
――頑張らないと儲からない会社は、設計が間違っている・第12回――
「よし、ビジネスモデルを変えよう」と思った瞬間が一番危ない
ここまで読み進めてきた社長ほど、
こんな気持ちになっているかもしれません。
- 今のモデル、やっぱり無理がある
- このまま頑張り続けるのはしんどい
- よし、思い切って変えよう
この“決意”自体は、とても素晴らしいです。
ですが実は――
この瞬間こそ、
失敗が起きやすいタイミング
でもあります。
なぜ「一気に変える」と失敗しやすいのか
社長がビジネスモデルを見直すとき、
よくあるのがこんな動きです。
- 商品を全部入れ替える
- 価格を大きく変える
- ターゲットを一気に変える
- 業務フローも同時に変える
いわば、フルモデルチェンジ。
理由はシンプル
会社は、
そんなに急には方向転換できない
からです。
ケーススタディ①:一気に変えて、現場が止まった会社
ある小規模サービス業。
- 忙しいが利益が薄い
- 社長が危機感を持ち、モデル改革を決断
やったことは、
- 価格改定
- 商品メニュー刷新
- 契約条件変更
- 業務ルール変更
すべてを、同時に。
結果どうなったか
- 現場が混乱
- 説明が追いつかない
- 既存顧客が不安になる
- 社長自身も把握できない
社長の一言
「正しい方向だと思ったのに、
会社がバラバラになった…」
ビジネスモデルは「生き物」に近い
ビジネスモデルは、
- 図で描くと整然
- 頭の中では論理的
ですが、実際の会社では、
- 人が動き
- 感情があり
- 習慣があり
- クセがあります
だから、
急に変えると拒否反応が出る
これは自然なことです。
モデル改善がうまくいく会社の共通点
うまくいっている会社ほど、
実はこんな進め方をしています。
- 少しずつ
- 試しながら
- 数字で確認しながら
共通している考え方
「実験」だと思っている
改善は「改革」ではなく「調整」
ここがとても大事な視点です。
多くの社長は、
- ビジネスモデル改善=改革
- 今までを壊すこと
と考えがちですが、
実際はこう
モデル改善=
儲かる方向に、少しずつズラすこと
一気にやらない方がいい理由①:原因が分からなくなる
一度にたくさん変えると、
- 何が良かったのか
- 何が悪かったのか
が、分からなくなります。
数字で検証できない
- 売上が上がった
→ 価格?商品?客層? - 利益が下がった
→ コスト?業務?人?
これでは、改善ではなく賭け
になってしまいます。
一気にやらない方がいい理由②:社内がついてこない
社長の頭の中では、
- 理屈は通っている
- ゴールも見えている
でも現場は、
- 急に変わった
- 理由が分からない
- 不安が先に立つ
モデル改善が失敗する典型パターン
社長だけが前を向き、
現場は立ち止まっている
うまくいく改善は「一箇所だけ変える」
では、どう進めるのがいいのか。
答えはシンプルです。
一度に変えるのは、
ひとつだけ
変えやすいポイント①:価格
一番分かりやすいのが価格です。
- 新規だけ値上げ
- オプションだけ調整
- 手間のかかる仕事だけ別料金
ケーススタディ②:価格を一部だけ変えた会社
ある制作会社。
- 全体の値上げは怖い
- でも利益が出ない
そこで、
- 特殊対応だけ別料金
- 修正回数に上限
結果
- 売上はほぼ変わらず
- 利益が明確に改善
変えやすいポイント②:やらない仕事を決める
モデル改善で最も効果が高いのが、
「やらない」を決めること
具体例
- 採算が合わない客
- 手間がかかりすぎる業務
- 社長しかできない作業
数字で見てからやめる
感情ではなく、
- 利益
- 時間
- 負荷
で判断するのがコツです。
変えやすいポイント③:一部の顧客だけ試す
いきなり全社導入はしません。
- 新規顧客だけ
- 特定の業種だけ
- 一部のエリアだけ
小さく試して、
うまくいったら広げる
改善の基本ステップ
モデル改善は、
この流れを意識してください。
- 数字で現状を確認
- 一箇所だけ仮説を立てる
- 小さく変える
- 数字で結果を見る
- 判断する
ケーススタディ③:ゆっくり変えて、強くなった会社
ある小売業。
- 利益が出にくい構造
- でも急な変更は怖い
やったことは、
- まず粗利の低い商品を減らす
- 次に仕入れ条件を調整
- 最後に価格を見直す
結果
- 売上はほぼ横ばい
- 利益率は大幅改善
- 現場の負担も減少
社長の言葉
「一気にやらなかったから、
ちゃんと腹落ちした」
モデル改善は「経営のリズム」を整える作業
モデルを変えるというのは、
- 無理をなくす
- 詰まりを取る
- 流れを良くする
ことに近いです。
頑張らなくても回る会社は、こうして作られる
- 小さな改善を積み重ね
- 数字で確認し
- 合わないものを外す
気づいたら、
頑張らなくても利益が残る
これが、
正しい設計の結果です。
ビジネスモデル改善で一番大切なこと
それは、
「急がない勇気」
- 焦らない
- 派手に変えない
- 数字を見ながら進む
一気に変えなくていい。
正しい方向に、
一歩ずつ動けばいい。
それができる社長の会社は、
必ず、楽になります。
このシリーズの締めとして
ここまで12回にわたってお伝えしてきたのは、
たったひとつのことです。
頑張らないと儲からないのは、
あなたが悪いのではない。
設計が合っていないだけだ。
今日の一言
ビジネスモデルは、
壊して作り直すものではない。
少しずつ整えていくものだ。
