
― 「管理しない社長」が、実は一番会社を見ている ―
「社長がいないと回らない会社」との決定的な違い
こんな話を聞いたことはありませんか?
- 「あの会社、社長が不在でもちゃんと回ってるらしい」
- 「社長が現場に口を出さないのに、業績が安定している」
- 「トップが忙しそうにしていない」
一方で、現実にはこういう会社も多い。
- 社長が出張すると、判断が止まる
- 社長が休むと、現場がざわつく
- 社長がいないと、誰も決められない
この差は、能力でも、やる気でもありません。
決定的な違いは、社長の“仕事の中身”です。
社長がいなくても回る会社では、
社長は「管理」していません。
代わりに、
👉 “確認”だけをしている
のです。
「管理」と「確認」は、まったく別の仕事
まず、言葉を整理しましょう。
多くの社長がやっているのは、実は「管理」です。
- 細かい数字を全部見る
- 現場の動きを逐一チェック
- 気になるところに口を出す
一見、真面目で責任感があるように見えます。
でも、このやり方には限界があります。
なぜなら、
管理とは「自分が動く前提」の仕事
だからです。
一方、社長がいなくても回る会社で行われているのは、
「決めた通りに回っているか」を確かめるだけの仕事
これが「確認」です。
確認とは「探すこと」ではない
ここで、よくある誤解があります。
確認というと、
- 問題がないか探す
- ミスを見つける
- 粗探しをする
こんなイメージを持たれがちです。
でも、本来の確認とは違います。
「想定通りか、想定外か」を見分ける作業
ただ、それだけです。
想定通りなら、何もしない。
想定外なら、初めて社長が出てくる。
この切り分けができているかどうかで、
社長の仕事量は劇的に変わります。
なぜ多くの社長は「確認」だけにできないのか
理由はシンプルです。
- 何が想定通りなのか決まっていない
- 何が想定外なのか定義されていない
つまり、
「確認する基準」が存在しない
からです。
これまでの回を振り返ってみてください。
- 第2回:決めることを決めた
- 第3回:見る数字を絞った
- 第4回:判断基準を数字で固定した
ここまでやって、
初めて「確認」が成立します。
順番を飛ばすと、
確認は「管理」に逆戻りします。
ケーススタディ|E社長の仕事が激減した理由
従業員25名のE社。
以前は、社長が毎日現場の数字を追いかけていました。
- 売上の細かい内訳
- 各スタッフの動き
- 日々のトラブル
本人は言います。
「見ていないと、不安で…」
そこで変えたのは、
社長が見るポイントを3つに絞ったことでした。
- 月次の利益
- 最重要KPI
- キャッシュに関わる指標
さらに、こう決めました。
- これが基準内なら、何もしない
- 基準を外れたら、理由を聞く
たったこれだけです。
結果どうなったか。
- 社長の口出しが激減
- 現場は自分たちで考えるようになった
- 社長は「考える仕事」に時間を使えるようになった
管理していたときより、
むしろ会社は安定しました。
社長が確認すべきは「異常値」だけ
ここで、とても大事なポイントがあります。
社長が毎回見る必要があるのは、
「正常かどうか」ではなく、「異常かどうか」
です。
- 基準内 → 放置
- 基準外 → 介入
これが徹底できると、
- 社長の仕事は激減
- 判断の質は向上
- 現場の自走力は上がる
という好循環が生まれます。
逆に、
- 毎回細かく見てしまう
- つい口を出してしまう
と、
「基準がある意味」が消えてしまいます。
「社長が何もしない」ことへの恐怖
ここで、多くの社長が不安になります。
「本当に、それで大丈夫なんですか?」
正直に言います。
最初は、不安です。
なぜなら、
- 社長が動かない
- 社長が考えない
- 社長が決めない
時間が増えるから。
でも、この“空白の時間”こそが、
社長の仕事を変えます。
- 中長期の戦略を考える
- 次の一手を考える
- 自分自身の役割を再設計する
社長が現場から一歩引いて、
「確認」に専念できるようになった瞬間、
会社は次のステージに進みます。
確認とは「信じる仕組み」である
最後に、少しだけ本質的な話をします。
確認とは、
現場を疑う行為ではありません。
「この仕組みなら大丈夫だ」と信じるための作業
です。
- 基準が決まっている
- 数字が見えている
- 想定外は拾える
この状態を作った上で、
あとは信じて任せる。
社長がいなくても回る会社とは、
- 社長が不要な会社
ではなく - 社長が“常駐”しなくていい会社
なのです。
このシリーズのまとめ
ここまで5回にわたって、
- なぜ社長は疲れるのか
- 決めることを決める
- 見る数字を絞る
- 判断基準を数字で固定する
- 決めた通りかを確認する
という流れを見てきました。
どれか一つ欠けても、
「社長が楽になる構造」は完成しません。
でも、すべて揃ったとき、
社長の仕事はこう変わります。
決める → 確認する → 例外だけ対応する
これが、
社長業の完成形の一つです。
今日の一言
社長の仕事は、管理することではない。
「決めた通りに回っているか」を確認することだ。
