瞬間をこう想像します。
- 大ヒット商品が出た
- 売上が倍になった
- メディアに取り上げられた
でも、実際は違います。
本当に多いのは、こんな変化
- 同じ売上なのに、手元にお金が残る
- 会議が減る
- 社長の出動回数が減る
つまり、
「数字」より先に、
「感覚」が変わる
その正体は「ビジネスモデルの転換」
経営が楽になった会社に共通するのは、
これです。
頑張り方を変えたのではなく、
儲かり方を変えた
ケーススタディ①:忙しいのに赤字だった会社
あるBtoBサービス会社。
- 案件は常に満杯
- 社長も社員もフル稼働
- 売上はそこそこ
それなのに、
- 利益が薄い
- 資金繰りが苦しい
見直したのは「価格」ではなかった
この会社が変えたのは、
- 商品数
- 業務フロー
- 契約形態
Before
- 単発受注
- 個別対応
- 毎回ゼロから設計
After
- 定額契約
- メニュー化
- 業務を標準化
起きた変化
- 売上は微増
- 利益率は倍
- 社長の残業が激減
モデルが変わると「判断基準」が変わる
ビジネスモデルを変えると、
まず変わるのはここです。
「やる/やらない」の判断が
迷わなくなる
なぜか?
モデルが明確になると、
- 儲かる仕事
- 儲からない仕事
が、最初から分かるからです。
ケーススタディ②:「全部やります」をやめた会社
ある制作会社。
以前は、
- 小さな案件も
- 無理な納期も
- 値引き交渉も
すべて受けていました。
モデル転換後
- 特定業種に特化
- 最低受注金額を設定
- 制作+保守のセット販売
社長の一言
「断るのが怖くなくなりました」
断れるようになると、経営は一気に楽になる
これは本当に大きな変化です。
- 合わない仕事を断れる
- 合わない顧客と距離を取れる
- 無理な要求に振り回されない
モデル転換は「勇気」ではなく「設計」
ここで誤解されがちなのですが、
モデルを変える=大改革
ではありません。
多くの場合は…
- 組み合わせを変える
- 流れを整理する
- 儲からない部分を切り離す
だけです。
ケーススタディ③:価格を上げずに利益が出た理由
ある小売系ビジネス。
- 値上げはしていない
- 客数も横ばい
それでも利益は増えました。
何を変えたか?
- 売れ筋だけに集中
- 回転率を重視
- 在庫構造を見直し
結果
- 廃棄ロス減少
- キャッシュ改善
- 精神的負担も軽減
モデル転換の本当の効果は「時間」に出る
数字以上に大きいのが、
社長の時間が増えること
よくある変化
- 現場に出なくて済む
- 考える時間が取れる
- 先の話ができる
「経営者に戻れた感じがする」
モデル転換後、
多くの社長がこう言います。
「作業者じゃなく、
経営者に戻れた感じがします」
なぜモデルを変えると、こうなるのか
理由はシンプルです。
無理を前提にしていた構造を、
無理がいらない構造に変えたから
頑張りが必要なモデルは、長く続かない
- 体力
- 気力
- 人の善意
に依存したモデルは、
どこかで必ず限界が来る
管理会計は「モデル転換の羅針盤」
モデル転換を成功させた会社は、
共通してこうしています。
- 利益構造を分解
- 部分ごとに数字を見る
- 感覚でなく、構造で判断
だから
- どこを変えるべきか分かる
- 全部を変えずに済む
「変えた瞬間」に起きる、小さなサイン
モデル転換がうまくいくと、
こんなサインが出ます。
- 月末の不安が減る
- 数字を見るのが怖くなくなる
- 社員との会話が前向きになる
経営が変わるのは、劇的な成功の時ではない
多くの社長は、
ここで気づきます。
「ああ、
今までが無理な設計だったんだな」
まとめ:モデルを変えるとは、楽をすることではない
最後に、はっきり言います。
- モデルを変える
- 設計を見直す
これは、
逃げでも、手抜きでもない
むしろ
長く続く経営を選ぶ、
ちゃんとした決断
です。
会社を救うのは、
努力の追加ではありません。
設計の変更です。
今日の一言
経営が変わる瞬間は、
頑張り始めた時ではない。
頑張らなくても回る設計に
切り替えた時だ。
