④利益は「努力」ではなく「構造」で決まる


――利益は、勝手には生まれない・第4回――

頑張っているのに、なぜか利益が残らない

・朝から晩まで働いている
・売上もそれなりにある
・社員も一生懸命やっている

それなのに――
決算を見ると、利益はほとんど残っていない。

この状況、
実はとても多いです。

そして多くの社長が、
こんな結論にたどり着きます。

「まだ努力が足りないのかもしれない」
「もっと働かないといけない」
「自分が踏ん張るしかない」

でも、ここで一度立ち止まってください。

利益は、努力の量で決まるものではありません。


努力が報われない会社に、共通するもの

利益が出ない会社を見ていると、
ある共通点があります。

それは、

努力が、構造に変換されていない

という点です。

つまり、

・頑張っている
・忙しい
・やることは多い

けれど、

・どうすれば利益が出るか
・何を変えれば利益が増えるか

この「仕組み」がない。


「努力すれば何とかなる」は、個人戦の発想

努力で何とかしようとする経営は、
言い換えると、

社長の個人戦

です。

・社長が頑張る
・社長が我慢する
・社長がカバーする

これで一時的に会社は回ります。

でも、

・規模が大きくなる
・年齢を重ねる
・家族や社員を守る立場になる

こうなると、
個人戦は限界を迎えます。


利益は「頑張ったご褒美」ではない

ここで、
一番大事な認識をお伝えします。

利益は、頑張った人へのご褒美ではありません。

利益とは、

・価格
・コスト
・業務量
・固定費

これらの組み合わせによって、
自動的に出る結果です。

つまり、

利益は「感情」ではなく「設計」

なのです。


ケーススタディ:努力型経営の限界

ある製造業の社長の話です。

・社長は毎日現場に立つ
・残業も当たり前
・クレーム対応も全部自分

社員からの評価は高く、
「社長は本当に頑張っている」と言われていました。

でも、

・利益はギリギリ
・資金繰りは常に不安
・将来の投資ができない

理由は単純でした。

・価格設定が感覚
・原価を把握していない
・固定費の回収ラインが不明

つまり、
どれだけ頑張っても、利益が出ない構造だったのです。


利益が出る会社は、頑張らなくても残る

一方、利益が出ている会社はどうか。

・社長が常に現場にいない
・残業が少ない
・派手な売上成長はない

でも、

・利益は安定している
・資金繰りに余裕がある
・判断が落ち着いている

違いは、ただ一つ。

利益が出る構造を、先に作っている


利益を決める「構造」の正体

では、その構造とは何か。

難しい話ではありません。

最低限、次の4つです。

  1. 固定費はいくらか
  2. 変動費はいくらか
  3. 一件あたり、いくら利益が出るか
  4. 何件やれば固定費を回収できるか

これが分かっていないと、

・売上が増えても
・忙しくなっても

利益は、偶然にしか生まれません。


努力型経営が、社長を疲弊させる理由

努力で利益を出そうとすると、

・値下げも我慢
・無理な受注も我慢
・長時間労働も我慢

「我慢」が前提になります。

でも、

我慢は、仕組みにならない。

社長が倒れた瞬間、
会社も止まります。


構造で利益を出すと、何が変わるか

利益が構造で決まるようになると、

・仕事を選べる
・断る勇気が持てる
・価格交渉ができる

そして何より、

社長の心が、軽くなる

数字に追われるのではなく、
数字を使えるようになるからです。


「努力をやめろ」という話ではない

ここで誤解してほしくないのは、

努力を否定しているわけではない

ということです。

努力は、必要です。

ただし、

努力は、構造を作るために使う

これが、
利益が出る会社の考え方です。


社長がやるべき努力は、現場ではない

社長が本当にやるべき努力は、

・構造を考える
・数字の関係を理解する
・判断基準を作る

これです。

現場での努力は、
いずれ誰かが代われます。

でも、

構造を作る努力は、社長にしかできない。


利益は「設計図」の通りにしか生まれない

家を建てるとき、

「一生懸命建てれば、丈夫な家になる」

とは考えませんよね。

設計図があり、
構造があり、
それに沿って建てる。

利益も同じです。


基礎編のまとめとして

この基礎編で、
一貫してお伝えしてきたことは、

・利益は勝手に生まれない
・売上だけでは足りない
・努力だけでは限界がある

という事実です。

そして、

利益は、社長の考え方で決まる


次のステップへ

次の編では、
いよいよ「管理会計」という視点に入っていきます。

・構造をどう見える化するのか
・社長は、どの数字を見ればいいのか

ここからが、
経営が楽になる数字の話です。


今日の一言

利益は、
頑張った人に与えられる報酬ではない。
正しく設計された会社に、
静かに残る結果である。


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