
――Excelは、社長の最強の管理会計ツールである・第2回――
なぜExcelは壊れるのか?
社長の皆さん、こんな経験はありませんか?
- せっかく作ったExcelが突然計算結果がおかしくなった
- 過去のデータが消えて、集計がめちゃくちゃになった
- 新しいスタッフが使えず、誰も手をつけられなくなった
これらはすべて、Excelの構造や運用ルールが不十分だったことが原因です。
多くの会社で「Excelは自由に作ってよい」となっており、現場任せにすると、すぐに壊れるのは当然です。
壊れるExcelの特徴
壊れやすいExcelには、共通の特徴があります。
1. 設計が現場任せでバラバラ
- 各担当者が独自のフォーマットで入力
- シートやセルの位置も統一されていない
- 関数や計算式も人によってバラバラ
結果:集計や分析が複雑化、誰も理解できなくなる。
2. 関数やリンクが複雑すぎる
- IF関数がネストされすぎ、VLOOKUPやINDEX/MATCHが乱立
- 他のシートやファイルとリンクが多すぎる
結果:1つのセルを修正すると計算が崩れ、どこが原因か分からなくなる。
3. ドキュメントがない
- どの列に何を入力するか明確でない
- ルールや集計方法がマニュアル化されていない
結果:担当者交代時に運用がストップ、Excelが使えなくなる。
10年使えるExcelの決定的な違い
では、どのExcelは「壊れずに10年使える」のか?
答えはシンプルです。
設計思想と運用ルールがあるExcelは、長く使える。
1. シンプルな構造で作る
- シートごとに役割を明確化
- 売上データシート
- 原価データシート
- 集計・分析シート
- 計算式は最小限に
- データは原則1箇所に集約
ケーススタディ:製造業
- 改善前:各工程で別々に原価を入力、集計用シートにコピーして集計
- 改善後:工程別データを1つのシートに入力、ピボットで集計
- 結果:計算ミスゼロ、担当者交代でも問題なし
2. 標準化された入力ルール
- 列・項目の名前を統一
- 入力方法(単位・小数点など)を明確化
- ドロップダウンや入力規則で誤入力を防ぐ
ケーススタディ:小売業
- 商品コードを統一しない → 売上集計でエラー頻発
- 改善後:商品マスターを作り、コードは必ずマスターから選択
- 結果:集計エラーゼロ、誰でも入力可能
3. ドキュメントとマニュアル化
- Excelの使い方やルールを文書化
- 「どのデータが何の目的で使われるか」を明示
- 担当者交代時でもスムーズに運用可能
ケーススタディ:サービス業
- 改善前:集計方法を担当者のみが把握
- 改善後:マニュアル化+シートに説明コメント挿入
- 結果:新任スタッフでも即運用可能、属人化解消
壊れないExcelは“判断可能なデータ”を優先する
10年使えるExcelの共通点は、判断に必要な数字がすぐ取り出せることです。
- 完璧なデータより、意思決定に使えるデータを優先
- 関数やリンクは必要最小限
- 入力は現場が無理なく継続できる
これを守るだけで、Excelは長期にわたって社長の最強ツールとして機能します。
Excelを長く使うための実践ポイント
- 設計思想を決める
- データ入力用シートと集計用シートを分ける
- 入力ルールを統一する
- ドロップダウン、単位、命名規則を明確化
- 複雑な関数は避け、計算はシンプルに
- IFネストやVLOOKUP乱用を避ける
- ドキュメント化とコメントを活用
- 担当者交代や新人でも即運用できる状態にする
- 判断に必要な数字だけに集中
- 不要な数字は入力せず、シンプルに保つ
ケーススタディ:小規模製造業
- 改善前:関数やリンクが複雑、担当者交代で運用停止
- 改善後:シンプル設計+入力ルール統一+マニュアル化
- 結果:10年以上使用可能、意思決定スピードも向上
今日からできる小さな改善
- 現状のExcelをチェック
- シート構造はシンプルか?
- 入力ルールは統一されているか?
- 計算式やリンクは最小限か?
- ドキュメントやコメントはあるか?
- 1つずつ改善していくだけで、Excelは10年使える資産になります。
今日の一言
壊れるExcelは「自由すぎる設計」、
10年使えるExcelは「シンプル設計+ルール化+判断に直結する構造」。
Excelの寿命は、設計と運用ルールで決まる。
