
――管理会計のためのデータ取得・入力設計・第2回――
「数字の食い違い」で社内が混乱
中小企業でよくある光景です。
- 「売上の数字が営業と経理で違う」
- 「原価計算の仕方が人によって違う」
- 「在庫の数え方で現場と管理部が揉める」
社長としては、ただ「数字を見て判断したいだけ」なのに、社内で数字の扱い方が統一されていないと、結局判断ができなくなります。
原因は単純です。入力ルールを決めていないから、数字が揃わないのです。
入力ルールがないと、数字は信用できない
例えば、売上の入力一つとっても、担当者によって次のように差が出ます。
- 注文時に入力する人
- 納品後に入力する人
- 入金確認後に入力する人
同じ売上でもタイミングが違うだけで、試算表に表示される数字が変わります。
原価も同様です。
- 材料費は実際の購入単価で入力
- または標準単価で入力
- または概算で入力
入力方法が統一されていないと、数字にブレが生じ、誰も信用できなくなるのです。
ケーススタディ:小売業の実例
ある小規模小売店では、POSシステムに売上を入力するルールが曖昧でした。
- 店舗Aでは、売上を現金・クレジットに分けて記録
- 店舗Bでは、全て合算して記録
月末の集計時、経理は数字が合わず、社長が「どちらを信じればいいのか」と困惑。
結局、数字の信用が失われ、意思決定が遅れる結果になりました。
入力ルールを決めるメリット
入力ルールを定めると、社内の数字トラブルは劇的に減ります。メリットは次の通りです。
- 数字が揃う
- 営業も経理も現場も、同じ方法で入力する
- 意思決定が速くなる
- 数字の信頼性が上がるため、確認作業が減る
- 現場のストレスが減る
- 「どの数字を信じるか」で揉めることがなくなる
ケーススタディ:製造業の改善例
ある製造業では、原材料の在庫入力方法が担当者ごとに異なり、月末に数字が合いませんでした。
改善策:
- 入庫時は実際の購入数量で入力
- 出庫時は出庫数量で入力
- 毎週末に在庫を棚卸しし、差異を調整
結果、月末には数字がピッタリ合い、社長はすぐに利益状況を判断できるようになりました。
入力ルールの決め方
入力ルールは複雑に考える必要はありません。次のステップで決めます。
ステップ1:対象データを明確にする
- 売上、原価、在庫、経費、作業進捗など、管理会計に必要なデータだけを対象にします。
ステップ2:入力のタイミングを統一する
- 売上:納品時に入力
- 原価:仕入れ発生時に入力
- 在庫:入庫・出庫時に入力
ステップ3:入力方法を明文化する
- 単価は標準単価か実際単価か
- 数量の単位は「個」「箱」「kg」など統一
- 入力フォーマットをExcelやクラウドに統一
ケーススタディ:サービス業の改善例
- 以前:予約、売上、キャンセル、スタッフ稼働…入力方法がバラバラ
- 改善後: データ項目入力タイミング入力単位予約件数予約確定時件売上入金時円スタッフ稼働勤務終了時時間
- 結果、数字が揃い、月次レポート作成時間が半分になり、意思決定も即日可能になった。
ルールを守らせる仕組み
ルールを決めても、守られなければ意味がありません。
- 入力担当を明確にする
- 誰がどのデータを入力するかを決める
- 簡単に入力できる仕組みを作る
- Excelやクラウドで入力フォームを統一
- 定期的にチェックする
- 数字のズレを週次で確認
ケーススタディ:小規模製造業
- ルールを決めたが守られない問題
- 改善策:
- 入力担当者を固定
- 入力チェックリストを作成
- 結果、数字のブレはゼロになり、社長は即判断可能になった。
今日からできる実践アクション
- 今、社内で数字が合わない原因を洗い出す
- 重要な数字に対して入力ルールを明文化
- 入力担当者を決め、守らせる仕組みを作る
- 定期的に数字をチェックし、ルールを見直す
今日の一言
入力ルールがない会社は、数字で必ず揉める。
ルールを決め、統一して守らせることで、数字は信頼できる武器になる。
