
――その判断、数字で言えますか?・第3回――
「こんなに働いているのに、なぜ残らない?」
社長から、
何度も聞いてきた言葉です。
- 朝から晩まで動いている
- 社員も忙しそう
- 仕事は途切れない
それなのに、
- 利益が薄い
- お金が増えない
- 社長だけが疲弊していく
この状態、
偶然ではありません。
忙しさは、必ずしも“良い兆候”ではない
忙しい=順調。
この考え方は、
半分正解で、半分危険です。
なぜなら、
忙しさには、2種類ある
からです。
- 利益を生む忙しさ
- 利益を食う忙しさ
問題は、
後者が混ざっていることです。
「利益を食う仕事」は、気づきにくい
厄介なのは、
利益を食う仕事ほど、
真面目にやってしまう
という点です。
- お客さんに頼まれた
- クレーム対応
- 細かい修正
- 想定外の手直し
これらは、
- 売上に見えにくい
- 数字に表れにくい
だからこそ、
放置されがちです。
ケーススタディ①:残業が増えるほど利益が減る会社
ある制作会社。
- 案件数:増加
- 売上:微増
- 残業時間:急増
社長は、
「忙しいから仕方ない」と思っていました。
でも数字で見てみると、
- 定額案件の修正対応
- 無料対応の範囲が曖昧
- 社員の時間が吸われている
結果、
忙しくなるほど、
限界利益が削られていた
のです。
利益を食う仕事の正体①「時間を奪う仕事」
まず一つ目。
時間を奪う仕事
- 工数が読めない
- 想定外が多い
- 終わりが見えない
これらは、
- 人件費という変動費
- もしくは固定費
を静かに食い続けます。
売上が増えても、
時間単価が下がっている状態です。
利益を食う仕事の正体②「無料が前提の仕事」
次に多いのが、
これです。
無料が当たり前になっている仕事
- ちょっとした修正
- ついでの作業
- サービス対応
一つ一つは小さくても、
積み重なると、確実に利益を削る
にもかかわらず、
- 数字に出ない
- 請求しづらい
という理由で、
放置されます。
ケーススタディ②:「サービス」が会社を苦しめた例
ある小売業。
- アフター対応が手厚い
- 評判も良い
でも、
- 作業時間が膨大
- 担当者が疲弊
数字で整理すると、
- アフター対応にかかる人件費
- ほぼ売上ゼロ
結果、
サービスが、利益を食っていた
のです。
利益を食う仕事の正体③「単価が見合っていない仕事」
そして、
最も分かりやすいタイプ。
単価が、明らかに低い仕事
- 昔決めた価格
- 値上げできていない
- 相場より安い
これを、
- 忙しさでカバー
- 数で稼ぐ
としていると、
社長と社員が消耗する構造
になります。
忙しい会社ほど「全体」で見ていない
忙しい会社ほど、
- 個別案件
- 個別対応
に追われています。
でも、
全体の限界利益を見ていない
ことが多い。
- どの仕事が
- どれだけ利益を出し
- どれだけ時間を使っているか
これを見ない限り、
忙しさの正体は分からない
のです。
「やめる」か「直す」か「隔離する」
利益を食う仕事への対処は、
3つしかありません。
① やめる
② 直す(条件・価格を変える)
③ 隔離する(時間・人を限定する)
重要なのは、
放置しないこと
です。
ケーススタディ③:隔離しただけで楽になった会社
ある会社では、
- 利益が薄い仕事
- でも完全にはやめられない
という案件がありました。
そこで、
- 対応時間を限定
- 担当者を固定
- 追加は有料化
しただけで、
- 現場の混乱が減少
- 利益が改善
しました。
「忙しい」は、SOSのサイン
最後に、
一番大事な視点です。
忙しいのに儲からない
これは、
経営からのSOSです。
- 仕事の選び方
- 値付け
- サービス範囲
どこかに、
必ず歪みがあります。
数字は、犯人探しのためではない
管理会計の数字は、
- 誰かを責める
- 現場を締め付ける
ためのものではありません。
構造を見える化するためのもの
です。
構造が見えれば、
- 感情ではなく
- 仕組みで
改善できます。
今日の一言
忙しさの中に、
利益を食う仕事が紛れ込んでいる限り、
どれだけ働いても会社は楽にならない。
まず疑うべきは「忙しさの中身」である。
