
― 儲けは偶然ではなく構造で決まる ―
売上は伸びているのに、なぜか楽にならない
こんな感覚、ありませんか?
- 売上は去年より上がっている
- 仕事は忙しい
- それなのに、なぜか気持ちは楽にならない
むしろ、
「これ以上忙しくなるのは、正直しんどい」
「売上が増えても、手応えがない」
もしそう感じているなら、
問題は努力不足ではありません。
商売の“設計”が、儲かる形になっていない可能性
が高いだけです。
今回のテーマは、
損益計算書(P/L)を“成績表”ではなく“設計図”として見る
という視点です。
多くの社長が、P/Lを「結果」としてしか見ていない
まず、よくあるP/Lの見方から整理しましょう。
- 売上はいくらだったか
- 利益は出たか
- 黒字か、赤字か
もちろん、これは大事です。
でも、これは結果の確認でしかありません。
本来、社長がP/Lを見る意味は、ここにあります。
「この商売の形で、儲かるようにできているか?」
P/Lは、
あなたの商売がどんな設計思想で作られているかを
正直に映し出します。
売上が上がっても楽にならない理由
なぜ、売上が上がっても楽にならない会社が生まれるのか。
理由はシンプルです。
売上と利益の間に、ブラックボックスがあるから
売上は増えている。
でも、
- 原価が増えすぎている
- 固定費が先行している
- 利益が薄い
こうした状態だと、
「頑張っているのに報われない」感覚が生まれます。
P/Lを設計図として見ない限り、
この違和感の正体は見えません。
売上総利益=「価値を生んだ量」
ここで、P/Lの最初の重要ポイントが
**売上総利益(粗利)**です。
売上総利益とは、
お客さんからもらったお金のうち、
商売として“価値を生み出せた分”
と考えてください。
売上そのものは、
「どれだけ動いたか」
を表す数字です。
一方、粗利は、
- 値決めが適切だったか
- 原価管理ができているか
- そもそも儲かる仕事をしているか
これらを一気に映します。
ケース|同じ売上でも、粗利が違う2社
- A社:売上1,000万円/粗利200万円
- B社:売上1,000万円/粗利500万円
どちらが、経営しやすいか。
答えは明らかですよね。
粗利は、社長が使える“エネルギー量”
このエネルギーで、
人件費も、家賃も、未来への投資もまかないます。
営業利益=「経営判断の結果」
粗利から、固定費を引いた先にあるのが
営業利益です。
ここが重要なポイントです。
営業利益は、社長の判断の集合体
- どんな人を雇ったか
- どんな固定費を背負ったか
- どんな売り方を選んだか
これらの意思決定が、
すべて集約された数字です。
だから営業利益は、
「現場の頑張り」ではなく
経営の設計が正しいかどうかを示します。
利益段階ごとに「誰の意思」が反映されているか
P/Lは、段階ごとに意味が違います。
これを整理すると、
P/Lが一気に“設計図”に見えてきます。
- 売上
→ 市場・営業・顧客の意思 - 売上総利益(粗利)
→ 値決め・商品設計の意思 - 営業利益
→ 社長の経営判断の意思
つまり、
下に行くほど、社長の責任領域が濃くなる
ということです。
営業利益が出ていないとき、
現場だけの問題にしてはいけません。
設計を見直すサインです。
儲からない会社のP/Lに共通する形
これまで多くのP/Lを見てきて、
「これは危ないな」と感じる形があります。
代表的なのは、次の3つです。
① 売上は立派、粗利が薄い
→ 忙しいのに儲からない
→ 値決めか原価に問題あり
② 粗利はあるが、固定費が重すぎる
→ 人・場所・設備を背負いすぎ
→ 成長を急ぎすぎている可能性
③ 利益が、たまたま出ているだけ
→ 補助金・一時的案件・偶然の要素
→ 再現性がない
これらはすべて、
設計の問題です。
P/Lを「改善の地図」として使う
P/Lを設計図として見ると、
次にやるべきことが見えてきます。
- 売上を伸ばすのか
- 粗利を厚くするのか
- 固定費を抑えるのか
全部やる必要はありません。
どこを触れば、一番効くか
それを教えてくれるのが、P/Lです。
ゴール|「自分の商売は、どこで儲かっているのか?」
この第2回のゴールは、
会計知識を増やすことではありません。
- 自分の商売は、どこで儲ける設計なのか
- その設計は、今の現実に合っているか
この問いを、
P/Lを見ながら考えられるようになること。
それができれば、
P/Lはもう「怖い成績表」ではありません。
今日の「虎の穴」→ 儲けは、努力ではなく設計から生まれる
儲からないのは、頑張りが足りないからではない
商売が“儲かる形”に設計されていないだけである
