②利益が出ない会社で、最初に起きている数字のズレ


売上はあるのに、なぜかお金が残らない

「売上はそれなりにあるんですけどね……」
経営者の方とお話ししていると、かなりの確率でこの言葉を聞きます。

実際、売上は前年より伸びている。
仕事も忙しい。
社員も頑張っている。

それなのに、
・通帳の残高を見ると不安になる
・設備投資や採用に踏み切れない
・気づけば資金繰りの話ばかりしている

こうした状態に陥っている会社は、決して少なくありません。

このとき多くの社長は、
「もっと売上を伸ばさないと」
「単価を上げるしかないのか」
と考え始めます。

ですが実は、この時点ですでに
“最初の数字のズレ”が起きているケースがほとんどです。

多くの会社で起きている「最初のズレ」とは何か

結論から言うと、
利益が出ない会社の多くは、

最初に見る数字を、最初から間違えている

という共通点があります。

努力不足でも、能力不足でもありません。
数字が読めないわけでもない。

ただ、
「どの数字から見るべきか」
を誰にも教わっていないだけなのです。

ここから先は、
・なぜ売上から見てしまうのか
・何が分からないまま経営が回ってしまうのか
・そのズレがどう意思決定を歪めるのか

を順番に整理していきます。

売上から見てしまう数字の罠

― それは「一番分かりやすい数字」だから ―

■ 売上は結果である

売上は、とても分かりやすい数字です。
毎月必ず出るし、増えればうれしい。
下がれば危機感も持てます。

だから多くの社長は、
試算表を開いた瞬間、まず売上を見ます。

ですがここで一つ、大事な前提があります。

売上は「原因」ではなく「結果」です。

売上が増えた・減ったのは、
その前に必ず何かの原因があります。

にもかかわらず、売上だけを見ていると、
「なぜそうなったのか」が見えなくなります。

■ 原因を見失う典型パターン(ケース)

ある小規模サービス業の会社の例です。

  • 売上:前年比110%
  • 社長の感覚:「調子は悪くない」

ところが、
手元のお金はなぜか減っていく。

社長は言いました。
「売上は伸びているんですけど、なぜか苦しいんですよね」

実際に話を聞いてみると、

  • 低単価案件が増えていた
  • 忙しさに比例して外注費も増えていた
  • 固定費がじわじわ膨らんでいた

つまり、
売上は伸びていたが、利益構造は悪化していたのです。

売上から見ている限り、
この変化にはなかなか気づけません。

原価・固定費が「よく分からない」状態

― 分からなくても回ってしまう怖さ ―

■ 「分からないけど回っている」会社は多い

中小企業では、

  • 原価はだいたいこれくらい
  • 固定費は毎月これくらい

と、“だいたい”で把握している会社が非常に多いです。

それでも会社は回ります。
給料も払えるし、取引も続く。

だからこそ、
「正確に分からなくても困らない」
という錯覚が生まれます。

■ 数字がぼやける構造

原価や固定費が曖昧な状態では、

  • どの仕事が儲かっているのか
  • どこで利益が削られているのか

が見えません。

その結果、

  • 忙しい仕事ほど利益が薄い
  • 楽な仕事の方が実は儲かっている

といった逆転現象が起きていても、気づけないのです。

数字がぼやけたまま経営していると、
社長は「頑張り方」を間違えます。

黒字なのに苦しい理由を分解しないで説明してみる

■ 利益とキャッシュは、感覚がまったく違う

ここでよく出てくるのが、
「黒字なのに苦しい」という状態です。

会計的には利益が出ている。
でもお金が残らない。

これは専門的に言えば
利益とキャッシュの違いですが、
難しく考える必要はありません。

感覚的には、

  • 利益:成績表
  • キャッシュ:体力

のようなものです。

成績が良くても、体力がなければ動けない。
これが「黒字なのに苦しい」の正体です。

■ 社長が最初に押さえるべき視点

ここで重要なのは、
細かく分解して分析することではありません。

社長が最初に持つべき問いは、たった一つです。

「この事業は、お金が残る構造になっているか?」

この問いを持たずに、

  • 売上を追う
  • 節約をする
  • 現場を締め付ける

と、ズレた対策を重ねてしまいます。

数字のズレが意思決定を歪める

― 間違った前提で判断していないか ―

■ 間違った前提での判断例

数字のズレがあるまま意思決定をすると、
判断そのものが歪みます。

例えば、

  • 本当は利益が出にくい商品を「主力」と思い込む
  • 儲かっていない事業に人を増やす
  • 忙しい現場にさらに負荷をかける

どれも、
「数字の前提」がズレているだけで起きる判断です。

■ 現場に無理が出る瞬間

こうした判断が続くと、
最終的に無理をするのは現場です。

  • 値下げ
  • 無理な納期
  • 人手不足

そして社長はこう思います。
「みんな、もう少し頑張ってくれれば…」

ですが実際には、
頑張りどころを間違えているだけ
というケースがほとんどです。

まず直すべきは「行動」ではなく「見ている数字」

利益が出ないとき、
社長はどうしても「行動」を変えようとします。

ですが本当に最初に直すべきなのは、
行動ではなく、見ている数字です。

  • 売上から見ていないか
  • 原価や固定費を曖昧にしていないか
  • お金が残る構造を意識しているか

ここが整わない限り、
どんな努力も空回りします。

次に読むべき記事案内

この記事で
「もしかして、自分もズレているかも」
と感じた方は、次の記事も参考になります。

今回の話を次の段階に進めるための記事です。

今日の一言

利益が出ない原因は、
やり方ではなく「見ている数字」にある。


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