④会計データだけでは、経営判断はできない


――なぜあなたの会社は、数字が揃わないのか・第4回――

会計データだけ見て安心していませんか?

社長の皆さん、月次決算書や試算表を見て「これで経営は分かっている」と思っていませんか?

もちろん、会計データは経営管理において重要です。しかし、会計データだけで経営判断をすると、実は見落としが多くなるのです。

なぜなら、会計は「過去の事実」を記録することが目的であり、未来の意思決定に必要な情報のすべてを網羅しているわけではないからです。


会計データは過去の姿を映す鏡

会計データの基本は、「売上」「原価」「利益」「資産・負債」などの記録です。

  • 月次決算や試算表:1か月ごとの損益
  • 貸借対照表:ある時点の資産・負債

これらは事実として重要ですが、次のような制約があります。

  1. 過去の数字しか分からない
  2. 事業活動の細かい動きは見えない
  3. 意思決定のタイミングには間に合わないことがある

ケーススタディ:小売店の例

ある地方の小売店では、毎月の試算表を見て、売上や利益を把握していました。しかし、月末に作成された試算表では「どの商品が今週売れているのか」「在庫が不足している商品は何か」は分かりません。

結果、社長は「今すぐ仕入れ量を調整する」などの迅速な意思決定ができず、機会損失が発生しました。


会計データだけで意思決定すると陥る罠

会計データだけを頼りにすると、次のような判断ミスが起こりやすくなります。

  1. 在庫過多・欠品の発見が遅れる
    • 販売データや入荷情報が会計には反映されるのが遅い
  2. 利益率の低い商品に気付かない
    • 会計では全体利益しか分からず、商品別の粗利は見えにくい
  3. 顧客の動向や市場変化を見逃す
    • 会計は「お金の動き」だけで顧客の行動までは分からない

ケーススタディ:サービス業の罠

あるサービス業では、月次の会計データでは黒字でした。しかし、週次で見てみると、一部のサービスは赤字続きで、顧客離れも進行中でした。会計だけではこの兆候に気付かず、社長は黒字だから大丈夫と判断してしまいました。

ポイント
会計データは正しいですが、判断に必要な「今の状態」や「未来の動き」は補えません。


意思決定に必要な「非会計データ」とは?

経営判断を速く正確にするには、会計データに加えて次の情報が必要です。

  1. 売上・受注状況
    • 商品別、顧客別、地域別
  2. 在庫・仕入れ状況
    • 現場在庫、納期、発注残
  3. 顧客動向・行動データ
    • 来店頻度、問い合わせ件数、Web行動
  4. 業務効率・作業状況
    • スタッフの稼働状況、工程進捗

ケーススタディ:製造業のデータ活用

ある中小製造業では、会計データに加えて次のデータを毎日収集しました。

  • 工程ごとの生産数
  • 不良品発生率
  • 材料消費量

これにより、社長は毎日の生産計画を改善でき、月次決算より前にコスト削減や納期調整の判断が可能になりました。


会計データと現場データを組み合わせる

会計データは「過去」を、現場データは「今」を映します。この両方を組み合わせると、経営判断は圧倒的に正確かつ迅速になります。

ケーススタディ:小売業の例

  • 会計データ:月次利益100万円
  • 売上データ:週次で商品別売上を確認
  • 在庫データ:棚ごとの残数

この3つを組み合わせることで、社長は「利益が出ているけど在庫が切れそうな商品」を事前に把握し、即座に追加発注できました。
結果、機会損失はゼロ、利益も安定しました。


社長視点でのデータの使い分け

  • 会計データ:過去の成果を確認、全体の資金状況を把握
  • 現場データ・非会計データ:即座の判断、未来の行動計画に活用

これを明確に分けることで、数字に振り回されることなく、経営判断がスピーディーになります。


今日からできる実践アクション

  1. 会計データだけで判断していないか確認
  2. 毎日/週次で現場データを収集
    • 売上、受注、在庫、顧客動向など
  3. 会計データと現場データを組み合わせて判断
    • 過去と現在を両方見ることで未来を予測

ケーススタディ:サービス業の改善

あるサービス業では、会計データに加え、予約状況やキャンセル率などを週次で集計。

  • 判断スピード:月次 → 週次
  • 顧客満足度:前月比10%向上
  • 利益改善:低利益サービスの削減でコスト10%削減

会計データだけでは見えなかった問題が明らかになり、迅速な意思決定が可能になりました。


今日の一言

会計データだけでは経営判断はできない。
過去の数字と現場のリアルタイムデータを組み合わせ、
今と未来の判断材料として活用することが経営の本質。


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