②月次で何を見るか、社長の判断はこう決まる


――管理会計は、仕組みで回せ・第2回――

月次資料を開いた瞬間、社長の頭が止まる理由

月次決算書を開いた瞬間、
こんな感覚になったことはありませんか?

「……で、結局どうなんだ?」
「良いのか、悪いのか分からない」
「この数字を見て、何を決めればいい?」

資料は立派。
数字も並んでいる。

それなのに、
判断につながらない。

これは、
社長の理解力の問題ではありません。


問題は「数字の量」ではなく「問いの不在」

多くの会社の月次資料は、
こうなっています。

・項目が多い
・細かい
・前年対比、予算対比がずらり

でも、
一番大事なものがありません。

それは、

「この数字を見て、
社長は何を決めるのか?」

という問いです。


管理会計は「判断のための道具」

まず、大前提を整理します。

管理会計は、
分析のためでも
勉強のためでもない

目的は一つ。

社長が、
次に何をするかを決めるため

これを忘れた瞬間、
管理会計は「数字遊び」になります。


月次で“全部見る社長”は、判断が遅くなる

よくある失敗パターン。

「せっかくだから、全部見よう」

・売上
・利益
・原価
・人件費
・部門別
・商品別
・前年同月比

一見、真面目です。

でも結果は?

情報過多で、
何も決められない


判断には「制限」が必要

実は、

判断の質は、
見ている数字の数に反比例する

と言っても過言ではありません。

人は、
選択肢が増えるほど
動けなくなります。


社長の判断は、3つの問いで決まる

月次で社長が答えるべき問いは、
実はとてもシンプルです。

  1. 今月、想定どおり進んでいるか?
  2. どこでズレが起きているか?
  3. 来月、何を変えるか?

この3つです。


ケーススタディ:資料は完璧、でも決断ゼロの会社

ある小売業の社長。

月次資料は、

・30ページ
・商品別、店舗別、担当別
・グラフも豊富

でも社長は言いました。

「正直、毎月見てるけど、
何を決めればいいか分からない」

理由は明確です。

数字が「判断」に翻訳されていなかった


「見る数字」と「使う数字」は違う

ここが重要なポイントです。

・見る数字
・使う数字

これは別物です。

使う数字とは、

社長が
「動く理由」になる数字

です。


月次で見るべき数字は、たった3カテゴリ

実践編として、
ここははっきり言います。

月次で見る数字は、
次の3カテゴリだけでいい。


① 売上:予定どおり進んでいるか?

売上は、
「多い・少ない」では見ません。

見るのは、

計画に対してどうか

・未達なら、原因は何か
・達成しているなら、再現できるか


② 粗利:頑張りが、ちゃんと残っているか?

売上より重要なのが、
粗利です。

・値引きしていないか
・原価が上がっていないか

忙しいのに苦しい会社は、
ここでズレています。


③ キャッシュ:耐えられるか?

最後に、
必ず見るべきなのが「お金」。

・今月、いくら減った/増えたか
・あと何か月もつか

利益が出ていても、
ここが悪ければ、判断は変わります。


ケーススタディ:3つに絞った瞬間、会議が変わった

あるサービス業の会社。

以前は、

・数字を見るだけ
・会議が長い
・結論が出ない

そこで、

・売上
・粗利
・キャッシュ

この3つだけに変更。

すると会議が、

「で、来月どうする?」
「ここを直そう」

に変わりました。


「前年差」「前年比」は後でいい

初心者ほど、

・前年比
・前年差

を気にします。

でも、実務ではこうです。

今のズレが分からないうちは、
過去比較は意味を持たない

まずは、

・今月
・今の状態

ここを把握することが先です。


数字は「異常検知装置」

管理会計を、
こう考えてください。

数字は、
経営の警告ランプ

全部を精密に見る必要はありません。

「ん?」
と気づければ十分。


判断が早い社長は、数字を“深追いしない”

判断が早い社長ほど、

・数字を疑いすぎない
・細部に入りすぎない

代わりに、

「違和感」に反応する

そして、

・現場を見る
・話を聞く

この流れができています。


月次は「未来の一手」を決める場

月次管理会計のゴールは、

・反省会
・評価会

ではありません。

次の一手を決めること

です。


だから、月次は短くていい

理想は、

・資料:1〜2枚
・時間:5〜10分

これで、

「来月、これをやる」

が決まれば成功です。


管理会計は、社長の思考を助けるためにある

数字に振り回されるのではなく、

数字を、
社長の判断の味方にする

そのためには、

・見る数字を絞る
・問いを決める

これだけで、
管理会計は別物になります。


今日の一言

月次で見る数字は、
「社長が動く理由」になるものだけでいい。


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