②利益が出ていれば安心、は大間違い


――売上・利益・お金は、まったくの別物・第2回――

「黒字ですよ」と言われた瞬間、社長はホッとする

決算や月次報告の場で、
税理士や経理担当からこう言われた瞬間。

「今期は黒字です」
「ちゃんと利益、出てますよ」

多くの社長は、ここで一度ホッとします。

・赤字じゃない
・潰れる心配はなさそう
・最低限はクリアした

そんな安心感です。

でも実はこの瞬間、
次の落とし穴に片足を突っ込んでいる
ことがとても多いのです。


利益が出ているのに、不安が消えない理由

不思議なことに、こう続く社長が少なくありません。

「利益は出てるって言われたんですが…」
「正直、安心できないんですよね」

・通帳残高は増えていない
・支払いはいつもギリギリ
・将来の話になると急に不安

この違和感、
あなたにも覚えがあるのではないでしょうか。


利益=安心、という思い込み

多くの社長が、無意識にこう考えています。

利益が出ている

経営はうまくいっている

安心していい

でも、ここが大きな誤解です。

なぜなら、
利益は「結果の数字」であって、「安全の数字」ではない
からです。


利益とは「計算された数字」

まず、冷静に整理しましょう。

利益とは何か?

それは、

売上 − 費用 = 利益

という、計算結果です。

ここで重要なのは、

・利益は現金とは限らない
・実際にお金があるかどうかは別
・未来を保証してくれる数字でもない

という点です。


ケース①:黒字なのに、毎月資金繰りに追われる会社

ある建設系の会社の話です。

・決算書は黒字
・利益率も悪くない
・税金もちゃんと払っている

でも社長は、毎月こう感じていました。

「月末が近づくと、胃が痛い」

理由を分解してみると、

✔ 売上の回収が遅い
✔ 外注費・材料費の支払いが先
✔ 借入返済が毎月重い

利益は出ている。
でも、お金が足りないタイミングが必ず来る

これが、
「利益が出ていれば安心」の危うさです。


利益は「後から見える数字」

ここで大事な視点を一つ。

利益は、過去の数字です。

・すでに終わった取引
・すでに発生した費用
・すでに締めた結果

つまり、

利益が出ている

「過去は、うまくやれた」

という意味でしかありません。


未来の安心とは、別物

社長が本当に欲しいのは、
「過去の評価」ではありません。

欲しいのは、

・来月も払えるか
・半年後も回るか
・判断を間違えても耐えられるか

こうした未来の安心です。

しかし、利益は
その答えをほとんど教えてくれません。


利益が出ているのに倒産する理由

いわゆる「黒字倒産」。

これも特別な話ではありません。

原因はシンプルです。

✔ 利益はある
✔ でもキャッシュが足りない
✔ 支払いのタイミングに耐えられない

利益は紙の上にある。
お金は口座にない。

このズレが、
会社を一気に追い込みます。


ケース②:利益率は高いのに、社長は眠れない

別の会社の例です。

・利益率は業界平均以上
・決算書もきれい
・税理士からの評価も高い

それでも社長は言います。

「何かあったら、一気に詰む気がする」

理由は、

✔ 固定費が高い
✔ 借入返済が重い
✔ 余剰キャッシュが薄い

つまり、

利益は出ているが、
“余白”がない経営

利益だけを見ていると、
この危険には気づけません。


利益は「守ってくれない」

ここで、少し厳しい言い方をします。

利益は、会社を守ってくれません。

・利益があっても
・黒字でも
・決算書がきれいでも

支払えなければ終わりです。

守ってくれるのは、

・手元資金
・キャッシュの流れ
・余裕のある構造

こちらです。


「利益が出ているから大丈夫」が判断を鈍らせる

もう一つ、厄介な点があります。

利益が出ていると、

・値上げを先送りする
・無理な仕事を引き受ける
・固定費増加を軽く見る

こうした判断が起きやすくなります。

なぜなら、

「利益、出てるし」

という甘い安心感があるからです。


管理会計が問い直すこと

管理会計は、こう問いかけます。

「その利益、
会社を本当に楽にしていますか?」

・残っていますか?
・選択肢を増やしていますか?
・社長を冷静にしていますか?

YESと答えられない利益は、
安心材料ではありません。


利益を見るな、とは言っていない

誤解しないでください。

・利益は大事です
・黒字は前提です

ただし、

利益“だけ”を見て安心するな

これが、今日のメッセージです。


安心の正体は「お金の余白」

社長が本当に安心できるのは、

・今月売上が落ちても耐えられる
・判断を間違えても立て直せる
・未来の打ち手を考えられる

この状態です。

そして、それを作るのは
利益ではなく、お金の余白です。


今日の一言

利益は「結果の点数」。
でも、社長を守るのは
“明日も回る”という確信だけ。


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