⑤感覚経営と数字経営の決定的な分かれ目


― 社長の「勘」は、捨てるものではない ―

感覚経営は、本当に「悪」なのか?

「うちは感覚経営だからさ」
少し自嘲気味に、そう話す社長は少なくありません。

どこかに、
感覚経営=遅れている・危ない・未熟
という空気があるからでしょう。

一方で、こんな声もよく聞きます。

「数字経営って、なんだか冷たく感じる」
「現場を分かっていない人の机上の空論みたいで…」

感覚経営にも違和感がある。
数字経営にも、しっくり来ない。

虎の穴に来られる社長の多くは、
この“宙ぶらりん”な感覚を抱えています。

この記事で、まず最初にお伝えしたいことがあります。

感覚経営は、悪ではありません。

問題は、
感覚だけで走り切ろうとすること。
あるいは、
数字で感覚を否定しようとすること。

感覚と数字の関係を、
ここで一度、整理してみましょう。

数字経営に違和感を持つ理由

「数字で経営しましょう」と言われた瞬間、
多くの社長の頭には、こんなイメージが浮かびます。

  • エクセルだらけ
  • 会議で数字を詰められる
  • 感覚や経験が軽視される

特に、現場叩き上げの社長ほど、
この違和感は強くなります。

「数字だけ見てたら、現場は回らないよ」

これは、半分正解です。

数字は、現場を動かす力を持っていません。
動かすのは、人であり、判断です。

だからこそ虎の穴では、
数字経営=数字中心の経営
とは考えていません。

では、何が分かれ目になるのか。
それを章ごとに見ていきましょう。

感覚は「敵」ではない

現場感覚の価値を、軽く見てはいけない

まず、はっきりさせます。

社長の感覚は、極めて価値が高い。

  • 現場で何が起きているか
  • お客さんが何を求めているか
  • 社員がどこで疲弊しているか

これらは、
数字よりも先に、感覚として表れます。

ある飲食業の社長の話です。

「最近、このメニュー、出てる数字は悪くないんだけど
なんか“無理してる感”があるんだよね」

後から数字を見直すと、

  • 原価率は上昇
  • 仕込み時間が増加
  • 現場の負担が増えていた

感覚は、
数字が崩れる“予兆”を捉えていたのです。

ベテラン社長の強みは、ここにある

経験を積んだ社長ほど、
判断が早い理由があります。

  • 似た状況を何度も見てきた
  • 失敗のパターンを体で知っている

これは、
言語化されていないデータベースです。

AIにも、若手にも、簡単には真似できません。

虎の穴では、
この感覚を「曖昧なもの」として扱いません。

磨くべき資産として扱います。

感覚だけに頼ると起きること

説明できない判断が、組織を止める

感覚が強みになるのは、
一人で経営している間までです。

組織ができ始めると、
こんな場面が増えてきます。

  • 「なぜ、この判断なんですか?」
  • 「どういう基準で決めたんですか?」

このとき、
「なんとなく」「今までの経験で」
しか答えられないと、何が起きるか。

組織がついてこなくなります。

判断はあっていても、
納得が得られない。

社長の頭の中だけで完結してしまう

感覚経営の最大の弱点は、
再現性がないことです。

  • 社長がいると回る
  • 社長がいないと止まる

これでは、

  • 人が育たない
  • 任せられない
  • 社長が休めない

という状態になります。

感覚は重要ですが、
共有できなければ、経営には使えない

ここで、数字の出番がやってきます。

数字は、感覚を裏切らない

数字は「感覚の仮説検証」である

虎の穴では、
数字をこう位置づけています。

数字は、感覚を検証するための道具

感覚が先。
数字は後。

例えば、

  • 「この事業、伸びそうな気がする」
  • 「この固定費、ちょっと重い気がする」

これを、

  • 売上構成
  • 粗利率
  • 固定費比率

で確認する。

数字は、
感覚を否定するためではなく、
支えるために使うものです。

対立ではなく、「補完」の関係

感覚と数字は、
どちらかを選ぶものではありません。

  • 感覚だけ → 独りよがり
  • 数字だけ → 血が通わない

この2つが揃ったとき、
初めて「経営判断」になります。

ある製造業の社長は、こう言いました。

「数字を見るようになって、
勘が鈍ったと思ってたけど、逆だった
勘に“自信”が持てるようになった」

これが、
感覚×数字の理想的な関係です。

虎の穴が目指す経営の姿

感覚 × 数字 × 意思決定

虎の穴が目指しているのは、
この三点がつながった状態です。

  1. 社長の感覚が出発点
  2. 数字で構造を確認
  3. 社長が決める

どれが欠けても、成立しません。

特に大事なのは、
最後に「決める」こと

数字が良くても、
やらないと決める。
数字が悪くても、
挑戦すると決める。

これが、社長の仕事です。

社長が孤独にならない経営

感覚だけの経営は、孤独です。

  • 誰にも分かってもらえない
  • 説明できない
  • 相談しても、ズレる

数字があると、
対話が生まれます。

  • 税理士と
  • 幹部と
  • 外部の専門家と

虎の穴がやっているのは、
社長の感覚を、共有可能な形にすることです。

それが、
社長を孤独にしない経営につながります。

数字は、社長の味方である

感覚経営と数字経営の分かれ目は、
ここにあります。

  • 感覚を信じるか、捨てるか
    ではなく
  • 感覚を一人で抱えるか、数字で共有するか

数字は、
社長を縛るものではありません。

社長の感覚を、守り、強くする味方

それが、虎の穴が考える
「数字経営」です。

今日の一言

数字経営とは、感覚を捨てることではない。
感覚を、独りで抱え込まないための技術である。


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