
――増やす前に、止まって考えろ・第2回――
「うちでやるべきか、それとも外注か?」の迷い
社長からよく聞く悩みです。
- 「この仕事、社員にやらせるべきか、外注すべきか?」
- 「社内でやればコストは抑えられるはず…でも外注の方が早い」
- 「信頼できる社員がいるから、どうしても内製に頼ってしまう」
感情や経験則で判断してしまいがちですが、
これでは判断がブレやすく、会社の利益を圧迫します。
重要なのは、感情ではなく数字で判断することです。
外注と内製の本当のコスト構造
外注と内製の違いを感覚で考えると、
- 「内製なら安く済む」
- 「外注は高くつく」
と考えがちです。
しかし、数字で見ると以下の要素が関わります。
内製のコスト
- 人件費(給与・社会保険・残業代)
- 教育・研修コスト
- 作業効率や品質のばらつき
- 機会費用(社員が本来やるべき高付加価値業務を犠牲にする)
外注のコスト
- 支払う外注費
- 発注・管理コスト
- 納期や品質リスク
- 社内ノウハウ蓄積ができない
ケーススタディ①:内製にこだわった結果の失敗
ある中小企業では、
社長が「社員にやらせる方が安心」と考え、
ウェブサイト運用を内製にしていました。
- 月10時間×社員2名=時給換算で月4万円の作業
- 社員は本来の営業活動が減る
結果、売上は伸び悩み、
社員の負担も増加。
もし外注していたら、
- 月5万円の外注費
- 社員は営業に集中できる
利益と効率は明らかに向上した可能性があります。
ケーススタディ②:外注の方が実は安かった例
小売業のバックオフィス業務。
- 内製:社員1名、給与20万円+社会保険+残業
- 外注:月額15万円の経理代行サービス
初めは「社員にやらせる方が安い」と思われていましたが、
残業や教育コスト、管理時間を含めると、内製の方が高コストだったのです。
さらに、外注にすることで社長自身の管理負担も減り、
戦略的意思決定に集中できるようになりました。
判断の基本は「限界利益」で考える
内製・外注のどちらが得かを判断するには、
限界利益の視点が重要です。
- 内製にかかる追加コスト
- 外注にかかる費用
- どちらが利益に貢献するか
限界利益 = 売上 – 変動費
この式に、内製・外注の追加コストを置き換えれば、
どちらを選ぶと利益が残るかが明確になります。
ケーススタディ③:判断の数字化
ある製造業の社長は、
製品の梱包作業を内製か外注か迷っていました。
- 内製:社員1人×月10万円
- 外注:月8万円
数字だけを見ると外注の方が得。
しかし、納期の柔軟性や品質管理の難しさも考慮。
そこで、
- 内製の機会費用(月5万円相当)を加味
- 外注の管理コスト(月1万円)を加味
結果、外注にした方が実質利益が大きいと判断できました。
感情で決めると「効率と利益」を逃す
社長の心理として、
- 「社員にやらせたい」
- 「自分で確認したい」
- 「信頼できる人がいる」
といった感情が働きます。
しかし、感情で決めると、以下のリスクがあります。
- 高コストの内製を選び、利益を圧迫
- 社員の時間を本来の高付加価値業務から奪う
- 無駄な管理負担が増える
感情を排除して判断する3つの視点
外注・内製の判断を数字ベースで行うには、
以下の3つの視点を意識します。
1. コストの総額を見る
- 内製:給与+社会保険+教育+管理時間
- 外注:支払金額+管理コスト+リスク
2. 機会費用を考慮する
社員が作業にかける時間は、
本来生むはずの利益から差し引く。
3. 利益貢献度を計算する
限界利益で比較。
どちらを選べば、より利益が残るかを確認。
ケーススタディ④:小さな業務でも数字化は効果大
ある飲食店の事例。
- 内製:ポスター制作、社員2時間×時給2,000円
- 外注:1件5,000円
感覚では「社員にやらせる方が安い」と思っていました。
しかし、社員が2時間作業する間に、1組のお客様が来店すれば利益は1万円。
結果、外注にした方が利益が残ると判断できました。
今日の一言
外注か内製かの判断は、感情ではなく数字で。
限界利益と機会費用を可視化できる社長だけが、
会社の成長と効率の両立を実現できる。
