
――管理会計のためのデータ取得・入力設計・第4回――
数字だけを見ても、判断はできない
社長の皆さん、こんな経験はありませんか?
- 「売上や原価の数字は揃ったのに、利益改善策が浮かばない」
- 「在庫や仕掛品の数字は合っているのに、納期トラブルが減らない」
理由は単純です。数字だけでは、会社の“現場の流れ”が見えないからです。
管理会計のデータ設計で最も重要なのは、数字と業務フローをセットで考えることです。
業務フローを無視すると、数字は宝の持ち腐れ
例えば、製造業の原材料管理を考えてみましょう。
- 材料Aを仕入れて、加工→組立→出荷
- 数字だけを見ると「材料費はいくら、仕掛品はどのくらい」と分かる
しかし、業務フローを見ないと次の課題が残ります。
- 加工工程でのロスや遅延
- 組立の手待ち時間
- 出荷までに必要な作業順序
つまり、数字だけでは、どこで問題が起きているかが見えないのです。
ケーススタディ:小規模製造業
- 問題:毎月の利益は計算できるが、納期トラブルが絶えない
- 原因分析:原価データと出荷実績だけでは、ボトルネックが分からない
- 改善:業務フロー(仕入→加工→組立→出荷)とデータを紐づけ
- 結果:ボトルネック工程を特定し、改善策を即実行可能になった
業務フローと数字をセットで考えるとは?
ポイントは、数字の発生タイミングと場所を業務フローに沿って整理することです。
- どの業務で数字が発生するか
- 誰が入力するか
- どのタイミングで確認するか
この3点を業務フローに組み込むと、数字が活きてきます。
ケーススタディ:サービス業
- 業務フロー:予約→サービス提供→売上計上→請求
- 改善前:売上は経理が月末にまとめて入力
- 改善後:予約確定時に自動登録、サービス提供後に実績確認
- 結果:リアルタイムで売上状況が把握でき、予約管理や利益計画に即活用
業務フローに沿ったデータ設計のコツ
1. フローを「見える化」する
- 図にして誰でも理解できるようにする
- 例:仕入→加工→出荷→請求の順に矢印で示す
2. 数字と担当を紐づける
- 各工程で発生する数字を担当者に紐づける
- 例:加工工程の材料使用量は現場担当者が入力
3. 入力タイミングをフローに合わせる
- 数字は業務フロー上の発生タイミングで入力
- 例:売上はサービス提供後即入力、原価は仕入時に入力
ケーススタディ:小売業
- 業務フロー:発注→入荷→販売→棚卸
- 改善前:棚卸時にまとめて入力、月次集計のみ
- 改善後:入荷時に数量入力、販売時にPOS連動
- 結果:在庫差異が即座に把握でき、欠品や過剰在庫のリスクを低減
業務フローと数字のセット化で得られるメリット
- 問題の発生源が特定しやすい
- どの工程でロスや遅延が起きているか明確
- 意思決定が迅速になる
- 数字と現場状況がリンクしているので即判断可能
- 現場の納得感が増す
- 「なぜこの数字が必要か」が明確になり、入力協力が得やすい
- データの精度が向上する
- 業務フローに沿った入力でミスが減少
現場が自然に数字を入力する設計
現場が数字入力を嫌がる理由は、業務フローと切り離された「意味のない入力」が多いためです。
- 解決策
- 業務の作業の一部として自然に入力できる形にする
- 自動取得できる部分はシステム連携でカバー
ケーススタディ:製造業
- 以前:作業報告書とは別に原材料使用量をExcel入力
- 改善後:作業報告書のフォームに数量入力欄を統合
- 結果:入力は作業の延長として自然に行われ、ミスも減少
今日からできる実践アクション
- 現行の業務フローを整理し、図化する
- 各工程で必要な数字を明確にする
- 入力担当とタイミングをフローに組み込む
- 現場が自然に入力できる仕組みを作る
- 定期的にフローとデータ設計を見直す
今日の一言
業務フローと数字はセットで考えよ。
数字は単なる記録ではなく、現場の流れと紐づいたとき、
初めて意思決定を加速させる武器になる。
