
――その判断、数字で言えますか?・第1回――
「値上げしたいけど、怖い」
これは、
ほぼすべての社長が一度は抱える悩みです。
- お客さんが離れたらどうしよう
- クレームが来たら嫌だ
- 競合より高くなるのが不安
頭では分かっています。
「このままじゃ、しんどい」
それでも、
最後の一歩が踏み出せない。
なぜでしょうか。
値上げが怖い本当の理由
多くの社長はこう言います。
「勇気がなくて…」
でも、
本当の理由は別にあります。
数字で説明できないから、怖い
これが正体です。
- いくら上げればいいのか
- どこまでなら耐えられるのか
- 売上が落ちたらどうなるのか
これが分からないまま決めるから、
「度胸試し」になるのです。
値上げは「感情の問題」ではない
はっきり言います。
値上げは、感情の問題ではありません
- 強気か弱気か
- 社長の性格
ではなく、
構造の問題
です。
構造とは、
- 限界利益
- 固定費
- 損益分岐点
これらの組み合わせです。
ケーススタディ①:忙しいのに、なぜか苦しい会社
あるサービス業の会社。
- 客数は増えている
- スタッフも忙しい
- 売上も伸びている
それなのに、
社長は疲れ切っていました。
理由を数字で見てみると、
- 単価:低い
- 限界利益:薄い
- 固定費:そこそこ重い
つまり、
忙しさの割に、利益が残らない構造
だったのです。
この状態で必要なのは、
- 集客?
- 努力?
ではありません。
値上げです。
値上げ=お客さんが減る、は本当か?
ここで、
多くの社長が思い込んでいる前提。
「値上げしたら、お客さんは減る」
これは、
半分正解で、半分間違いです。
正しくはこうです。
値上げすると、客数は多少減るかもしれない
でも、利益は増える場合が多い
なぜか。
値上げは「限界利益」を一気に変える
限界利益を思い出してください。
売上 − 変動費 = 限界利益
値上げは、
- 売上を増やす
- 変動費はほぼ変わらない
つまり、
上げた分、ほぼそのまま限界利益が増える
という、
非常に効率のいい打ち手です。
ケーススタディ②:値上げで「楽になった」社長
ある小売業の会社。
- 商品単価を10%値上げ
- 客数は5%減少
一見、
マイナスに見えます。
でも、
- 売上はほぼ横ばい
- 限界利益は大幅増
- 残業が減った
- クレームも意外と少ない
社長は、こう言いました。
「もっと早くやればよかった」
値上げ判断で見るべき数字は3つだけ
値上げを考えるとき、
社長が見る数字は3つだけです。
① 現在の限界利益
② 固定費
③ 損益分岐点
これだけ分かれば、
- 値上げ幅
- 客数減少の許容範囲
を事前にシミュレーションできます。
「どれくらい下がっても大丈夫か?」を知る
値上げの判断で重要なのは、
売上がどれくらい下がっても、
まだ損益分岐点を超えられるか
です。
例えば、
- 今の売上:500万円
- 損益分岐点:400万円
余白は、100万円。
この余白が、
- 客数減
- 一時的な反発
を吸収してくれます。
値上げは「試していい判断」
ここも、
多くの社長が誤解しています。
値上げは、一度決めたら戻せない
そんなことはありません。
- 一部の商品だけ
- 新規客から
- 期間限定で
小さく試すことができます。
数字を見ていれば、
- どこで止めるか
- どこまで行けるか
も分かります。
値上げをすると「お客さんの質」が変わる
値上げの副産物として、
よく起きることがあります。
それは、
お客さんの質が変わる
- 値段だけで選ぶ人が減る
- 価値を見てくれる人が残る
結果として、
- クレームが減る
- 現場が楽になる
数字だけでなく、
経営の空気が変わります。
値上げを避け続ける経営の末路
値上げを避け続けると、
どうなるか。
- 量でカバーする
- 無理な仕事を取る
- 社長が疲弊する
そして最後は、
「もう限界です」
値上げは、
最後の手段ではありません。
早くやるほど、
優しい判断です。
数字があれば、値上げは怖くない
値上げが怖いのは、
- 結果が読めないから
です。
でも、
- 限界利益
- 損益分岐点
が分かっていれば、
値上げは「賭け」ではなく「計算」
になります。
今日の一言
値上げは勇気ではない。
限界利益と損益分岐点を見て、
「いくらなら耐えられるか」を
数字で決める、ただの経営判断である。
